ペリーのちょんまげ ペリーのちょんまげ

掲載2018年06月15日

「必殺始末人」
田原俊彦×南野陽子が許せぬ悪を始末する!
平尾昌晃の音楽はじめ必殺スタッフ集結の劇場版

(ひっさつしまつにん) 出演者:田原俊彦/南野陽子/俊藤光利/樹木希林/朝加真由美/あき竹城/森次晃嗣/伊藤敏八 ほか 1997年

掲載2018年06月15日

 江戸で鳥籠作りをする浪人・山村只次郎(田原俊彦)は、かつて大坂で凄腕の刺客として生きていた。ある日、只次郎は人殺しの罪を着せられる。それは許せぬ悪を密かに成敗している南町奉行所与力・白鳥右京(森次晃嗣)の企みだった。やがて只次郎は、かもめ(南野陽子)、リュウ(俊藤光利)とともに裏稼業をすることになり、北町奉行黒沢河内守(伊藤敏八)の暗殺を実行する。そのころ、紙問屋井筒屋の息子が同じ紙問屋亀甲屋に放火する事件が起きた。井筒屋夫婦は息子を助けるため、財産も命も差し出す覚悟だが、その裏にはワナが...。生き別れた母を思うリュウと哀しい運命に翻弄される女。すべてを悟り、「人間知らない方がいいこともある」という差し入れ屋を営むおとら(樹木希林)がいい味を出す。
 1997年に劇場公開され、ビデオ等でシリーズ化された新たな「必殺」。田原俊彦がアイドルの顔を封印して、「情にからめば、命を落とすことになる...」と悪を始末する闇社会の人間となり、スピーディーな殺陣を披露。元スケバン刑事・南野陽子がミニスカ風の着物で悪に立ち向かう姿も新鮮だ。彼らを支えたのは必殺シリーズに関わったスタッフ。随所に流れる平尾昌晃の「必殺」音楽、長く撮影を担当した石原興監督、照明・中島利男による夕日とシルエットのなど、さすがと思える。主題歌は石川さゆりの「恋路-たび-」

掲載2018年05月25日

「ひばり捕物帖 かんざし小判」
美空ひばり×東千代之介の青春コンビが謎の連続殺人事件を追う
唄に踊りに七変化。映画全盛期のお楽しみいっぱいの捕物帖

(ひばりとりものちょう かんざしこばん) 出演者:美空ひばり/東千代之介/里見浩太郎(現:里見浩太朗)/尾上鯉之助/円山栄子/堺駿二/星十郎/山口勇 ほか 1958年

掲載2018年05月25日

 江戸美人番付に選ばれた美人たちが華やかな行列をしている最中、その中のひとりが無残にも殺される。さっそく調べを始めたのは、阿部川町のお七(美空ひばり)だった。彼女は老中阿部伊予守(尾上鯉之助)の妹・妙姫でありながら、お姫様暮らしを嫌って市井に暮らし、十手持ちとなっていたのだ。下手人の目星がつかない中、今度は新橋芸者が殺される。ふたりはかんざしを盗まれていた。そのかんざしは、大泥棒稲葉小僧の一味により、松永藩から盗まれたものだった。松永藩では家老志垣主水正(薄田研二)らが怪しい動きを見せていた。下っ引きの早耳の五郎八(堺駿二)、酔っ払いの喧嘩屋佐々木兵馬(東千代之介)らと調べを進めるうち、三本あったはずのかんざしの残りの一本の行方がカギだと考えるが...。
 ひばりは威勢のいい娘十手持ち、艶っぽい芸者と華麗な七変化を見せ、唄に踊りで魅了する。クライマックスでは芝居小屋で弁慶姿で花道で大暴れ。当時、東映の若手スターとして売り出中の千代之介は、愛嬌たっぷり。ひばりとは「青春コンビ」の呼び名で息の合ったところをみせる。スカッとする太刀さばきはさすが。また、忠義と正義の間で心が揺れる若侍・田宮大介役で里見浩太朗が出演。監督はキャリア三年目で初めてひばりとコンビを組んだ沢島忠。主題歌はもちろんひばりの「かんざし小判」。御用御用と小気味よく歌い上げている。

