ペリーのちょんまげ ペリーのちょんまげ

掲載2003年05月16日

「旗本退屈男」若き高橋英樹の「退屈男」。美人の妹の恋人(片岡仁左衛門)と、悪を斬りまくる!

(はたもとたいくつおとこ) 1970

掲載2003年05月16日

直参旗本・早乙女主水介は、剣は諸羽流青眼崩し、体術に軍学までマスター武芸者だが、太平の世では無役の身。よって、自ら「退屈男」と名乗り、町をプラプラ。事件となると、「退屈の虫が騒いだ!」とばかりに走りだし、悪人たちを追い詰める。「ブアッハッハッハ」と高笑いする退屈男が指すのは、額にくっきりついた三日月形の“天下御免の向こう傷”。実は将軍様のピンチを救った時にできた傷で、これがあれば、どこへでも出入り自由、世直し自由なのだ。暇でいいところのお坊ちゃんとなると、今も昔も趣味はファッションとなるようで、この退屈男もかなりの衣装道楽。それも派手柄が好みらしく、「密かに探索」ったって、目立ちすぎ!美人の妹・菊路(柏木由起子)はそんな兄を慕っているが、なんと自分の恋人・霧島京弥(片岡仁左衛門)までもが兄とともに世直しに行ってしまう。
色っぽいおねえさんに「退屈のおとのさまぁ〜」と迫られてもサラリとかわすあたり、かなりの貫禄だが、当時、英樹は二十代半ば。それでも「派手な衣服が似合う」「額が広くて傷がくっきり見える」「豪快さがある」と「退屈男の三条件」をしっかり満たした役者であった。ちょくちょく出てくる藤原釜足や艶っぽい水野久美の存在感、颯爽とした仁左衛門もいい。まさに痛快時代劇。

掲載2003年01月17日

「姫将軍大あばれ」一度見たら、姫将軍様の虜!忘れられない「巨大葵のご紋付袈裟」の昂奮をぜひ。

(ひめしょうぐんおおあばれ) 1995年

掲載2003年01月17日

  大坂夏の陣で破れ、壮絶な最期を遂げた豊臣秀頼の、娘・秀姫。後に家康の孫娘・千姫の養女となり、仏門に帰依し、「天秀尼」となった・・・・というだけなら、地味なお話だが、ここからがタダ者ではない。なんと、仏門だけでなく、“本場”柳生の里で武芸や忍術の修行を11年も積んだのである。
  身分があって、武芸も達者。こうなったら、もう世直しするしかない。というわけで、天秀尼は、世直しの旅に出るのであった。出発にあたって、「身分証明」として渡されたのが、「葵のご紋付袈裟」。それもおなかいっぱいにご紋が縫い付けられているという超特製品だ。私もこれまで印籠や刀やいろんな「葵のご紋」を見てきたが、直径30センチはあろうかというでかい「ご紋」は初めて。これなら、どんなに遠くの悪人にも、ご紋がはっきり見えるというものだ。
  主演は、日光江戸村が育てた女優・本倉さつき。主題歌「花しぐれ」も彼女の熱唱だ。
  初放送が月曜昼2時と、見たくても見られなかった人も多いはず。私は作家・町田康氏とこの番組の「奥深さ」について語り合ったことがあるが、とにかく一度見たら、もう姫将軍様の虜である。当時の宣伝文句は、「悪を斬る!世直し尼将軍参上!東海道五十三次に柳生新陰流の剣が舞う。」
  尼将軍・・・これだけでもたまらない言葉だ。

掲載2002年12月13日

「白虎隊」幕末。会津の若き志士たちの悲劇。堀内孝雄のあの名曲にもぐぐっとくる長編。

(びゃっこたい) 1986年

掲載2002年12月13日

 幕末。そろそろ幕府の力が衰退してきた時期に、「京都守護職」を拝命したのは、会津の名君・松平容保だった。尊皇攘夷を唱える勢力が過激に行動する中、幕府方の先頭に立つことになった会津藩は、新撰組を配下に置き、薩摩とも手を結ぶ。有名な池田屋事件など、新撰組の容赦ない取締りもあり、いったんは有利となるが、時代は会津に味方しなかった・・・。そんな中、慶応4年、15歳から17歳までの最年少の会津藩士で「白虎隊」が結成される。攘夷派との決戦の中で、彼らは悲劇に向かって走りはじめた。
  幕末に関わる物語の中でも、ひときわ悲劇性が高いのが、この「白虎隊」。散っていく若い命のはかなさに、堀内孝雄の名曲「愛しき日々」(作詞・小椋桂)が流れると、もう、落涙スイッチオンだ。
  配役は、反戦主義なのに仕方なく戦いに巻き込まれ、苦悩する家老・西郷頼母に里見浩太朗。名君・松平容保に「忠臣蔵」の浅野内匠頭に続いて、“悲劇の殿様役パート2”となる風間杜夫、。宮川一郎太、坂上忍らの初々しい武者ぶりにも注目。
  なお、主役の里見浩太朗は、白虎隊役の若者たちのオーディションに参加。現地・会津で彼らの立ち回りの特訓にもつきあったという。そのチームワークのよさ、信頼関係が画面にもあふれ、よけいに泣ける。

