ペリーのちょんまげ ペリーのちょんまげ

掲載2020年08月21日

「青春牡丹燈籠」
三遊亭圓朝の名作怪談を唐十郎の新解釈で長編ドラマ化した芸術性高い力作
豊川悦司の新三郎を思う、20歳の宮沢りえのお露が怪しくもまぶしい美しさを放つ!

(せいしゅんぼたんどうろう ) 出演者:宮沢りえ/豊川悦司/柴俊夫/六平直政/篠井英介/和泉元彌/朝丘雪路/石橋蓮司 ほか  1993年

掲載2020年08月21日

 美貌の旗本の娘・お露(宮沢りえ)は、ある日、自分の片方の眉が剃り落されているのに気づく。頭巾を被って夜の町に出たお露は、遊び人の若者たちにからかわれる。そこに飛び出してきた若い浪人・萩原新三郎(豊川悦司)は、「あなたの眉を剃ったのは私です」「お詫びします」と、いきなり自分の眉を剃り落す...。衝撃的な出会いから、恋仲になった二人。だが、謎めいた女・かげろう太夫(朝丘雪路)は、お露の眉は不吉だと予言する。その後、お露をモデルに春画を描いた叔父の絵師・春亭(石橋蓮司)の巻き添えで新三郎も牢に入ることに。その間に新三郎に横恋慕する左源太(篠井英介)のせいでお露は命を落とし、幽霊となって恋人の前に現れる...。

 江戸の落語家・三遊亭圓朝の名作「怪談牡丹燈籠」の二人の物語の前段を唐十郎が大胆な新解釈で脚色した。原色を多用したセットは、幻想的で妖しいムードを漂わせ、和泉元彌らが古典芸能のように演じる遊び人の若者たちの動きやカギとなる浮世絵も含め、全体が舞台芸術のよう。また、ロケは栃木県の採石場で行われ、人口の地底湖まで作る力の入れようだった。骨が人間に変化する様子は、当時最先端のCGで表現されるが、それよりなにより、20歳の宮沢りえの美しさがまぶしい。「わたしを忘れないために」というお露の言葉が印象的な原話とは一味違うラストもみもので、人を愛することとは何かを強烈に描いている。

掲載2020年07月24日

「ご存知!旗本退屈男Ⅳ~紀州徳川家滅亡か!? 謎の女狐と仮面の男 大暗殺隊主水に迫る~」
退屈のお殿様を北大路欣也が豪快に演じた人気シリーズ第四弾
紀州藩主急死の裏で動き出した陰謀探索のために旅に出た主水之介と忍び集団の激闘

(ごぞんじ!はたもとたいくつおとこ 4 ) 出演者:北大路欣也/堺正章/古村比呂/長門裕之/多岐川裕美/中山仁 ほか  1990年

掲載2020年07月24日

 将軍・徳川綱吉(長門裕之)にも一目置かれ、天下往来自由の許しを得た旗本・早乙女主水之介(北大路欣也)は、「退屈の虫が騒ぐ」と悪者退治をして江戸の庶民にも慕われるお殿様。紀州藩主が不審な死を遂げ、妹の菊路(古村比呂)の縁談相手で、紀州藩の跡取りである新之助(西川忠志)が襲撃された。間一髪、その危機を救った主水之介は、騒動を見つめる大淀屋(中山仁)と目が合う。紀州家では新之助を抹殺し、側室の子を藩主にと陰謀を巡らす江戸家老(御木本伸介)が暗躍。藩重臣の娘・縫(多岐川裕美)と心を通わせた主水之介は、根来の忍び衆と戦い、行方不明に!? ついに魔の手は法要で手を合わせる綱吉へと迫る!

 北大路欣也が父・市川右太衛門の当たり役を演じて人気を博した長編シリーズ第四弾。今回も雲に菊、花車などを金銀錦で飾った派手な着物での旅立ちとなる。着の身着のままの旅立ちでもしっかり着替えるのはお約束。「しれ者めが!」「この額の向こう傷が目に入らぬか」「人呼んで旗本退屈男」とピシッと気持ちいい決めゼリフの数々と「望みとあらばひとさし舞って進ぜよう」と余裕タップリに見せる主水之介得意の「諸羽流正眼崩し」の必殺剣、時に二刀流も駆使する華麗な殺陣もみどころだ。吊り燈籠のからくりや側用人・喜内(堺正章)との掛け合い、桂歌丸・林家木久蔵(現・木久扇)コンビの面白さもお見逃しなく。