掲載2018年04月13日

「ビートたけしの痛快時代劇 なめくじ長屋捕物さわぎ」
たけしと軍団が長屋を守るため大作戦と大乱闘!?
都築道夫原作、「抱きしめたい!」の松原敏春脚本の人情喜劇

(びーとたけしのつうかいじだいげき なめくじながやとりものさわぎ) 出演者:ビートたけし/平田満/佐藤B作/渡辺美奈代/たけし軍団/山口良一 ほか 1990年

掲載2018年04月13日

 町人文化が花開いた元禄時代。江戸の片隅のなめくじ長屋には、曲芸師や物もらいなど、一風変わった住人たちがとりあえず仲良く暮らしていた。彼らを束ねるのが、砂絵師のセンセー(ビートたけし)。ある日、吉原から逃げてきた娘まふゆ(渡辺美奈代)を助けたセンセーは、彼女の身代金二百両を三日のうちに用立てると宣言してしまう。そんな中、今度は長屋の持ち主である伊勢屋が立ち退きを要求。センセーは長屋を買い取るとまで言い切ってしまう。その後、伊勢屋が殺され、悪人たちが長屋を狙っていることが発覚。十手持ちの常五郎親分(平田満)とともに真相を追うものの、敵方には悪奉行垣内頼母(太平シロー)がついていた。

 原作は推理作家として知られる都築道夫。脚本は「抱きしめたい!」などトレンディドラマで腕を振るった松原敏春。悪奉行が芸者小梅(白石まるみ)と思って抱き寄せた相手がグレート義太夫だったり、白塗りの変な顔した伊勢屋の若旦那(山口良一)が「あの娘が欲しい~」と落語みたいなことになったり、突如水戸黄門登場(?)と面白場面が続く。立ち回りではたけしが砂絵師ならではの砂かけ攻撃!俳人のような姿のたけしとカッパ姿の井手らっきょ、中国拳法芸人風の松尾伴内など、奇天烈な恰好のたけし軍団が出演した貴重な時代劇。ちなみにラスト、元禄の有名事件の集団も出てくる。遊び心を楽しみたい長編。

掲載2018年03月16日

「橋田壽賀子時代劇スペシャル 女たちの百万石 前編・後編」
戦国のナイスカップル前田利家とまつを宇津井健と森光子が好演
運命に翻弄される豪を浅野ゆう子が演じるところにも注目

(はしだすがこじだげきすぺしゃる おんなたちのひゃくまんごく) 出演者:森光子/宇津井健/石坂浩二/浅野ゆう子/榊原郁恵/有森也実/坂上忍/池内淳子(特別出演)/京マチ子(特別出演)他 1988

掲載2018年03月16日

橋田壽賀子時代劇スペシャル 女たちの百万石
橋田壽賀子時代劇スペシャル 女たちの百万石
(C)NTV

 戦国乱世を生き抜き、加賀百万石の礎を築いた前田利家(宇津井健)・まつ(森光子)の一族を橋田壽賀子が「女の視点」で描いた話題作。
 若き日、秀吉とともに出世を夢みて戦場を駆けた利家は、天下人となった秀吉亡きあと、遺児・秀頼を補佐する立場となった。しかし、豊臣の五大老・五奉行も徳川家康(中村梅之助)派と石田三成(矢崎滋)を中心とした反徳川派の対立が深まっていく。その激突を抑えていたのは62歳の利家だった。病をおして大坂城で奮闘する利家だが、ついに命を落とす。まつは戦を覚悟しながら、前田家の跡取り利長(石坂浩二)、利政(橋爪淳)を支え続ける。
 「ここまでくるのにどれだけそなたたちにつらい思いをさせてきたか...」と涙するまつ。「戦で泣くのは遺された者たち」という強い信念を持つ橋田は、戦国の女たちの本音をセリフの中に炸裂させる。美しさが際立つのは、前田家の四女で豊臣の養女となり、負け組の宇喜多秀家(田中健)の嫁となった豪(浅野ゆう子)。当時は浅野がトレンディドラマで人気を博したころ。スタジオに畳を300畳も敷き詰め大坂城の広間を再現したとの逸話はバブル期らしい。京マチ子の北政所、池内淳子の細川ガラシャは貫禄の演技、目を吊り上げた佳那晃子の激情派淀殿もみどころ。若手では前田利常(松村雄基)と家康の孫珠姫(後藤久美子)も印象に残る。

