ペリーのちょんまげ ペリーのちょんまげ

掲載2016年09月23日

「けろりの道頓 秀吉と女を争った男」
道頓堀を作った男の「いい香りのする美女の作り方」!?
司馬遼太郎原作。破天荒にして純な男を西田敏行大熱演

(けろりのどうとん ひでよしとおんなをあらそったおとこ) 出演者:西田敏行/財前直見/筒井道隆/木村佳乃/伊東四朗/仲村トオル/阿木燿子/細川ふみえ ほか 1999年

掲載2016年09月23日

 河内の豪農・安井道頓(西田敏行)は子ができず、正妻おりん(財前直見)公認で妾を何人も養っていた。美少女お藻(木村佳乃)を見初めた道頓は、彼女には「青物だけを食べよ」と命じる。すると不思議なことにお藻からはえもいわれぬよい香りが漂うのだった。ところが天正17年、お忍びで青物市場を訪れていた関白豊臣秀吉(伊東四朗)にお藻を見つけられ、側女として召し出すよう命じられてしまった。泣く泣くお藻を差し出した道頓に秀吉は褒美として緋鯉を贈ってくる。やがて、農民のために川と川をつなぐ堀を掘ろうと思いついた道頓は、資金調達や人手の確保を始めるが、普請が無許可だと代官所に捕えられる。

 原作は司馬遼太郎の短編。今も大阪のシンボル『道頓堀』の始めを作った男の数奇な運命をユーモアと愛情たっぷりに描く。いい味を出すのが、正妻おりんの財前直見。夫を信じ、妾たちにも優しかった彼女の死に「ほんま、わしはけったいな男やねん」と道頓は号泣。妾達(鈴木紗理奈、細川ふみえ)も大泣きする。秀吉の死後、またも大坂には戦の気配が。堀の普請を続ける道頓は「庶民が作ったものを侍が壊していく」と怒り、意外過ぎる行動に出る。ナレーションは、道頓の養子で堀の普請を引き継いだ安井道卜役の上岡龍太郎。淀殿に阿木耀子、片桐且元に仲村トオルが出演。ジェームス三木脚本らしい泣き笑いの戦国長編。

掲載2016年06月17日

「御存じ いれずみ判官」
片岡千恵蔵の当たり役・遠山の金さんが加賀に潜入。
上様の前で苦悩しつつ、悪を撃つ名セリフが炸裂!

(ごぞんじ いれずみはんがん) 出演者:片岡千恵蔵/丘さとみ/木暮実千代/月形龍之介/千秋実/山形勲/進藤英太郎/片岡栄二郎ほか 1960年

掲載2016年06月17日

 孔雀長屋で陽気に暮らす遊び人の金さんは実は長崎奉行の遠山景晋の息子・遠山金四郎(片岡千恵蔵)。ところが父は、抜け荷買いの一味と通じた疑惑で奉行の座を追われる。金四郎は伯父の大目付・跡部山城守(薄田研二)から、父の疑惑の源が加賀藩の手先として暗躍する廻船問屋だと知る。加えて、加賀・前田家から両替商に支払われた小判が贋金という事実も判明し、金四郎は父の汚名を晴らし、事件の全容をつかむため、長屋の仲間・丑松(千秋実)とお景(丘さとみ)とともに加賀に向かう。そこで禁制品の搬入を目撃した金四郎は、江戸の加賀藩邸に潜入。そこでは家老・大月利左エ門(山形勲)の奥方暗殺と放火という恐ろしい悪事が準備されていた。さらに将軍家にも関わる黒幕の存在を確信した金四郎は、将軍・家慶(徳大寺伸)が高覧する宴の場に躍り出た!