掲載2020年07月17日

「合葬」
江戸の終わりの志と恋と友情。彰義隊に加わった三人の若者の切なすぎる最後の一カ月。
杉浦日向子の代表作を気鋭の脚本家・渡辺あやが脚色した新感覚時代劇映画

(がっそう) 出演者:柳楽優弥/瀬戸康史/岡山天音/門脇麦/井ノ脇海/桜井美南/オダギリ ジョー ほか  2015年

掲載2020年07月17日

 大政奉還をした徳川慶喜は江戸城を新政府に明け渡し、水戸で謹慎。慶喜を警護するため結成された彰義隊は、治安維持にも活躍し、市民から信頼を得ており、この事態に不満を抱いていた。「わが命は上様に捧げ奉ると決めている」と彰義隊に参加した秋津極(柳楽優弥)は、家督を弟に譲り、許嫁・砂世(門脇麦)とも別れを決意。幼なじみの砂世の兄・悌二郎(岡山天音)は、彰義隊は新政府に反逆する集団であり、参加は無意味だと怒る。たまたま居合わせた友人の吉森柾之助(瀬戸康史)も加わり、三人は写真を撮った。そして、極は志から、悌二郎は極を止めるため、養子先を追い出され、行き場のない柾之助は彼らに誘われるままに彰義隊に身を投じる。だが、新政府軍との激突「上野戦争」が目の前に迫り、三人の運命は暗転する...。

 白虎隊、新選組などに比べ、あまり取り上げられないが、実質三千人もの隊士を擁した彰義隊。その内幕を三人の若者の志や友情、悲恋もからめて描いた。瀬戸はこの役について「将来について悩み、道を決められないのは現代と同じ。今を生きる僕らに通じる」と語っている。彼らを見守る隊の幹部をオダギリジョーが演じ、「このままでは犬死だ」と悲痛な表情を見せる。三人の写真が切ない。原作は杉浦日向子が日本漫画家協会賞優秀賞を獲得した人気コミック。脚本は、朝ドラ「カーネーション」の渡辺あや。ナレーションは、カヒミ・カリィ。

掲載2020年05月29日

「劇場版タイムスクープハンター 安土城 最後の1日」
本能寺の変の直後、誰が安土城を炎上させたのか?
未来のジャーナリストたちが危険な現場にタイムワープし、その謎に迫る

(げきじょうばんたいむすくーぷはんたー あづちじょう さいごのいちにち ) 出演者:要潤/夏帆/杏/時任三郎/上島竜兵 ほか  2013年

掲載2020年05月29日

 未来のジャーナリストが、タイムワープ技術を駆使して、歴史的現場に急行。教科書に載らない"名もなき人々"に密着して、歴史の真実に迫る。ドキュメンタリータッチのスタイリッシュな映像で注目された「タイムスクープハンター」シリーズの劇場版。本能寺の変直後の「安土城焼失」の謎に挑む。

 主演は時空ジャーナリスト沢嶋雄一こと要潤だ。驚くのはオールロケによる現場のリアルさ。信長の宝を追って、安土城に潜入するシーンは、安土城跡地での撮影当日、台風に見舞われたが、史実でも焼失の日が雨だったとされるため、そのまま撮影したという。また、新人ジャーナリスト役の夏帆、戦国武士役の時任三郎、豪商役の上島竜兵など、豪華ゲストとの共演もみどころのひとつ。こんなシリアスな上島は見たことないかも!?未来の武器を持つ謎の山伏との激闘など、「何があっても歴史を変えない」という厳しい規則の下で繰り広げられる、本格的なアクションもスピード感抜群。特に城での戦いは、CGではなく、火薬を使った爆風により砂や石が飛んでくるため、出演者たちの緊張の表情も本物だ。そんな中で沢嶋にも危機が...。学生カバン型タイムワープ装置、時間を停止させるフリーズガン、クモ型極小カメラなど、特殊アイテムも充実。名もなき人の叫びの中で見いだされた焼失の謎の答えに思わず、膝を打つはず。

掲載2020年05月08日

「鯉名の銀平 雪の渡り鳥(主演:大川橋蔵)」
「地獄へ墜ちろい!」筋目を通す渡り鳥。長谷川伸の名作に大川橋蔵が挑んだ長編。
近藤正臣、坂口良子、左時枝、西田健ら豪華共演陣と五木ひろしの歌声も盛り上げる。