掲載2018年01月19日

「必殺まっしぐら!」
シリーズ初主演の三田村かんざしの秀が恋をした!
歴史上の人物もからめて、最終回は意外過ぎる結末に

(ひっさつまっしぐら) 出演者:三田村邦彦/西郷輝彦/秋野暢子/笑福亭鶴瓶/大沢樹生/菅原昌子/睦五朗/藤岡重慶 ほか 1986年

掲載2018年01月19日

 80年代、必殺シリーズの人気を支えた、かんざしの秀(三田村邦彦)がシリーズ初主演。甘い声で主題歌「ゆれる...瞳」も歌う。裏稼業の目的が恋した遊女見習いの若紫(菅原昌子)を身請けするためというのも女性ファンを意識した設定だった。また、86年の放送当時、大人気だったファミコンゲーム「スーパーマリオブラザーズ」を意識した設定も導入。最終回のタイトルは「相手は江戸の大魔王」。マリオの秀がピーチ姫若紫を救えるのか?

 物語は江戸に舞い戻り、闇の元締・神楽坂宗右衛門(睦五朗)の下で裏稼業を続ける秀だが、仕事のたびに宗右衛門と張り合う別の元締・向島仁十郎(藤岡重慶)の仕事人たちに妨害され、対立は深刻化していた。しかし、身請けの金のため、秀は元締に頼まれ、全国で裏仕事をすることに。秀と組むことになるのは、桂馬のお銀(秋野暢子)、賭け将棋師でやりをつかう浪人香車の東吉(西郷輝彦)、毎回神社の「神剣」を借り出して仕事をする渡り神主の高天原綾麻呂(笑福亭鶴瓶)だった。彼らは長崎、仙台、名古屋、大坂などに出張。各地で国定忠治など歴史上の人物に遭遇する。大塩平八郎を平泉成、平手造酒を内藤剛志が演じているのも見もの。宗右衛門役の睦五朗は必殺シリーズ第一作「必殺仕掛人」のナレーションでもおなじみ。最終回の意外な展開も見逃せない必殺シリーズの異色作。

掲載2017年12月08日

「吹く風は秋」
橋爪功が過去を引きずり江戸に戻った老博徒に
命をかけて挑む最期の大勝負を描く藤沢周平新ドラマ

(ふくかぜはあき) 出演者:橋爪功/臼田あさ美/波岡一喜/大路恵美/吉村涼/今里真/鶴田忍/田山涼成/岩松了/杉本哲太 ほか 2017

掲載2017年12月08日

 過去にいざこざがあり、江戸を離れた老博徒・弥平(橋爪功)は、自らの人生に区切りをつけるため、危険を承知で江戸に舞い戻った。彼は偶然出会った遊女おさよに心惹かれる。夫のために身を売ったというおさよの話を聞いた弥平は、彼女厳しい現実を知り、一世一代の大勝負に挑む。原作は人気時代小説家・藤沢周平が「橋」をテーマに描いた名短篇集『橋ものがたり』の一篇。男の静かな決意と情を「作品に惚れ込んだ」というベテラン俳優の橋爪功が魅せる。

 博打の場面は人の運命を左右するサスペンスが漂う。意外にも橋爪にとって初めての壺振りシーン。単純に見える壺振りだが、一瞬の動きに緊張感を出すため、橋爪は京都の名人スタッフに指導され、練習を繰り返したという。また、相手役の臼田あさ美とはラブシーンも。その夫に浪岡一喜、弥平と因縁のある親分に岩松了。個性派俳優との共演も注目だ。脚本は「鬼平犯科帳」シリーズはじめ時代小説家としても人気の金子成人。監督は「HERO」や「本能寺ホテル」などで知られる鈴木雅之。孤独な弥平が、ひとり橋を渡るシーンでは、これまでの撮影では使われたことがなかった京都郊外の古い橋にグリーンバックを駆使して撮影するなど、時代劇の熟練スタッフとともに新しい映像作りが進められた。藤沢周平没後20年、生誕90周年記念の時代劇専門チャンネルのドラマシリーズ。

掲載2017年12月01日

「はぐれ狼」
中村梅之助が運命に翻弄されるはぐれ者を熱演。
奇妙な因縁で出会った男と闇社会を描く池波正太郎作品

(はぐれおおかみ) 出演者:中村梅之助/中村玉緒/名古屋章/松山政路/香野百合子/田崎潤 ほか 1982年

掲載2017年12月01日

 旗本用人の的場小金吾(中村梅之助)は、横暴な主人に嫌気がさし、公金三十両を持ち出し、恋人のおゆきと出奔した。しかし、旅の宿で金を奪われ、食べものにも事欠く中でおゆきは病死。八年後、小金吾は強請を専門にする浪人になり果てていた。そんな暮らしの中、ふと強請相手にと狙ったうなぎ屋の亭主半蔵(名古屋章)は、小金吾を見て驚愕する。半蔵は、宿屋の盗人の片割れだったのだ。恨みを晴らしにきたと思い込んだ半蔵は、小金吾の言うままに酒も金を差し出し、女房おしん(中村玉緒)や板前(松山政路)に不審がられる。そんな折、盗人の相棒だった仙太(江幡高志)が盗賊の頭(田崎潤)が半蔵の錠前破りの腕を買いたいと言っていると誘いをかけてくる。小金吾と手を切りたい半蔵は、金の工面のため、その仕事を受けるか悩むが...。