昭和時代劇の大スター・片岡千恵蔵が当たり役を円熟味あふれる演技で魅せる。見せ場は宴の場での悪人追及。大月は「何を証拠に」と堂々と居直り、証人の金さんを出すなら桜吹雪ごと出せと息巻く。上様の前で入れ墨など見せたら、武士としての立場はない。「畏れ多き事」と苦悩する金四郎だが、「これも世の為人の為」と決意して片肌をすっぱり脱いでみせた。待ってました!と声をかけたくなるこの瞬間。「でっけえ魚」を追い詰める名セリフ、啖呵が気持ちいい。惚れ惚れする金さん映画。

掲載2016年05月27日

「影武者 徳川家康」
関ヶ原以後の家康は影武者!波瀾万丈の大胆仮説家康伝
西田敏行が人間味あふれる影の男をじっくりと見せる

(かげむしゃ とくがわいえやす) 出演者:西田敏行/観月ありさ/山本耕史/高橋光臣/名取裕子/高橋英樹/内藤剛志/及川光博/谷村美月ほか 2014年

掲載2016年05月27日

 運命の関ヶ原当日。石田三成(及川光博)方の武将・島左近(高橋英樹)の命により、忍びの甲斐の六郎(高橋光臣)は家康(西田敏行)暗殺する。だが、徳川方側近たちは影武者・世良田二郎三郎(西田二役)を本物として逆転勝利する。その後も家康として生きなければ、自分も秘密を知った側室のお梶(観月ありさ)まで命はないと本多正信(目黒祐樹)に言われた二郎三郎は、腹をくくる。しかし、偽物と知った家康の三男・秀忠(山本耕史)は、豊臣を滅ぼし、二郎三郎を征夷大将軍とし、自分が二代将軍となって権力の頂点に立とうと目論む。そんな秀忠に「家康」は孫の千姫を豊臣秀頼に嫁がせると宣言。影武者・家康×秀忠のバトルは加熱する。

 原作は、池田一朗名義で多くの時代劇の脚本を手がけ、60歳を過ぎてから「吉原御免状」など優れた伝奇時代小説を発表した隆慶一郎。やはり光るのは、気弱な影武者から、秀忠(ヒール役・山本の憎い演技も見物)の独裁を許さぬ「大御所」になっていく二郎三郎を見事に見せた西田の名演。処刑寸前の三成に自らの羽織をかけ、「くれぐれも丁重に」と声をかける優しさ、六郎にかつて自分が信長の命を狙う狙撃手だった過去を語るシーンなどはぐっとくる。淀殿の名取裕子、柳生但馬守の内藤剛志のほか、勝野洋、柴俊夫、栗塚旭ら名優が顔を揃える。徳川家康没後400年記念作として放送、大きな反響を呼んだ骨太人間ドラマ。

掲載2016年04月15日

「剣客商売 陽炎の男」
女剣士・佐々木三冬が夢で見た陽炎の男とは!?
香具師の元締めと秋山小兵衛の関わりも絶妙の味わい

(けんかくしょうばい かげろうのおとこ) 出演者:北大路欣也/杏/貫地谷しほり/斎藤工/國村隼/山田純大/古谷一行/内野謙太/栗田よう子 ほか 2015年

掲載2016年04月15日

 時の老中・田沼意次(國村隼)の娘・佐々木三冬()が暮らす和泉屋の寮に数人の浪人が押し込んだ。三冬は撃退したものの、何か裏がありそうだった。一方、秋山小兵衛(北大路欣也)は、暴漢に襲われた若侍・村松伊織(窪塚俊介)を助けた。伊織は小兵衛の恩人の嫡男だったが、へなへなとした色男。恋仲になったお照が、裏の世界の顔役・香具師の元締め鎌屋の辰蔵(柄本明)の愛娘で怒った辰蔵一家から襲撃されていたのだ。犯罪のにおいのする和泉屋の事件と、とほほな伊織の恋愛沙汰。ふたつの事件を小兵衛と息子の大治郎(斎藤工)がどう解決していくかがみどころとなる。

 シリーズ開始から四年目となり、小兵衛の年下の嫁・おはる(貫地谷しほり)や十手持ちの弥七(山田純大)らレギュラー陣も息が合い、生真面目な大治郎のとぼけた面白さもよく出ている。特に今回は、三冬が陽炎の中から近づいてくる男の夢を見て驚くシーンがポイント。原作では、大治郎と三冬は結婚するが、このシリーズの山下智彦監督は「ふたりは中学生の淡い恋からやっと大学生の恋愛程度まででいい」と、不器用なふたりの姿を楽しんでほしいときっぱり。確かにそこが面白いのだが...。対照的に剣はさっぱりだが、女子には手が早い(?)伊織の本音には驚く。終盤、娘を思う辰蔵と小兵衛、江戸の壮年男性ふたりの絶妙なやりとり、交流は心を打つ名シーンになった。