(こいなのぎんぺい ゆきのわたりどり ) 出演者:大川橋蔵/坂口良子/近藤正臣/小松方正/左時枝/織本順吉/片桐竜次 ほか  1983年

掲載2020年05月08日

 伊豆下田で長年、網元として漁師を守ってきた大鍋一家は、乱暴な帆立一家に漁場をねらわれていた。大鍋の小頭・銀平(大川橋蔵)は、相談役の五兵衛(織本順吉)の娘・お市(坂口良子)と恋仲だったが、五兵衛から弟分の卯之吉(近藤正臣)とお市を添わせると聞き、身を引いた。そして帆立一家と大ゲンカとなった際、銀平は帆立一家の代貸・多治郎(片桐竜次)を斬って凶状旅に出た。旅先で駆け落ちの若者(桜木健一・西崎みどり)を助けた銀平は、大鍋一家の二代目親分が死んだと知る。伊豆に戻った銀平はお市に「下田はこんな地獄に」と聞かされ、帆立の汚いやり口に怒りを爆発させる。

 戦前から何度も戯曲や映画で親しまれた長谷川伸の名作に、天下の二枚目・大川橋蔵が主演。見所は、銀平に対して引け目を感じている卯之吉がお市に「その目がずっと俺を責め続けてきた」と悩みを吐露したり、料理屋の女将(左時枝)が大鍋親分の敵討ちのため命を懸けたりと、人間ドラマとしても深いところ。特に帆立の富蔵(西田健)は、偽のウワサで卯之吉らを惑わせるしたたか者。刀を抜かぬと誓っていた銀平が「地獄へ墜ちろい!」と誓いを破る瞬間は、ぞくぞくするほどの男っぷり。製作は83年。「銭形平次」とは一味違う魅力が際立つ。途中、五木ひろしが歌う「鯉名の銀平」も流れ、昭和時代劇の雰囲気もたっぷり。橋蔵はこの作品の翌年、急逝した。

掲載2020年02月21日

「影の軍団 服部半蔵」
渡瀬恒彦と西郷輝彦のW服部半蔵が、甲賀忍者、影の権力者と激突!
緒形拳、成田三樹夫、森下愛子ら豪華キャストと工藤栄一監督による忍者アクション巨編

(かげのぐんだん はっとりはんぞう ) 出演者:渡瀬恒彦/西郷輝彦/森下愛子/山村聰/緒形拳 ほか  1980年

掲載2020年02月21日

 徳川三代将軍・家光のころ、絶大な権力を握った松平伊豆守(成田三樹夫)は、「世情の不安をあおる」と浪人狩りを指示。中でも改易された熊本藩などの浪人たちは厳しく取り締まられた。家光が亡くなると、四代将軍候補・家綱と家光の弟・保科正之が実権を握ることになる。あるとき、伊賀忍者の服部半蔵(渡瀬恒彦)は伊豆守派の屋敷を襲ったことがきっかけで、伊豆守から保科暗殺を頼まれる。だが、先代の半蔵が幕府に使い捨てされたことを恨む半蔵は拒否。しかし、伊賀にはもうひとり、上の半蔵(西郷輝彦)がいた。伊賀には昔から上と下の忍者があり、上は市井にまじって暮らし、下はあくまで影の草の者として生きなければならない。やがて二人の半蔵は、甲賀の四郎兵衛(緒形拳)らと死闘を繰り広げることになる。見えないところの暗闘が続く中で、家綱誘拐事件が起こった。

 監督は「十三人の刺客」などダイナミックな戦いを得意とする工藤栄一。企画には、2020年に亡くなった「極道の妻たち」の日下部五朗も参加している。擬斗はドラマ「影の軍団」でトランポリンを駆使した忍者アクションを導入して人気を獲得した菅原俊夫。上と下、厳しい掟に生きる半蔵の屈折を渡瀬が表現。また、四郎兵衛の娘・千里(森下愛子)の禁断の思いも取り入れられ、豪華キャストによる人間味とアクションあふれる長編となっている。

掲載2020年01月31日

「帰郷」
仲代達矢が30年にわたり熱望した藤沢周平の傑作短篇がついに映像化!
杉田成道監督が信州・木曾福島ロケで撮った圧巻の映像美にも注目。

(ききょう) 出演者:仲代達矢 常盤貴子 北村一輝 緒形直人 佐藤二朗/三田佳子/ 橋爪功 中村敦夫 2019年

掲載2020年01月31日

 かつて親分の罪を被って、信州・木曾福島から江戸に出た博奕打ちの宇之吉(仲代達矢)。しかし、世話になった相州屋清五郎の妻・おとしと深い仲になり、江戸を出奔した。そして30年。病に倒れ老い先短いことを悟った宇之吉はひとり故郷へと舞い戻る。そこには十人の荒くれと斬りあう男、源太(緒形直人)がいた。源太は愛した女・おくみ(常盤貴子)を巡るいさかいに巻き込まれていたのだ。その姿に過去の自分を重ねた宇之吉は、昔の仲間から衝撃的な事実を聞かされる。そして宇之吉は命を賭けた勝負に出る。