 孤児だった半蔵がおしんに母のような温かさを感じて生まれ変わったと告白する様にはぐっとくる。半蔵を支えるおしん。一方、相対死にの片割れの情婦(香野百合子)に「今に奈落の底に堕ちるよ」と言われても「おらいつ死んでもかまわねえんだ」と応える小金吾。人生に絶望した彼が土壇場で意外な決意をし、雨の中で振り返って見せる「顔」は見物。梅之助×名古屋×玉緒×香野×江幡、芸達者の熱演を堪能できる。数奇な運命に翻弄される人間と闇社会を描く池波正太郎の名編。

掲載2017年04月28日

「秀吉 総集編」
竹中直人が秀吉の波瀾万丈人生に挑んだ大河ドラマ
「心配ご無用!!」の働きと渡哲也ら豪華共演陣にも注目

(ひでよし そうしゅうへん) 出演者:竹中直人/沢口靖子/高嶋政伸/渡哲也/仲代達矢/村上弘明/市原悦子/赤井英和/細川直美/有森也実/中村あずさ/玉置浩二/大仁田厚/中尾彬/米倉斉加年/古谷一行 ほか 1996年

掲載2017年04月28日

 尾張中村の農民の子日吉(竹中直人)は、放浪中の明智光秀(村上弘明)や地元の大将蜂須賀小六(大仁田厚)らと知り合ったことから、織田信長(渡哲也)に仕えることに。賢い妻おね(沢口靖子)と結婚し、いつか「城持ち大名に」と夢見る秀吉は、天下人への道をひた走る。

 個性派俳優・竹中が主演した大河ドラマ35弾。野山や畑をふんどし姿で走り回る竹中秀吉は、歴代もっとも野性味と人間味たっぷりの秀吉といえるのかも。家臣を持たない足軽時代の秀吉がたった一晩で墨俣に城を建てるため、小六たちに協力を頼む場面などでは、偽情報を流して材木を調達、組み立てた素材を筏で運んで城を作り上げるという画期的な案を話す。小六に「途方もないサルじゃ!」と納得させ、「夢見るサルじゃ!」と受けて立つ。人たらしの魅力爆発。なんでも「心配ご無用!!」と言い放つ秀吉をびしっと叱る母なかを演じた市原悦子と兄を必死に支えた弟秀長の高嶋政伸の存在感も素晴らしい。そして迎える本能寺の変。渡哲也の壮絶な演技は見物。天下人となり野望にギラギラする様も竹中ならではの迫力。なお、少年時代の石田三成は若き日の小栗旬。彼は後に妻夫木聡主演の「天地人」ではおとなになった三成を演じた。また竹中さんも後の大河ドラマ「軍師官兵衛」で再び秀吉役に。「心配ご無用!!」も飛び出して、ファンを喜ばせた。

掲載2016年09月09日

風流太平記「密命」
夏八木勲、中条きよし、松平健の三兄弟が陰謀に挑む
山本周五郎原作の「風流」な大暴れと恋物語

(ふうりゅうたいへいき「みつめい」) 出演者:松平健/中条きよし/夏八木勲/佳那晃子/眞行寺君枝/本田博太郎/竜雷太 ほか 1990年

掲載2016年09月09日

 長崎で気ままな暮らしをしていた花田万三郎(松平健)は、次兄・甲野休之助(中条きよし)からの手紙で急遽、江戸に戻ってみると、兄の家は焼けていた。長兄の花田徹之助(夏八木勲)は、幕府大目付役部屋に勤めている。一方、紀州藩に仕官している休之助は、紀州徳川家に大規模な陰謀があるらしいと聞きつける。なんとイスパニアから武器を調達。幕府転覆をはかるという書面が出てきたというのだが、三兄弟は密命を受けて、又平(加納竜)らを連れて真実を探ることになる。そんな折、万三郎は思いを寄せるつな(真行寺君枝)と再会。一方、万三郎を好きな武家娘のかよ(佳那晃子)も事件の真っ只中で動き出す。やがて筑波の山奥で山神様が鳴くという不思議な現象を追うことに。

