ペリーのちょんまげ ペリーのちょんまげ

掲載2020年01月10日

「幕末太陽傳 デジタル修復版」
品川の遊郭を舞台に「居残り佐平次」など落語要素をたっぷり盛り込んだ名作喜劇。
フランキー堺、石原裕次郎、南田洋子、左幸子らが泣き、笑い、幕末を走ります!

(ばくまつたいようでん でじたるしゅうふくばん ) 出演者:フランキー堺/左幸子/南田洋子/石原裕次郎 ほか  1957年

掲載2020年01月10日

 幕末の品川宿。遊女屋「相模屋」で派手に遊んだ佐平次(フランキー堺)は実は文無しで、さっそく居残りで店の雑用を任されるが、遊女の使いや客あしらい、座興まで何をやらせてもうまく、ついには売れっ妓・こはる(南田洋子)の部屋に入り浸る高杉晋作(石原裕次郎)からもカタをとりつける手柄をあげる。あっという間に居残りの「いのさん」と番頭のように頼りにされる佐平次は、あちこちで祝儀をもらったうえ、女中のおひさ(芦川いづみ)に惚れた店の若旦那・徳三郎からその橋渡しを頼まれて、ちゃっかり礼金もいただくことに。そんな折、高杉たちが御殿山の英国公使館焼き討ちを計画していることを知る。

 監督は川島雄三。落語「居残り佐平次」「品川心中」「三枚起請」などの要素や実在の人物も入れ込みながら、幕末の人間模様をテンポよく描いた名作。こはるとライバルの遊女・おそめ(左幸子)に「本気の起請文を書いた」と惚れられる佐平次が、そんなものは山ほど持っていると懐から大量の起請文を出すところなどは笑えるが、実は佐平次には「女は禁物!」と逃げ出すワケがあるのだ。清楚なイメージの南田の色っぽさは新鮮。また、思い切りのいい高杉に「だんな、お侍にしとくにゃ惜しいね~」としみじみ言う佐平次。はにかんだように笑う高杉。フランキーと若き日活スター裕次郎の掛け合いも見もののひとつ。

掲載2019年11月15日

「ふたがしら2」
松山ケンイチ×早乙女太一の新感覚盗賊ストーリー再び!
大森南朋の不気味な蔵蔵、成宮寛貴の宿敵、菜々緒の悪女も入り乱れてのお宝争奪戦

(ふたがしら2 ) 出演者:松山ケンイチ/早乙女太一/成宮寛貴/菜々緒/田口浩正/芦名星/渋川清彦/吉倉あおい/大森南朋 ほか  2016年

掲載2019年11月15日

 「脅さず殺さず、汚ねえ金を根こそぎいただく」掟を守る熱血盗賊・弁蔵(松山ケンイチ)とクールな宗次(早乙女太一)は、宿敵・赤目一味の甚三郎(成宮寛貴)と対決。新たに盗賊集団「壱師」を結成して、大胆な盗みを成功させてきた。パート2ではいよいよ「俺達は江戸のてっぺんをとる!」と弁蔵が張り切るが、最凶の敵・火付盗賊改方の蔵人(くらんど・大森南朋)が現れる。「この世はしょせん色と欲」という蔵人は、ふだんは町人・蔵蔵(くらぞう)として賭場などに出入りし、裏社会の人間たちの間に紛れこむ。お調子者の弁蔵は「蔵蔵とは面白れぇ」と意気投合。そこにに白ヘビのごとくするすると甚三郎が近づく。一方、前の赤目の頭の妻でみんなに「姐さん」と呼ばれていたおこん(菜々緒)は、頭が存命中から甚三郎と深い仲に。続編でも入浴シーンはバッチリ。その上、吉原の売れっ子太夫として、堂々の花魁道中をしている!続編初回では、悪い遊女屋の店主に監禁されて、海外に売られそうな遊女を「盗んでおくれ」と壱師に依頼したおこん姐さん。行動が謎めいてる...。二話では、鬼蜘蛛の羽織を着たあやしい男・政吉(北村有起哉)が持ち込んだ「七仏の謎」を巡っての攻防が始まる。果たして七つの仏は見つかるのか。

 脚本は劇団☆新感線の座付作家でもある中島かずき、監督は「ジョーカー・ゲーム」などを手がけた入江悠。最終話では悲劇的な出来事も勃発。盗人同士の熾烈な戦いの結末とは?

