ペリーのちょんまげ ペリーのちょんまげ

掲載2003年04月18日

「江戸を斬るⅡ」西郷輝彦の遠山の金さん&松坂慶子の紫頭巾の名コンビ!桜吹雪はちょっとだけ?

(えどをきるつー) 1975

掲載2003年04月18日

 昭和50年、「水戸黄門」「大岡越前」のナショナル劇場に颯爽と登場した、西郷輝彦。町人にしては身のこなしがタダ者ではないと思ったら、実は長崎奉行などを歴任した遠山家の跡取り息子・金四郎だった。
 ふだんは市井に身を置き、元乳母だったおまさ(春川ますみ)の世話になっている金四郎は、やっぱりタダ者ではなさそうな次郎吉(松山英太郎)、美女おゆき(松坂慶子)らと知り合い、事件にぶつかる。
 魚屋の連中や鼠小僧次郎吉も威勢がいい。
さらに注目したいのは松坂慶子。町娘として暮らしているが、本当は徳川斉昭の娘・雪姫で、その上、剣の腕もたつ「紫頭巾」と二重三重のコスプレ剣法が話題となり、ファンが急増。後に金四郎の妻となっても、紫頭巾活動は、続くのである。
 お白州シーンでは、有名な桜吹雪は必ず見せるわけではない。桜吹雪なしでも事件解決する異色の金さん。西郷輝彦としては初の時代劇主演シリーズとなった。実はこの半年前の「水戸黄門6」にゲストで出た西郷輝彦は、この番組のスタッフに「時代劇向き」と、密かにチェックされていたのである。今年10月には東京「明治座」でも、「江戸を斬る」の新作を上演する輝彦。ペリーは毎年公演に出掛けているが、芝居はもとより歌謡ショーの盛り上がりはすごい!この番組の名曲「ねがい」もお聞きのがしなく。

掲載2003年04月04日

「鬼平犯科帳‘69」いよいよ18日で最終回。元祖鬼平・松本白鸚が、豪華配役で池波正太郎的世界を魅せる!

(おにへいはんかちょう‘69) 1969

掲載2003年04月04日

 昭和44年(69年)10月。作者の池波正太郎が「鬼平のモデルにした」と言われる松本白鸚(当時は幸四郎)主演で始まった「鬼平犯科帳」のパート1は、全64本。お楽しみいただいたこのシリーズも残りわずかになった。
 終盤にお薦めしたいのは、まず、新藤兼人脚本による第50話「艶婦の毒」。白い素肌も妖艶な浜木綿子とベテラン葦原邦子の共演。池波作品には、女の情念の奥深さを書き込んだものも多いが、これもかなりのこってり味。また、第56話「お菊と幸助」には、まだ木枯し紋次郎」でブレークする前の中村敦夫の姿が!私を含め、敦夫ファンは要チェックだ。シリーズの代表的な脚本家である安倍徹郎による第61話「あほうがらす」は、後に横溝正史映画でもおなじみになる加藤武と、平成の中村吉右衛門版鬼平には欠かせない人・江戸家猫八の共演。芸達者同志のやりとりが見物だ。「あほうがらす」という独特のキャラクターは、他時代劇にはない。こういう役を創り出したところも、また「鬼平」シリーズならではだ。
 貫禄十分の鬼平のほか、落ちついた佐嶋志介の平田昭彦、若さも感じる酒井祐介の竜崎勝、元気のいい木村忠吾の古今亭志ん朝、剣友・岸井左馬之助の加東大介。残念ながら故人となった名優たちと豪華ゲストのぶつかり合い。最後までお見逃しなく。

掲載2003年03月26日

「暴れん坊将軍Ⅳ」地上波はシリーズ完結!若きマツケン上様の活躍とユニークゲストの連発に注目。

(あばれんぼうしょうぐん ふぉー) 1991

掲載2003年03月26日

 先日、地上波での「暴れん坊将軍」のシリーズ完結が発表され、多くのファンが嘆きの声を上げている。実に残念!!初登場から25年。松平健の代表作であり、かつ、日本の時代劇の歴史に残る若き名君であった。
 この番組の人気の秘密はいくつかあるが、まず、主役の存在感。でかい。りっぱ。姿勢がいい。まさに上様にぴったりな俳優と、役が出会ったことが大きい。
 実は数多く作られてきた「お血筋系時代劇」(身分の高い人が世直しのため、悪人を成敗する)の中でも、意外に現役の将軍様本人で出張ってくる例は少ない。少ない例の中で、これだけ長く愛されてきたのは、松平健がいつまでも嫁ももらわず、大奥へも足を運ばず(番組の中で吉宗がお局たちに「たまには大奥へお運びを」と言われて逃げだすシーンが出てきたりする)、浮いた噂のない清潔感をキープしてきたからだろう。
「暴れん坊将軍」は、永遠にチョンマゲをした白馬に乗った王子様なのである。
 現在、当チャンネルで放送中の「Ⅳ」には、高田美和、中村玉緒と大屋政子との共演(2日)、片桐光洋、栗塚旭など、楽しみなゲストが続く。特に60年代から土方歳三役や用心棒役で人気だった栗塚旭の渋い魅力は健在。出るだけで画面が引き締まるいい男だ。若き吉宗とのからみにも注目したい。