掲載2002年11月29日

「八丁堀捕物ばなしⅠ」リーダーいかりや長介の下、個性派同心が全員集合。遠山の金さんも言い味出してます。

(はっちょうぼりとりものばなしわん) 1993年

掲載2002年11月29日

 狩屋新八郎(役所広司)は、下馬廻り同心だったが、同心殺人事件で手腕を見せ、定町廻り同心に抜擢される。定町廻りといえば、八丁堀の花形。同僚にはリーダー格の老練同心(いかりや長介)や、町の情報にたけた先輩(火野正平)、美人妻をいつも自慢している先輩(渡辺哲)、まじめな若手(田中実)ら、個性派で揃っていた。彼らを支えるのが、岡っ引き(三ツ木清隆)や密偵(田中邦衛)たち。そして、彼らを率いるお奉行様こそ、かの遠山の金さん(古谷一行)なのだ!
難事件の集団捜査の面白さと同時に、同心たちの私生活をも克明に描いているのも、本シリーズの大きな特徴。特に、女性たちとのやりとりが楽しい。大の甘党の夫とは対照的に、事件解決の後にはおもむろに「では」と自ら大酒を飲むいかりやリーダーの妻・野際陽子。「どーせ、お前はおれより狩屋の方が大事なんだろう」という兄(火野正平)に、「そんなことは」と言いつつも態度で見え見えの(渡辺梓)。「いやー、愚妻が言うので」と夫(渡辺哲)に愚妻扱いされてるが、実権は握っている美人妻(森口瑶子)ら。命懸けで働く男を支える女たちはか弱そうだが、芯が強いのであった。
 スーパーヒーローでない役所広司の人間味あふ活躍も小気味いい。根津甚八もカッコいいので、お見逃しなく!

掲載2002年09月13日

「八幡鳩九郎」“お血筋もの”をやらせたら、天下一品!松平健のひとり三役と華麗な二刀流に注目。

(はちまんはとくろう) 1981年

掲載2002年09月13日

 彦根藩主・井伊直忠の母は、いまわの際に直忠に双子の兄がいることを告白する。
 兄を探す決心をした直忠は、素浪人・八幡鳩九郎となって、江戸へ出発。市井に暮らしながら、兄を探すのだった。
 当時、江戸では謎の「紫公方」率いる紫組が無法の限りを尽くしていた。大物商人や幕府要人まで抱き込んだ紫公方には、誰も逆らえない。鳩九郎は、紫組に十手持ちの父を殺された娘・お久を救ったことから、紫公方に壮絶な戦いを挑むことになる...。
 主演は松平健。ご存じ「暴れん坊将軍」でも、天下の将軍様を演じているだけに、「素浪人に見えるが実は身分の高いお方が活躍」という、“お血筋もの”時代劇をやらせたら天下一品。鳩九郎も、浪人のはずなのにそこはかとなく漂う品格と、どこで購入しているのかわからない純白のきらびやかな着物がポイントだ。
 白い鳩とともにどこからともなく現れるから「鳩九郎」というネーミングもナイスだし(原作は「桃太郎侍」の山手樹一郎)、健さんには珍しい二刀流のゴージャスな剣さばきも期待大。
 さらにこの番組では、松平健が「ひとり三役」に挑戦!なんの役かは時代劇通のみなさんなら、だいたい見当がつくとは思うが、意外などんでん返しもあるかもしれないので、お楽しみに。

掲載2002年07月05日

「風雲!江戸の夜明け」お宝時代劇のトップを飾るのは、織田裕二と杉浦幸主演の30分時代劇!