掲載2016年04月01日

「仮面の忍者 赤影」
涼しい目が魅力の飛騨忍者赤影と白影、青影が大活躍
和風の怪獣たちとの戦いもこどもたちを熱狂させた名作

(かめんのにんじゃ あかかげ) 出演者:坂口祐三郎/金子吉延/牧冬吉 ほか 1967年

掲載2016年04月01日

 人気漫画家・横山光輝の原作マンガを創設されたばかりの東映テレビ室が映画のノウハウを駆使して作り上げた特撮時代劇。

 舞台は戦国。飛騨の二枚目忍者赤影(坂口祐三郎)とベテラン忍者白影(牧冬吉)、能天気な少年忍者青影(金子吉延)が、悪忍者集団と戦う。赤影は仮面の下からのぞく涼しい目が魅力的。白影はピンチになると「赤影どの~」と声をかけながら大きな凧で現れる頼もしい存在。青影は手をパーに広げて鼻の横で「大丈夫」というポーズが大人気に。一方、敵方忍者も天津敏、原健策、汐路章ら東映映画で鳴らした名優たちが登場。名悪役が本気でこどもたちを驚かそうと迫るので、怖いったらなかった。シリーズは第一部「金目教篇」第二部「卍党篇」第三部「根来篇」第四部「魔風篇」の四部構成。第二部くらいからは怪獣とも戦うことになった。巨大化したカブトムシで角から光線を放射する「甲虫怪獣アゴン」、口から火を噴く「ムカデ怪獣ドグマ」梟怪獣ガッポ、山椒魚怪獣ガンダ、山猫怪獣ジャコーなど独自の和風怪獣たちの造形にも注目したい。1967年放送当時の現場担当者を取材したが、30分の番組を映画並みの凝り方で撮ったため、徹夜の連続だったという。白影の大凧も京都撮影所の建物から吊り下げて牧冬吉は命がけ?の演技だったとか。その熱気と創作魂が炸裂した名作。

掲載2016年03月25日

「花神 総集篇 第一回 革命幻想」
大村益次郎を中村梅之助が熱演した幕末大河ドラマ
高杉晋作の中村雅俊、吉田寅次郎の篠田三郎も人気に

(かしん そうしゅうへん だいいっかい かくめいげんそう) 出演者:中村梅之助/浅丘ルリ子/中村雅俊/篠田三郎/米倉斉加年/宇野重吉/加賀まりこ ほか 1977年

掲載2016年03月25日

 「一人の男がいた」小高昌文アナの名調子で始まる司馬遼太郎原作の大河ドラマ総集編。

幕末、大坂の緒形洪庵(宇野重吉)の適塾に村田蔵六(後の大村益次郎・中村梅之助)が入塾する。新入りは一番暗い畳スペースしか与えられないが、蔵六は持前の勤勉さで塾頭となった。その後、村医となり静かな家庭生活を送っていた蔵六は、宇和島藩に仕官し、やがて官軍総司令官となる運命をたどっていく。梅之助は写真に残る益次郎の超個性的な風貌に近づくため、大きなおでこと極太眉毛を装着して登場。非業の死をとげる益次郎の最期まで関わりを持つシーボルトの娘・イネ(浅丘ルリ子)とのエピソードは歴史秘話ともいえる。

 また、総集編前半では、黒船を見聞して「これが西洋か!」「俺の持っていた小さい文明が壊れていく」と衝撃を受け、密航を企てたり、老中暗殺を計画するなど、痛いほどまっすぐに生きた吉田寅次郎(篠田三郎)にもスポットが当たる。寅次郎のキラキラした目力は半端じゃない。彼を慕う松下村塾の面々の群像劇も見物のひとつ。若き俊英・久坂玄瑞(志垣太郎)や高杉晋作(中村雅俊)は篠田とともに女性ファンにも人気となった。花神(昔の中国で花咲爺さんの意味)のごとく時代にパッと花を咲かせ、あっという間に世を去った益次郎。こういう人物が出てくるのが幕末という時代だったのだと改めて感じる名作。