 「帰郷」は、藤沢周平の傑作短篇に惚れこんだ仲代達矢が、実に30年にわたって、映像化を望んだ作品。製作には仲代の想いに共鳴した常盤貴子、北村一輝、緒形直人、佐藤二朗、田中美里、前田亜季、三田佳子、橋爪功、中村敦夫ら豪華な共演者に京都の時代劇熟練スタッフが揃った。演出は国民的ドラマ「北の国から」の杉田成道。音楽は加古隆。信州・木曾福島の雄大な自然の中でロケを敢行。仲代は現場取材で「走ったりチャンバラもあるが、『本番!』の声を聞くと、腰の痛みも忘れる」とユーモアを交えて主演の喜びを語った。世界最大のコンテンツ見本市フランスMIPCOMでのアジア作品初となるワールドプレミア上映や、第32回東京国際映画祭特別上映で世界が認めるところとなった。日本を代表する名優の熱演と圧巻の映像美に注目したい。

掲載2020年01月17日

「ゴルフ夜明け前」
坂本龍馬・陸奥陽之助と近藤勇・沖田総司がまさかのゴルフ対決! 
龍馬暗殺、鳥羽伏見の戦いなど史実も盛り込まれた桂三枝(現・文枝)原作の異色作

(ごるふよあけまえ ) 出演者:渡瀬恒彦/高橋惠子/太平シロー/桂文珍 1987年

掲載2020年01月17日

 幕末。坂本龍馬(渡瀬恒彦)は、寺田屋で急襲を受け、おりょう(高橋惠子)となんとか危機を脱する。その後、長崎の商人・グラバーから武器を買い付けた龍馬はゴルフを教わり、面白さに魅了される。外交に使えると考えた龍馬は陸奥陽之助(佐藤B作)と新選組の近藤勇(桂三枝:現・文枝)、沖田総司(橋爪淳)とゴルフ対決。近藤はルールを説明されても「わからん」と苦い顔。龍馬から「ハンディを」と言われると、「それではこちらが弱いということになる」「誠の旗に傷がつく」などと言い出し、沖田を困らせるのだった。

 桂三枝(現・文枝)原作の人気創作落語を「ウルトラマン」の佐々木守が脚色。土方歳三に西川のりお、西郷隆盛に西川きよしと吉本の人気者が多数出演した。中でも「逃げの小五郎」こと桂小五郎は、あまりにズタボロ変装で島田紳助とはわからないほど。渡瀬の龍馬は、「ええ気分じゃのう」「サンクユー」と明るさと押しの強さが同居。おりょうにパンツをはかせようとしたり、西洋ではこれが一番と熱烈キスをしたり、スケベな顔と愛嬌を見せる。ゴルフ場では和やかだった面々だが、やがて対立。岩崎弥太郎が「あんたをペガサスにしてみせるぜよ」と応援した龍馬暗殺シーンはやはり悲しい。鳥羽伏見の開戦後、近藤と沖田が再びゴルフ場に立った時の会話も時代を象徴する。名言迷言満載の異色幕末映画。

掲載2019年12月13日

「雲霧仁左衛門4」
雲霧一党が天下の大騒動「天一坊」事件と関わることに?
怪しげな郎党たちと火付盗賊改方、さらには雲霧仁左衛門の新たな狙いも

(くもきりにざえもん4 ) 出演者:中井貴一/國村隼/永山絢斗/佐野史郎/イッセー尾形/内山理名/近藤芳正/手塚とおる/大東駿介 ほか  2018年

掲載2019年12月13日

 人を傷つけず、大胆な盗みを実行する雲霧仁左衛門一党を描くシリーズ第四弾。オリジナルストーリーとなる本作では、江戸時代、実際にあったご落胤騒動「天一坊事件」が深く関わってくる。

 大盗賊・雲霧(中井貴一)は、ご落胤と名乗り、多くの供を従えながら、悩みを抱える天一坊(永山絢斗)とたまたま知り合った。天一坊は、八代将軍吉宗が母に授けたという証拠の刀を持っているが、赤川大膳(佐野史郎)が、自分には言わずに浪人たちから仕官支度金として50両も徴収したと知り、怒っていたのだ。一方、雲霧らは豪商に盗みに入るが、そこには安部式部(國村隼)率いる火付盗賊改方が待ち構えていた。米価高騰で暴利を得る柏屋(イッセー尾形)も暗躍し、不穏な空気の中で、雲霧は次の狙いを決める。「狙うは...」。なんと!