掲載2019年10月18日

「ふたがしら」
松山ケンイチ×早乙女太一がてっぺん目指す新感覚盗賊エンターテインメント
オノ・ナツメの人気原作を中島かずきの脚本、入江悠監督が仕上げた話題作

(ふたがしら ) 出演者:松山ケンイチ/早乙女太一/國村隼/成宮寛貴/菜々緒/田口浩正/芦名星/村上淳/山本浩司/橋本じゅん 2015年

掲載2019年10月18日

 「俺に任しとけ!」「男がすたるだろ!」と酒好きで喧嘩っ早い熱血男・弁蔵(松山ケンイチ)と頭脳明晰でクールな宗次(早乙女太一)は、なぜか馬が合う。ふたりは人を傷つけず、「汚え金を根こそぎいただく」掟を守る盗賊"赤目"一味。だが、頭の辰五郎(國村隼)亡き後、辰五郎の妻おこん(菜々緒)と内通した甚三郎(成宮寛貴)が実権を握り、残忍な盗みを始める。弁蔵と宗次は、「俺たちゃ悪党だ。だが、俺たちの仕事に殺しはなしだ」「てっぺんを獲る」と宣言し、赤目一党と壮絶な潰しあいをすることになる。

 松山はオノ・ナツメ原作のマンガに惚れ込み、自ら主演を希望。絶妙な身のこなしを見せる早乙女と、いい相棒ぶりを見せる。このふたりに蛇のようなまなざしで迫る成宮寛貴、初時代劇ながら濡れ場や入浴シーンもこなし、どこか謎めいた顔ものぞかせる菜々緒の悪女っぷりもみどころだ。第二話ではスリ集団の女頭目役で芦名星も登場。おこんとは一味違う裏社会の女をシャキッと見せる。

「俺は俺の一味をつくる」「いや、俺たちのだ」。弁蔵、宗次のシビれるセリフを紡ぐ脚本は劇団☆新感線の中島かずき。監督は「ジョーカー・ゲーム」の入江悠。京都の熟練時代劇スタッフによる陰影ある映像、スピーディーな演出、流れるジャズにより、暗闇を疾る盗賊たちの息遣いが伝わってくる。幅広い世代に人気の新感覚盗賊エンターテインメント。

掲載2019年06月14日

「ひばり十八番 弁天小僧」
心に傷を負った菊之助が、盗賊・弁天小僧になって大暴れ!
白波五人男の名乗りなど、名場面に次ぐ名場面の74分。

(ひばりじゅうはちばん べんてんこぞう ) 出演者:美空ひばり/里見浩太郎(現:里見浩太朗)/花房錦一/黒川弥太郎/若山富三郎/山形勲ほか 1960年

掲載2019年06月14日

 寺小姓の菊之助(美空ひばり)は、江の島・弁財天ご開帳の日、金に目がくらんだ院主の悪だくみで殺人の罪を着せられ、追われる身に。仕方なく実母を頼ったが、あろうことか母は懸賞金目当てに菊之助のことを密告する。絶望した菊之助は、「すっぱり心を入れ替えて、太く短く生きる」と親子の縁を切った。盗賊となった菊之助は得意の女装で呉服屋浜松屋に乗り込むが、あと一歩のところで正体を見破られた。そこに現れた浜松屋の用心棒は...。

 22歳のひばりは、美少年から義賊への変化、身軽な旅姿、艶やかな振袖、威勢のいい祭り半纏、大立ち回り、「もう化けちゃいられねえ」「どなたさまもまっぴらごめんなせえよ」そして「知らざあ言ってきかせやしょう」と小気味いいセリフを連発。さらにいい貫禄の義賊・日本左衛門(黒川弥太郎)、翳りと粋を兼ね備えた南郷力丸(若山富三郎)、明るく勢いのある赤星十三(花房錦一)、不適な二枚目・忠信利平(里見浩太朗)とともに不正な塩の買い占めを行う浜松屋(山形勲)の一万両を狙う! クライマックスは芝居小屋での白波五人の名乗りシーンから続く大立ち回り。大人数の捕り方の提灯がまぶしく光る。もちろん、ひばりの歌も満載。山道を歩きながら、小舟を漕ぎながら、いいのどを聞かせる。ひばり人気で当時の「近代映画」はこの映画の別冊を出したほど。昭和映画全盛期の楽しさがあふれる74分。

掲載2019年06月07日

「ひばり捕物帖 ふり袖小判」
ひばり×東千代之介のふり袖コンビに若山富三郎×里見浩太朗の豪華競演
お姫様、町娘、遊び人姿などひばりの七変化と五万両捜索の謎解きをどうぞ!