(ふううん!えどのよあけ) 1989年

掲載2002年07月05日

織田裕二といえば、90年代、「東京ラブストーリー」や「踊る大捜査線」など、注目のドラマに次々主演。若い女性を中心に大人気の俳優だが、実は80年代の終わりには時代劇に主演した経験があったのだ。それがこの「風雲!江戸の夜明け」
後に三代将軍となり、「名君」と呼ばれた徳川家光(裕二)だが、若いころにはなかなかの暴れん坊で、お目付役の土井利勝(中山仁)や後の大奥の大物・春日局(久保菜穂子)の目を盗んでは城を脱出。きままな町歩きを楽しんでいた。その家光と出会った芝居小屋の娘・美雪(杉浦幸)とその弟で人気役者の小太郎(片桐光洋)。美雪はすっかり家光に恋してしまうが、実はこの姉弟、お庭番として家光に仕える運命にあるのだった。
世間知らずで騒ぎばかり起こす家光と、健気に彼を助ける美雪。まだ徳川の治世も磐石とはいえず、幕府転覆を狙うやつらも少なくない。フラフラ町を歩いていて大丈夫なのか、家光?と、つい心配になるくらい、裕二も若い。そして、当時「ヤヌスの鏡」でアイドルとなった杉浦幸も、慣れない時代劇で懸命の演技。それを思えば、おなじみチビ玉こと片桐光洋は、この頃からさすがにヅラ慣れしてるのである。ベテラン中山仁や久保菜穂子のコミカルな存在感も見どころ。織田裕二のマゲ姿。まさにお宝時代劇だ。

掲載2002年06月08日

「旗本退屈男」高橋英樹が天真爛漫にして豪快な剣豪・早乙女主水之介に挑む 妹の恋人にも注目!

(はたもとたいくつおとこ) 

掲載2002年06月08日

ご存じ、旗本・早乙女主水之介は、天下太平の元禄時代にヒマを持て余す“退屈男”。
トレードマークは額の三日月傷で、これは某藩の暴れ者七人と戦った時にできたもの。いつも豪華な着流しでブラブラウォーキング。商人にも色街の艶っぽいおねえさんたちからも「退屈の殿様」と慕われる粋な殿様だ。そして、町に事件ありと聞けば、退屈の虫が騒いで、首を突っ込み、必殺剣法「諸羽流正眼崩し」で悪人たちをバッタバッタとやっつける。もちろん、全部ボランティア。
ペリーの場合、生まれて一番初めに見た「退屈男」がこの高橋英樹バージョンだった。若いが堂々とした英樹(ちなみに初登場は70年)は天真爛漫、なのに怒るとめちゃくちゃ強い。一見単純に見える事件が実は複雑だったり、「これは謎だ・・・」と言ってる事件が案外わかりやすかったり、メリハリがきいてるのも楽しい。
また、主水の唯一の肉親が妹(17歳!)の菊路(柏木由起子)で、なんと17歳なのにちゃんと恋人・霧島京弥がいて、それが現在の片岡仁左衛門といううらやましすぎる設定。霧島は、主水の片腕としてともに悪と戦うのである。ほかにも水野久美、藤原釜足などレギュラーもいい味の面々。時代劇の痛快さをじっくり見せてくれる。梅雨時こそ、退屈の殿様にスカッとさせてもらおう。!

掲載2002年05月11日

「幕府お耳役 檜十三郎」永島敏行がちょんまげスパイに!?長門裕之VS財津一郎のベテラン対決にもご注目。

(ばくふおみみやく ひのきじゅうざぶろう) 

掲載2002年05月11日

「お耳役」とは、幕府大目付直属の陰密で、市井に身を潜めながら、諸大名の動きに目を光らせる、いわばスパイである。潜入、裏切り、なんでもありの捜査を敢行し、身分がバレて殺されても、誰も弔ってもくれない。つらい身の上だ。
今回、そのスパイ・檜十三郎が永島敏行である。直属の上司・大目付の田ノ内伊織(財津一郎)に、職権濫用が甚だしい総目付・京極丹波(長門裕之)の行状捜査を命じられた十三郎。町飛脚問屋で「恋文代筆業」などというとぼけた仕事をしながら、捜査を開始する。相棒は将軍家の“鳥見役”竜崎又平(渡辺裕之)。鳥見役は、タカのえさをとるためと称して、どこにでも入る権限がある。探索の相棒にはもってこいなのである。
この主人公、「恋文代行業」の売り込みをしたり、スパイのくせにほとんど身を隠そうとかいう発想がない。上司にあれこれ命令されれば、文句を言い、挙げ句、上司に刃物まで向ける。半分イヤイヤやってる正義の味方というのがおもしろい。一方、敵の京極は諸大名を脅迫してワイロを要求するようなしたたか者。永島敏行は黒装束でも体が大きくてすごく目立つし。これで本当に大丈夫なのかとハラハラする。特に、最終回、ゲストの加納竜と伊東美由紀の悲恋と、財津VS長門の最終決戦にも注目。肝心の永島敏行は?もちろん、活躍してます!