掲載2003年02月28日

「隠密剣士」バリバリ好青年・荻島真一がご落胤の隠密になる30分時代劇!奇想天外忍術も登場。

(おんみつけんし) 1973年

掲載2003年02月28日

 悲運の死をとげた徳川家康の長子には、子があった。そのご落胤・松平信太郎は、祖父・家康に世直しを頼まれるが、政治の争いを嫌って、これを拒否。しかし、二代将軍秀忠にくっついている本多上野介が伊賀忍者を使って怪しげな活動を見せるにつけ、彼らと戦うことを決心するのであった。
 信太郎には、当時好青年として人気急上昇中の萩島真一(当時27歳)。80年代には昼ドラのサスペンスものなどで人妻キラーとなる萩島が、爽やかな剣士を演じている。私は近年も舞台「鬼平犯科帳」の与力役などでナマ荻島真一を見たが、貫禄が備わり、なかなかの存在感。もっともっと時代劇で活躍してほしい人材だ。このドラマは、その貴重な時代劇の主役シリーズといえる。
 信太郎を助ける謎の忍者に、牧冬吉。本多上野介に川合信旺。諸国を旅しながら、敵の赤目幽玄斉らの奇想天外な忍術と対決する信太郎。牧冬吉がいるだけに、どこか「仮面の忍者赤影」を思い出す人も多いと思う。30分時代劇ならではのスピーディ、かつ、わかりやすい展開が心地いい。
 さらによくみれば、浅田美代子や岡崎友紀など70年代のアイドルが毎回こんにちわ!
吉沢京子も華を添えて、荻島隠密剣士は元気よく旅を続ける。家族みんなで楽しめる痛快娯楽編。

掲載2003年01月03日

「鬼平犯科帳’69」作者・池波正太郎が惚れ込んだふたりの「鬼平」を一度に堪能。縁起のいい正月特別編!

(おにへいはんかちょう ろくじゅうきゅう) 1969〜1970年

掲載2003年01月03日

 明けましておめでとうございます。
  年末年始は、時代劇の季節(私が決めた)。本格的な作品をたっぷりと見たいという方々のため、本年は「初代鬼平」松本白鸚版と、「平成鬼平」中村吉右衛門版が同日中にお楽しみいただける特別編をお送りします。
  初代鬼平は、69年に登場。主役の松本白鸚は、原作者・池波正太郎が執筆時から、鬼平をイメージしてした役者。それだけに「ぴったり」感は抜群で、貫禄も十分。撮影開始30分前にはきちんと準備を整える姿勢は、若い共演者たちに慕われていたという。まさに鬼平そのものという人柄だった。
  配下の配役も絶妙で、初代佐嶋忠介、後の若年寄京極備前守役には怪獣映画でも活躍した平田昭彦、酒井祐介役には竜崎勝。知的な平田に対して、熱しやすい竜崎。(どちらもカッコいい!)味のあるところでは、木村忠吾役の古今亭志ん朝。そして忘れてはならないのが、鬼平の剣友・岸井左馬之助の加東大介。ゲストにも「お雪の乳房」の太地喜和子、「鬼坊主の花」三波伸介など。故人となった名優たちの演技に注目したい。
  時間を越え、ふたりの「鬼平」を楽しむ21世紀の正月。贅沢な時間に浸ってください。

掲載2002年12月20日

「江戸特捜指令」クリスマスといえばコスプレ!イブの夜、彼らの最後の大活躍を、お楽しみに!