(ひばりとりものちょう ふりそでこばん ) 出演者:美空ひばり/東千代之介/里見浩太郎(現:里見浩太朗)/若山富三郎/花房錦一(現・香山武彦)ほか  1959年

掲載2019年06月07日

 祭で「鷺娘」を踊って喝さいを浴びた町の人気者、阿部川町のお七(美空ひばり)は、岡っ引きという顔も持つが、実は老中阿部伊予守(若山富三郎)の妹。ある日、お七は女スリが殺された現場付近で常陸太田藩の刻印が入った小判を見つける。太田藩では少し前に五万両もの御用金が強奪され、責任者の切腹が決まっていた。一方、伊予守に仕えながら、酒で失敗して用心棒となった佐々木兵馬(東千代之介)も怪しげな侍を見かけ、ワケアリの娘三鈴と出会ったりと事件に関わっていく。事件を追ううち、荒れ寺に向かったお七は穴に落ち、そこに「ながさき」と書いた血文字を遺した死体を見つけた...。

 チャーミングな町娘から、華麗な姫様、さらにクライマックスでは男姿で悪の黒幕相手に「てめえみたいなやつをのさばらしといちゃあ、江戸ッ子の恥でい!!」と啖呵を切っての大立ち回りとひばりの魅力を存分に味わえる捕物帖。いい味を出すのが、相手役の東千代之介。酔っ払いでお七に酒を止められていたが、「飲ませてもらうぞ」と徳利からぐいっとやって大暴れを見せる。また、二枚目として売り出し中の里見浩太朗は、紫頭巾の美剣士に。若山のきりりとした老中とともにお七の活躍を助けている。随所にひばりの歌が織り込まれ、華やかで楽しい娯楽作に仕上げたのは、ひばり映画をはじめ、のちに「ナショナル劇場」で「水戸黄門」「大岡越前」などを手がけた内出好吉監督。

掲載2019年05月10日

「幕末グルメ ブシメシ!2」
単身赴任の若い武士・伴四郎が殿の密命で他藩に潜入。
エゲレス公使を満足させる料理を作れるのか?陰謀にどう立ち向かう?

(ばくまつぐるめ ぶしめし!2 ) 出演者:瀬戸康史/酒井若菜/桐山漣/三吉彩花/笠原秀幸/草刈麻有/戸田恵子/徳井優/国広富之/平田満/草刈正雄 ほか  2018年

掲載2019年05月10日

 酒田伴四郎(瀬戸康史)は高野藩主(草刈正雄)の衣紋方藩士。参勤交代で愛妻すず(三吉彩花)を故郷に残して単身赴任中だ。彼はふとしたことから料理によってさまざまな難題を解決。シリーズ1では、茶粥ひとつにも四苦八苦した伴四郎だが、料理の技が評判になってすっかり自信過剰に。エゲレス公使(厚切りジェイソン)をもてなす料理で大失敗してしまう。おかげで伴四郎は南海藩に"売られる"はめに。肉体労働を強制される。だが、その裏にはある密書の奪還という殿の密命があった。

 時代劇で「密命」といえば、剣豪が引き受けるのがお約束(?)だが、伴四郎は腕っぷしはからきしで、やる気も中途半端。しかし、密書は高野藩の将来を揺るがす重要なものだった。思い上がりを反省した伴四郎は、幼少期に養子となった高野藩の若様に故郷の胡麻和えを作ったり、栄養不足の南海藩士に味噌の握り飯をふるまったりと、心をこめた料理を作る。瀬戸康史は、ひ弱で少々お調子者の伴四郎らしさをよく出している。また、草刈正雄は、殿なのに中間に変装して伴四郎を追いまわし、徳井優は高野藩の賄頭・菊池庄兵衛と南海藩の女中頭・お徳と二役で大いに笑わせる。最終回では、なぜかすずが洋装になって危機一髪。伴四郎は陰謀にどう立ち向かうのか!? 料理コメディという異色作ながら、時代劇の楽しみを詰め込んだ軽快なシリーズ。