掲載2016年02月26日

「元禄太平記 総集編 第一部 栄光の章」
石坂浩二演じる柳沢吉保の目から見た「忠臣蔵」
豪華キャストが揃い、高視聴率を獲得した大河ドラマ

(げんろくたいへいき そうしゅうへん だいいちぶ えいこうのしょう ) 出演者:石坂浩二/江守徹/竹脇無我/松坂慶子/小沢栄太郎/芦田伸介/岡田茉莉子/片岡孝夫(現・仁左衛門) ほか 1975年

掲載2016年02月26日

 五代将軍綱吉(芦田伸介)の治世。元禄文化全盛の元禄十四年(1701)、江戸城松の廊下で勅使饗応役の赤穂藩主浅野内匠頭(片岡孝夫・現・仁左衛門)が、吉良上野介(小沢栄太郎)に刃傷に及んだ。怒った綱吉は即「切腹!」と命令。綱吉に重用される側用人・柳沢吉保(石坂浩二)は、若い日、江戸で偶然出会った大石内蔵助(江守徹)ら赤穂浪士の動きを探るようになる。

 1975年、「昭和元禄」といわれた時代に放送された正統派忠臣蔵。最高視聴率41.8パーセントを記録した大河ドラマ第13弾。事件の背景に塩生産にからむ経済問題があったとの新解釈も注目された。吉良は浅野に、饗応施設の屏風に難癖をつけたり、突然畳替えを命じるなど数々の嫌がらせをしたうえ、「大たわけ!」などと罵倒。パワハラを繰り返す。吉良を討ち損じ、悔しがる内匠頭の演技は、歌舞伎の様式美が漂う。共演には堀部安兵衛に関口宏、水戸光圀に森繁久彌、徳川家宣(甲府綱豊)に木村功、大石主税に若き日の中村勘九郎(先代)、赤穂浪士に味方する吉保の甥・柳沢兵庫に竹脇無我、吉良方剣士・清水一学に当時人気の若手歌手・三善英史と豪華な顔ぶれ。また、女優陣も超豪華。大石りくに岡田茉莉子、阿久利に松坂慶子。柳沢家には松原智恵子、若尾文子がともに側室に。目がくらむような女性に囲まれ、大出世を遂げた柳沢がどう「忠臣蔵」を見つめたか。気品あふれるセリフの数々とともに楽しみたい。

掲載2016年02月05日

「勝海舟 総集編」
渡哲也・松方弘樹主演、倉本聰脚本による大河ドラマ
人斬り以蔵の萩原健一、竜馬の藤岡弘、も人気に

(かつかいしゅう そうしゅうへん) 出演者:渡哲也/松方弘樹/尾上松緑(二代目) /久我美子/丘みつ子/大谷直子/大原麗子 ほか 1974年

掲載2016年02月05日

 幕臣の勝麟太郎(渡哲也、松方弘樹)は、豪快で人に好かれる父・勝小吉(尾上松緑 二代目)に期待されて養育され、次第に頭角を現す。黒船来航で大騒ぎとなって以降、幕府は力を落としている。ジョン万次郎らと咸臨丸で渡米し、広く世界情勢を学び、勝海舟と号した麟太郎は、神戸に海軍操練所の創設を願い出るなど、働き始める。そんな勝のもとには、さまざまな人間たちが引き寄せられる。坂本竜馬(藤岡弘、)もそのひとりだった。また、竜馬と同じ土佐出身の岡田以蔵(萩原健一)は、武市半平太に命じられるままに人斬りを重ねていた。そんな以蔵も勝の護衛として働くうち、少しずつ自分のことを見直すのだが...。やがて尊皇攘夷の嵐が襲い、大政奉還がなされる。「新政府の副関白には徳川慶喜公を」と提案し、戦を避けたいと願う竜馬はかえって薩摩に警戒され、暗殺の悲劇が。そして、勝は江戸を災禍から守るため、薩摩との交渉の時が訪れる。

 大河ドラマ第十二弾。脚本は倉本聰。主役の渡哲也が病気降板し、急遽、松方弘樹が登場。その男気と男の色気あふれる勝の姿が話題となった。石橋蓮司の吉田寅次郎、米倉斉加年の佐久間象山など演技派が揃うのはさすが。以蔵は勝に「わしゃ、どういうか...先生が好きじゃきに」と告げ、泣き笑いのような表情を浮かべる。しかし、武市は以蔵に勝暗殺を命じる。以蔵の悲しみが伝わる名場面。

掲載2016年01月22日

「国盗り物語 総集編」
平幹二朗の斎藤道三×高橋英樹の信長が戦国を疾走!
まむしの父とたわけ殿の夫を持つお濃の松阪が美しい!