掲載2002年04月26日

「炎の奉行 大岡越前守」おなじみ名奉行に「炎」がついたから、さあ大変。話題のあの人も出てます。

(ほのおのぶぎょう おおおかえちぜんのかみ) 

掲載2002年04月26日

 GW、じっくり時代劇を見たい人にぴったりの「十二時間時代劇」特集。ここではその中でも、「炎の奉行」をご紹介したい。
 大岡越前というと、70年にTBS系でスタートした加藤剛のシリーズがあまりにも有名だが、その奉行像は、物静かな愛妻家。一方、この「炎」の方は、将軍吉宗の片腕として、表で裏で大事件と戦う。まさに燃えるお奉行様。名は体を表す、のである。
 主役は市川團十郎。(その若者時代を来年の大河ドラマの主役となった市川新之助が演じているのにも注目したい)
 この番組の特徴は、越前の生い立ちが紹介されていることと、もうひとつ。「赤穂浪士の討ち入り」「絵島生島」「天一坊事件」から「雲霧仁左衛門」まで登場する“時代劇スター大集合”なところ。どれひとつとっても、天下が引っくり返るほどの事件なのに、それを12時間ですべて解決してしまうとは...すごいお奉行様だ。
 共演は、徳川吉宗に渡辺徹(「天一坊」の隠し子騒動では「身に覚えがある...」と告白するところにいい味が出ている)、吉宗の質素倹約令に反発するハデハデ御三家徳川宗春に荻原流行、浅野内匠頭に中村勘九郎、元禄の策士・柳沢吉保に津川雅彦、天一坊に内海光司とナイスな配役。大江戸の大事件を炎の奉行がどう裁く?お楽しみに!

掲載2001年09月14日

「必殺!」「必殺!ブラウン館の怪物たち」

(ひっさつ! ひっさつぶらうんやかたのかいぶつたち) 

掲載2001年09月14日

豪華&異色ゲスト満載。「必殺!」映画版。

 昭和47年「必殺仕掛人」がテレビに登場して、大人気。以来、シリーズはたびたび映画化されている。(ちなみに昭和48年に公開された第一弾「必殺仕掛人」は、藤枝梅安に田宮二郎、西村左内に高橋幸治という配役)
 今回放送される「必殺!」は84年、「必殺!ブラウン館の怪物たち」は85年の公開。
 「必殺!」は仕事人らしい身元不明の死体が次々発見され、口には「三途の川の渡し賃」の六文銭がくわえさせられている。それは非道な集団による仕事人狩りであった。おりく(山田五十鈴)は、一味に心あたりがあるらしいが、中村主水(藤田まこと)、勇次(中条きよし)、秀(三田村邦彦)、加代(鮎川いずみ)、西順之助(ひかる一平)には不安が募る。ゲスト仕事人に、片岡孝夫、芦屋鴈之助、研ナオコ(熱演!)草野大悟、斎藤清六、たこ八郎、赤塚不二夫ら。斎藤・たこ・赤塚の笑える必殺技って!?お楽しみに。「必殺!ブラウン館の怪物たち」は、シリーズの中でも女性ファンに人気の花屋の政(村上弘明)、組紐屋の竜(京本政樹)が参加。幕末の京都にあるという不気味な屋敷を巡る戦い。土方歳三に西川のりお、沖田総司に明石家さんま、アーネスト・サトウにケント・ギルバートなどユニークなゲストが登場。異人館は出るわ、公家や外国人集団は出るわ、三つ巴のアクション編。

ペリー荻野プロフィール
ペリー荻野

1962年愛知県生まれ。大学在学中よりラジオのパーソナリティ兼原稿書きを始める。 「週刊ポスト」「月刊サーカス」「中日新聞」「時事通信」などでテレビコラム、「ナンクロ」「時代劇マガジン」では時代劇コラムを連載中。さらに史上初の時代劇主題歌CD「ちょんまげ天国」シリーズ全三作(ソニーミュージックダイレクト)をプロデュース。時代劇ブームの仕掛け人となる。

映像のほか、舞台の時代劇も毎月チェック。時代劇を愛する女子で結成した「チョンマゲ愛好女子部」の活動を展開しつつ、劇評・書評もてがける。中身は"ペリーテイスト"を効かせた、笑える内容。ほかに、著書「チョンマゲ天国」(ベネッセ)、「コモチのキモチ」(ベネッセ)、「みんなのテレビ時代劇」(共著・アスペクト)。「ペリーが来りてほら貝を吹く」(朝日ソノラマ)。ちょんまげ八百八町」(玄光社MOOK)「ナゴヤ帝国の逆襲」(洋泉社)「チョンマゲ江戸むらさ記」(辰己出版)当チャンネルのインタビュアーとしても活躍中。