掲載2019年04月05日

「旗本やくざ」
倉本聰×中島貞夫脚本を大川橋蔵主演、藤純子ヒロインで映像化
青島幸男、遠藤辰雄、近藤洋介らが山本直純音楽に乗って大暴れ

(はたもとやくざ(しゅえん:おおかわはしぞう) ) 出演者:大川橋蔵/藤純子/春川ますみ/青島幸男/大木実 ほか  1966年

掲載2019年04月05日

 「度胸千両、お祭り三次 花の八百八町は俺らのものさ!」華々しいキャッチフレーズで登場した二枚目・三次(大川橋蔵)の活躍を描く。舞台は元禄、太平の世に町人文化が花開いたはいいが、幕府財政はひっ迫。そのため、老中酒井丹波守は、米価値上げを実施しようとするが、町人たちが猛反発。酒井は直参旗本赤柄組に町人の風紀取り締まりを命じる。しかし、老中の威勢を笠に着た赤柄組は、商人を脅し、祭りを牛耳るなど、やりたい放題。すると酒井は町奴と赤柄組をケンカさせ、双方を潰すことを目論むのだった。ついに芝居小屋で衝突!というとき、すっと現れ、騒ぎを治めた気風のいい好男子こそ、丁の目の三次! そんな三次に敵方の旗本の妹・美津(藤純子)は心惹かれていくが...。

 脚本は80歳代になってもバリバリ新作執筆を続ける倉本聰と2019年新作「多十郎殉愛記」で話題を集めた中島貞夫監督の共同執筆。華やかな祭りや立ち回り、橋蔵の貴公子のような存在感は、まさに昭和の時代劇の味わい。共演には、放送作家からタレントとして活躍した青島幸男(後の東京都知事!)や橋蔵のドラマ「銭形平次」でライバル三輪の万七役でも知られた遠藤辰雄(太津朗)、必殺シリーズでも人気となった近藤洋介らが登場。山本直純の躍動感あふれる音楽を背景に大いに暴れる。なお、66年の公開後、橋蔵は映画からテレビと舞台中心の活動に移る。スターの分岐点となった主演作。

掲載2019年03月22日

「風雲児たち~蘭学革命(れぼりゅうし)篇~」
史上初の西洋医学書の和訳に挑んだ「解体新書」の立役者たちの熱血人生
原作・みなもと太郎×脚本・三谷幸喜×主演・片岡愛之助の話題作

(ふううんじたち~らんがくれぼりゅうしへん~ ) 出演者:片岡愛之助/新納慎也/村上新悟/迫田孝也/草刈正雄/山本耕史/中川大志/遠藤憲一/小日向文世ほか 2018年

掲載2019年03月22日

 江戸時代、日本の医学に大きな影響を与えた医学書「解体新書」。その刊行に挑んだ男たちの物語。みなもと太郎の歴史ギャグマンガを原作に三谷幸喜が脚本を担当した話題作。

 ある夜、囚人の腑分け(解剖)を検分した医師で蘭学者の前野良沢(片岡愛之助)と杉田玄白(新納慎也)は、人体の真の姿を伝えるため、蘭方医・中川淳庵(村上新悟)とともに、西洋医学書「ターヘル・アナトミア」の翻訳を始めた。だが、辞書もなく、「鼻」という言葉ひとつを発見するのに何日もかかる事態に。締め切りは迫るわ、発禁になりそうになるわと危機が続く。熱中する良沢は最愛の家族まで亡くすことになってしまう。なんとか形ができると、今度は完璧翻訳主義の良沢と「多少の間違いは後世の人々が正す」という玄白が対立。良沢の名がない「解体新書」が発売されてしまう。

 愛之助、新納、村上に加え、「日本中で売れる本を作れ」と言い放つ老中田沼意次に草刈正雄、平賀源内に山本耕史、林子平に高木渉、計算高い版元に遠藤憲一、良沢の妻に長野里美など三谷作の大河ドラマ「真田丸」の顔ぶれが集結した。キャラの面白さ、不逞浪人をカッコよくやっつけた後、ひょうたんに足をとられて転んで笑わせる場面などは、まさに三谷ワールド。やがて年月を経て、老いた良沢と玄白は再会する。言葉がなくてもわかりあう「同士」の姿には、現代人にも共通する哀感が漂う。

掲載2019年03月01日

「幕末グルメ ブシメシ!」
瀬戸康史が初心者料理侍になって人々を救う!ライバルは田中圭?
草刈正雄の殿様との珍妙なやりとりや家族愛にもホロリとするコメディ

(ばくまつぐるめ ぶしめし ) 出演者:瀬戸康史/田中圭/酒井若菜/三吉彩花/草刈麻有/戸田恵子/徳井優/平田満/草刈正雄 ほか  2017年

掲載2019年03月01日

 高野藩藩主(草刈正雄)の衣服を整える衣紋方の若き藩士・酒田伴四郎(瀬戸康史)は、殿の参勤交代に従い、愛する妻や娘と離れ、江戸で暮らすことに。ところが、同役でぼんやりした叔父が献上した魚の干物が騒動を巻き起こし、伴四郎はまったく経験のなかった料理をすることになってしまう。不安でいっぱいの伴四郎を助けたのは、愛妻すずの指南書だった。第一話、なんとか茶粥を作った伴四郎は、第二話では心を閉ざした高野藩藩主の正室・千代(戸田恵子)を励ます料理を作ることに。そんな伴四郎の近くでいろいろ文句を言っている謎の中間の顔をよく見たら、なんと殿の変装!?