 まじめな役も多い松平健がのんきな三男坊に。休之助から「お前のバカは底なしだ」とまで言われながら、変装したり、紀州藩の草履取のおじさん(左とん平)を居酒屋で飲ませて情報を集めるなど活躍する。かよのキャラクターも面白く、つなに「万三郎さんをあきらめて」と頼んだり、万三郎に「私がどんな姿になっていてもすぐわかる」と恐れられたり「今は(つなより)かよの方が好きなんです」と彼の気持ちを勝手に断定して、本人に「えーっ」と驚かれたりする。恋物語の意外な結末にも注目。原作は山本周五郎。脚本は「三匹の侍」「家政婦は見た!」などで知られる柴英三郎。

掲載2016年07月22日

「幡随院長兵衛 お待ちなせぇ」
男の中の男、幡随院長兵衛のきりりとした活躍
大河ドラマ主役三人が揃う豪華顔ぶれで描く男気時代劇

(ばんずいいんちょうべえ おまちなせぇ) 出演者:平幹二朗/大原麗子/土田早苗/水野久美/江守徹/穂積隆信/小松政夫/志村喬/田中邦衛/沖雅也 ほか 1974年

掲載2016年07月22日

 将軍・家光の時代。泰平の世に力を持て余す旗本たちは弱い庶民に狼藉を繰り返し、"旗本奴"と呼ばれて嫌われていた。一方、町では口入稼業の元締めを中心にした"町奴"が台頭。中には法華の長兵衛(藤岡重慶)のように悪行をする者もおり、やはり庶民を苦しめる。そんな旗本奴、町奴に敢然と立ち向かったのが、実在の侠客・幡随院長兵衛(平幹二朗)だった。武士を捨て、筋を通す生き方をする長兵衛は、町衆や子分筋の夢の市郎兵衛(江守徹)、唐犬権兵衛(沖雅也)、留吉(小松政夫)らからも慕われ、江戸一番の元締めになっていく。"天下の御意見番"大久保彦左衛門(志村喬)も一目置く長兵衛だが、旗本奴との溝は深まるばかりであった。

 歌舞伎や講談で「男の中の男」として語られる長兵衛を平幹二朗が粋に演じる。アクション、人情、怪談まで各話バラエティに富み、大河ドラマの主役となった平、江守、大原麗子(長兵衛を支えるおきん役)三人が揃う豪華な娯楽作。クールなイメージの沖雅也が熱血男・権兵衛を演じるのも見物。一度は堅気の中間になろうとした権兵衛だが、勤め先の旗本 岩倉鉄之助に虐められ、法華らにはリンチされ、瀕死の重傷に。それでも自分を助けてくれた女中を助けに行くが、ついに殺されそうに。そこに割って入った長兵衛の「お待ちなせぇ」のカッコいいこと!長煙管で刀を打ち払い、旗本をぎゃふんといわせる長兵衛の活躍に拍手喝采。

ペリー荻野プロフィール
ペリー荻野

1962年愛知県生まれ。大学在学中よりラジオのパーソナリティ兼原稿書きを始める。 「週刊ポスト」「月刊サーカス」「中日新聞」「時事通信」などでテレビコラム、「ナンクロ」「時代劇マガジン」では時代劇コラムを連載中。さらに史上初の時代劇主題歌CD「ちょんまげ天国」シリーズ全三作(ソニーミュージックダイレクト)をプロデュース。時代劇ブームの仕掛け人となる。

映像のほか、舞台の時代劇も毎月チェック。時代劇を愛する女子で結成した「チョンマゲ愛好女子部」の活動を展開しつつ、劇評・書評もてがける。中身は"ペリーテイスト"を効かせた、笑える内容。ほかに、著書「チョンマゲ天国」(ベネッセ)、「コモチのキモチ」(ベネッセ)、「みんなのテレビ時代劇」(共著・アスペクト)。「ペリーが来りてほら貝を吹く」(朝日ソノラマ)。ちょんまげ八百八町」(玄光社MOOK)「ナゴヤ帝国の逆襲」(洋泉社)「チョンマゲ江戸むらさ記」(辰己出版)当チャンネルのインタビュアーとしても活躍中。