(えどとくそうしれい) 1976年

掲載2002年12月20日

 「いつの世にも、どこの町にも、法では裁けぬワルがいる。そいつを憎むやつもいる。将軍様のひと声に、命をかけた六人衆。天知る、地知る。世間は知らぬ、隠し目付は闇の芝居の立て役者!」
  みごとな五七調のナレーションに乗って登場するのは、「隠し目付の面々」そのメンバーは、リーダー中村敦夫、どんな大道具も自作する大工の竜雷太、爆弾得意の異色芸者・五十嵐淳子、もてもて遊び人の原田大二郎、太股ピチピチ女飛脚の秋野暢子、見るからにあやしいからくり師・山城新伍。
  メンバーを聞いただけでもすごいのに、彼らのいでたちがパステルカラーの色違いの着流しに、顔には白い不気味な面ときてるんだから、一度みたら忘れられないインパクト。こんな姿の一団に突如、屋敷を急襲されたら、どんな悪人でもビビるに違いない。そして、とどめは、「地獄に堕ちてウジ虫になれ!」。なにもそこまで言わなくても、と思うほど過激なキメセリフなのだった。
  異色のヒーローに加えて、ガッツ石松、引田天功、栗塚旭ら毎回異色のゲストが参上し、この異色作がどこまでいくか、と楽しみだった人も多いはず。残念ながら、コスプレの祭典、クリスマスイブに最終回を迎える。まだ見てない人はぜひ、彼らの最後の大活躍に拍手喝采してほしい。

掲載2002年11月22日

「大奥〜徳川将軍史」十五代将軍全員集合!上品な上様から暴れん坊まで。露口茂将など意外な配役に注目

(おおおく〜とくがわしょうぐんし) 1983年

掲載2002年11月22日

 そもそも「大奥」は二代将軍秀忠のころ、秀忠の正室・お江与の方によって創設されたという。時の将軍様意外には、OBの家康でさえ立入禁止の、まさに「禁男の園」だ。
 将軍というたったひとりの男の愛を得るために、数百人の美女がひしめく閉鎖世界。もう考えただけでも「すごいこと」になっていると身が震える。嫉妬や憎しみ、陰謀・・・豪華絢爛な分、余計に怖い。ラブストーリーあり、サスペンスあり、オムニバス式でいろいろな物語が展開する。
 このシリーズの見どころは、十五代の将軍が全員登場し、それぞれが違ったキャラクターに描かれていること。そのキャスティングはすごい。初代・家康が若山富三郎、二代・秀忠が中村嘉葎雄、三代家光・沖雅也、以下、田中健、津川雅彦、露口茂、小野隆、鹿賀丈史、細川俊之、丹波哲郎、松山英太郎、広岡瞬、山本学。十五代将軍がほぼ全員集合している。特に露口茂、広岡瞬などは、滅多に見られぬ将軍姿。八代将軍。吉宗の鹿賀丈史は、粗末な衣服で、相撲はとるわ、馬でかっ飛ばすわの暴れん坊だし、「最後の将軍」慶喜の山本学は、物静かな気品ある上様。それぞれのキャラクターが楽しい。もちろん美女軍団も勢ぞろい。たとえば「ある夜の美女軍団」という回のゲスト筆頭は泉ピン子。見たいでしょ?

掲載2002年10月18日

「赤穂浪士」萬屋錦之介が「45歳でこの作品を」と誓った念願の大作。あの人の浅野内匠頭にも注目!

(あこうろうし) 1979年

掲載2002年10月18日

 時代劇俳優にとって「この役ができたら一人前」という役のひとつが、大石内蔵助。昼行灯と言われながらも、鋭い洞察力と、統率力で配下を引っ張り、見事仇討ちを果たす。
その実行力や華やかな魅力は、時代劇というジャンルの大スターという感じだ。
 萬屋錦之介は、名監督・沢島忠に「45歳になったら必ず大石内蔵助をやります。その時は監督を」と頼んでいたという。以来、二十数年の年月を経て、念願成就。この作品で錦之介は、舞台、映画、テレビすべてで内蔵助を演じたことになるという。
 原作は大佛次郎。この物語にはいろいろな解釈があるが、ここでは、大石内蔵助と吉良方の家老・千坂兵部の千恵比べに重点が置かれている。テレビ朝日の開局20周年記念作だけに、キャストは豪華。内蔵助の妻りくには、錦之介の「破れ新九郎」でも息の合うところを見せた岸田今日子。四十七士に影のようにつきまとう蜘蛛の陣十郎に長門勇。さらに時代劇スターとして人気急上昇中の松平健。そして「フン!」とへの字口で憎々しい吉良上野介を演ずるのは、小沢栄太郎。テレビの歴代吉良役の中でも、トップクラスの意地悪ジジ様の名演技。毎回楽しませてくれる。さまざまなエピソードをじっくり描けるのは、テレビ長期シリーズの特権。これで「赤穂浪士」の新たな面白さが発見できるはず。

掲載2002年09月06日

「お助け同心が行く!」大柄なのに腰が低い男をやらせたら日本一。小林稔侍がふたつの顔を持つ男に変身!