 ハマグリ、タケノコ、こんにゃく、唐揚げ...料理に向き合う伴四郎の姿を通じて見えてくるのは、幕末の味も豊かだったということ。瀬戸康史はEテレ「グレーテルのかまど」では毎回スイーツづくりをしているが、ここでは当時の道具を使い、手作りの味を再現してみせる。そして、「真田丸」などでユニークな殿様を演じて評判になった草刈は、ここでもボケたり、怒ったり、巧みに笑わせる。第五話では殿に隠し子発覚!?の大騒動、また最終回ではすずに二枚目侍(田中圭)が近寄っている?さらに密偵も?と伴四郎はドキドキの展開になった。軽やかな中にホームドラマの泣き笑いを込めた楽しいシリーズ。ロケは江戸ワンダーランド日光江戸村で行われている。

掲載2018年11月02日

「浮浪雲」
ジョージ秋山原作×倉本聰脚本。渡哲也の飄々とした演技に驚き!
製作・石原裕次郎。幕末を舞台に斬新な内容で話題になった人気作。

(はぐれぐも) 出演者:渡哲也/桃井かおり/伊藤洋一/柴俊夫/佐藤蛾次郎/苅谷俊介/志賀勝/谷啓/笠智衆 ほか 1978年

掲載2018年11月02日

 幕末、東海道の宿場町の問屋「夢屋」は、いかつい雲助たちが行きかう店だが、主の雲(渡哲也)は、仕事もせずに女物の着物を着て、ふらふらする遊び人。娘たちに「おねえちゃん、あちきと遊ばない?」と声をかけるのがお約束だ。そんな雲に呆れながらも愛する妻かめ女(桃井かおり)は、ひとり息子の新之助(伊藤洋一)をしっかり育てようと奮闘するが、どこか空回りの日々。そんな両親を見る新之助は、勉強熱心で雲や塾の青田先生(柴俊夫)をたじたじさせることもしばしばだった。

「このドラマはフィクションであり、時代考証その他、かなり大巾にでたらめです」テロップ通り、かめが突然、ピンクレディーを歌ったり、坂本龍馬(山崎努)のサイン騒動が起きたりと、やってることは現代的。笑いの中に見えるのは、常識とか普通と言われることが、本当なのか?との問いかけだ。青田先生が芸者(五十嵐淳子)との仲を隠したり、発覚すると職を失いそうになるとは、どういうことか。「女ってのは可愛いもんです」という雲は飄々としながら、平等とは?人を愛するとは?新之助に大事なことを考えさせる。刑事ドラマとはまったく別人?の渡の新たな魅力が炸裂!原作はジョージ秋山の人気漫画。大河ドラマ「勝海舟」で顔を合わせた倉本聰と渡が再びタッグを組んで注目された。コミカルにしてシニカル、斬新な内容で今も語り草の異色作。

ペリー荻野プロフィール
ペリー荻野

1962年愛知県生まれ。大学在学中よりラジオのパーソナリティ兼原稿書きを始める。 「週刊ポスト」「月刊サーカス」「中日新聞」「時事通信」などでテレビコラム、「ナンクロ」「時代劇マガジン」では時代劇コラムを連載中。さらに史上初の時代劇主題歌CD「ちょんまげ天国」シリーズ全三作(ソニーミュージックダイレクト)をプロデュース。時代劇ブームの仕掛け人となる。

映像のほか、舞台の時代劇も毎月チェック。時代劇を愛する女子で結成した「チョンマゲ愛好女子部」の活動を展開しつつ、劇評・書評もてがける。中身は"ペリーテイスト"を効かせた、笑える内容。ほかに、著書「チョンマゲ天国」(ベネッセ)、「コモチのキモチ」(ベネッセ)、「みんなのテレビ時代劇」(共著・アスペクト)。「ペリーが来りてほら貝を吹く」(朝日ソノラマ)。ちょんまげ八百八町」(玄光社MOOK)「ナゴヤ帝国の逆襲」(洋泉社)「チョンマゲ江戸むらさ記」(辰己出版)当チャンネルのインタビュアーとしても活躍中。