 今回も商家の女中から公家の女御までどんな女にもなりすます七化けのお千代(内山理名)、声色名人のナンバー2三坪の伝次郎(近藤芳正)、盗み細工を施す大工小僧七松(大東駿介)、俊足の州走りの熊五郎(手塚とおる)など雲霧一党が固い結束を見せる。また、火盗改チームも、与力、同心、岡っ引き総動員で対抗。ゲストのイッセー尾形が口をへの字に眉毛を上下させて悪人役を怪演。大詰めにはコミカルな役も多い小野武彦が老中役でふてぶてしさを見せる。雲霧との対決に注目。

掲載2019年10月04日

「剣客商売 手裏剣お秀」
北大路欣也演じる秋山小兵衛が出会った女剣士の秘めた覚悟とは
原作・池波正太郎。真剣勝負と人間味たっぷりの登場人物がみもの。

(けんかくしょうばい しゅりけんおひで ) 出演者:北大路欣也/貫地谷しほり/斎藤工/古谷一行/國村隼/比嘉愛未 ほか  2018年

掲載2019年10月04日

剣客商売 手裏剣お秀
剣客商売 手裏剣お秀
©フジテレビジョン/松竹

 知る人ぞ知る無外流の達人・秋山小兵衛(北大路欣也)は、道場を息子・大治郎(斎藤工)に譲り、孫ほどの年の差の嫁おはる(貫地谷しほり)とともに悠々自適の暮らしを送っている。ある日、大治郎は、門人の飯田粂太郎から、長屋の隣に住む浪人三人が人殺しを企んでいると聞き、小兵衛に相談する。調べてみると、彼らが狙っているのは、品川・台町の道場にいる女剣士・杉原秀(比嘉愛未)だとわかる。少し前に父親を亡くした秀は、自分が狙われていると小兵衛に忠告されても、動こうとはしない。どうやらワケアリとみた小兵衛と大治郎は、密かに秀の周辺を探ると意外な事実がわかる。

 秀は根岸流手裏剣の名手で、比嘉は丸い「蹄」と呼ばれる種類の手裏剣で攻撃する。過去の因縁から逃れられない秀を優しく諭す小兵衛。女一人で道場を守る秀が、父のような小兵衛に励まされ、心を開く姿も見どころだ。北大路は敵に「おぬしは何者だ」と聞かれると「通りすがりのじじいだ」と即答。剣客としての厳しさとしゃれっ気のあるおとなの男、双方の魅力を醸し出す。大治郎の斎藤は、堅物で不器用な若き剣客。面白いのは、おはるの貫地谷。すねたり、ほだされたり。表情豊かで愛らしさのあるおはるになっている。このほか、老中・田沼意次の國村準、小兵衛の友人・古谷一行、秀を狙う男たちに松田悟志、波岡一喜、秀のこども時代を鈴木梨央が演じている。

ペリー荻野プロフィール
ペリー荻野

1962年愛知県生まれ。大学在学中よりラジオのパーソナリティ兼原稿書きを始める。 「週刊ポスト」「月刊サーカス」「中日新聞」「時事通信」などでテレビコラム、「ナンクロ」「時代劇マガジン」では時代劇コラムを連載中。さらに史上初の時代劇主題歌CD「ちょんまげ天国」シリーズ全三作(ソニーミュージックダイレクト)をプロデュース。時代劇ブームの仕掛け人となる。

映像のほか、舞台の時代劇も毎月チェック。時代劇を愛する女子で結成した「チョンマゲ愛好女子部」の活動を展開しつつ、劇評・書評もてがける。中身は"ペリーテイスト"を効かせた、笑える内容。ほかに、著書「チョンマゲ天国」(ベネッセ)、「コモチのキモチ」(ベネッセ)、「みんなのテレビ時代劇」(共著・アスペクト)。「ペリーが来りてほら貝を吹く」(朝日ソノラマ)。ちょんまげ八百八町」(玄光社MOOK)「ナゴヤ帝国の逆襲」(洋泉社)「チョンマゲ江戸むらさ記」(辰己出版)当チャンネルのインタビュアーとしても活躍中。