(おたすけどうしんがゆく!) 1993年

掲載2002年09月06日

 尾形左門次(小林稔侍)は、北町奉行所の下級同心。高積見回りという冴えない役目とのっそりしたイメージで、周囲からは軽んじられている。しかし、裏では虐げられた弱い人たちのために、鋭い頭脳と剣の腕で悪と戦う“お助け同心”なのであった!
 小林稔侍といえば、「キャプテンウルトラ」のキケロ星人、ヤクザ映画の下っぱなど、主役になるまで苦労した話は有名だ。そのせいか、「大柄なのに腰が低い」男の役がとってもうまい。日本一かもしれない。こう言われて本人が喜ぶかどうかは微妙だが、この「お助け同心」で、表の顔、すなわち、高積見回りをしていたり、母・八重(中村玉緒)にしつこく縁談を勧められ、「母上、もうその話は結構でございます!」と、内股気味に走って逃げる時などは、得意技の「大柄腰低」が炸裂している。
 だが、一旦、裏の顔、お助け同心になった瞬間から、声は低く、眼光鋭い男に変身。これは誰かを意識してるに違いない、とよく見たら、やっぱり、「高倉健」だった!
 原作は笹沢左保の「お助け同心巡回簿」それにしても、小林稔侍の母が中村玉緒って、いったいいくつ違いの母子なのか?左門次とはいったい何歳なのか?小林稔侍の俳優歴を語る上で、忘れられない一本なのは間違いない。

掲載2002年07月20日

「鬼平犯科帳第9シリーズ 一本饂飩」 食いしん坊の木村忠吾が盗賊一味に捕まった!盗賊のお頭に惚れられて大ピンチ。

(おにへいはんかちょうだいきゅうしりーず いっぽんうどん) 2001年

掲載2002年07月20日

美味いものに目がない火盗改め同心の木村忠吾(尾美としのり)は、極太麺の名物「一本饂飩」で一杯やっていた。そこに居合わせたのが、寺内武平衛(石橋蓮司)。あとから入ってきた男と何やら話しをするのを小耳にはさんだ忠吾は、ふたりをあやしいとにらむ。にらんだところまではよかったが、逆に相手に殴られ、気を失ったところを誘拐されてしまう。そして、盗賊の頭である武兵衛に男色の相手として惚れられたことを知る・・・・。
鬼平のシリーズでも、忠吾が出てくると、どこかユーモラスな雰囲気が漂うが、この回は笑っていいのか心配していいのか。とにかく男に惚れられたから、すぐ殺されなかったのはラッキーともいえる。
さらに忠吾の危機を鬼平が知るきっかけになったのが、「うまい鮑を食べる約束を忠吾が無視したのはおかしい」と考えるあたり、日頃の忠吾の食いしん坊ぶりがうかがえて、これもよかったのかトホホなのか。同心たちの人柄もきっちり描いている「鬼平」ならではの展開が楽しい。忠吾の困り顔、ラブラブ光線を送る石橋連司と彼を慕う手下の与市の怪演にも注目。
さらに忠吾がどうやって自分の居場所を知らせたか・・・奇想天外なアイデアに拍手を送りたい一本。

ペリー荻野プロフィール
ペリー荻野

1962年愛知県生まれ。大学在学中よりラジオのパーソナリティ兼原稿書きを始める。 「週刊ポスト」「月刊サーカス」「中日新聞」「時事通信」などでテレビコラム、「ナンクロ」「時代劇マガジン」では時代劇コラムを連載中。さらに史上初の時代劇主題歌CD「ちょんまげ天国」シリーズ全三作(ソニーミュージックダイレクト)をプロデュース。時代劇ブームの仕掛け人となる。

映像のほか、舞台の時代劇も毎月チェック。時代劇を愛する女子で結成した「チョンマゲ愛好女子部」の活動を展開しつつ、劇評・書評もてがける。中身は"ペリーテイスト"を効かせた、笑える内容。ほかに、著書「チョンマゲ天国」(ベネッセ)、「コモチのキモチ」(ベネッセ)、「みんなのテレビ時代劇」(共著・アスペクト)。「ペリーが来りてほら貝を吹く」(朝日ソノラマ)。ちょんまげ八百八町」(玄光社MOOK)「ナゴヤ帝国の逆襲」(洋泉社)「チョンマゲ江戸むらさ記」(辰己出版)当チャンネルのインタビュアーとしても活躍中。