(くにとりものがたり そうしゅうへん) 出演者:平幹二朗/高橋英樹/松坂慶子/近藤正臣/池内淳子/山本陽子/三田佳子/火野正平 ほか 1973年

掲載2016年01月22日

 独自の先見性と強みを持って、美濃の国で勢力を拡大していった斎藤道三(平幹二朗)は、娘・帰蝶(松坂慶子)の嫁ぎ先を尾張の国の織田信長(高橋英樹)と決めた。しかし、信長は評判の「たわけ者」「うつけ者」で、得体のしれないところがあった。道三は帰蝶に懐剣を渡し、いざとなれば信長を刺せと言う。しかし、帰蝶は「この刀で父上を刺すことになるかも」と答えるのだった。戦国乱世、骨肉の争いもある中、道三は「それでこそわが娘」と娘をほめたたえる。一方、土手に犬千代こと前田利家(目黒祐樹)と寝っ転がり、「尾張一国の主になるなどつまらん」と「天下」を夢見ていた信長は、嫁いできた帰蝶を「美濃から来たからお濃だ」と言いだし、道三との初の対面に臨む。最先端の武器である鉄砲隊を引き連れた信長の姿に「なんじゃ、あれは」と驚く道三だが、凛々しく着替えた信長と一言も口をきかずに会食した後、タダモノでない婿に自分の経験、軍略などを伝える好意的な手紙をしたためるのであった。

 原作は司馬遼太郎。脚本は大野靖子。まむしとうつけ、ふたりの強烈な武将の個性から、互いに認め合う男のドラマを感じさせた骨太ドラマ。松坂慶子の知的なお濃の美しさが輝く。また、後年、信長を討つ光秀の近藤正臣の悲壮な美男ぶりも話題に。ナレーションは「鬼平」でおなじみの中西龍。「真田丸」作者三谷幸喜も惚れ込んだ豪華版戦国大河ドラマの総集編。

掲載2016年01月01日

「清須会議」
脚本・監督の三谷幸喜 四十年来の念願が映画に結晶!
役所広司、鈴木京香、佐藤浩市ら豪華戦国コメディ

(きよすかいぎ) 出演者:役所広司/大泉洋/小日向文世/佐藤浩市/妻夫木聡/浅野忠信/寺島進/でんでん/松山ケンイチ ほか 2013年

掲載2016年01月01日

 本能寺の変で世を去った織田信長の後継者を誰に?役所広司演じる柴田勝家派とライバル羽柴秀吉(大泉洋)派に分かれ、心理戦、情報戦の末、会議は意外な展開に。脚本・監督の三谷幸喜が、清須会議に興味を持ったのは、小学四年生。あまりに長い間、このテーマについて考えていたため、「織田家は鼻が大きい」「秀吉一族は耳でか」など、頭の中ではすっかりビジュアルが完成済み。本作では、そのイメージをつけ鼻、つけ耳など特殊メイクで再現。女優陣もかなりの腹黒 お市役の鈴木京香や信長長男の嫁役の剛力彩芽が、眉毛を塗りつぶし、お歯黒をしたリアルな戦国美女に。まさにこの作品は監督の四十年来の夢の結晶なのである。

 勝家は、恋しいお市様に「頑張って」とささやかれて有頂天に。お市は、息子を殺した秀吉憎しの一心で、対立する勝家に肩入れしているのだが、勝家はまったく気がつかない。勝家のこどもっぽいおっさんぶりは、大いに笑えるが、役所本人は愛すべき人物と受け止めたという。浅野忠信、中谷美紀、小日向文世、妻夫木聡ら豪華キャストの戦国絵巻。中でも注目は、やたら「目が泳ぐ」重臣・池田恒興役の佐藤浩市。三谷監督はわざと「カッコ悪い佐藤浩市」にしたとか。「前作の役の人間がそのまま出演」の三谷映画のお約束で西田敏行が、監督の前作「ステキな金縛り」の落ち武者役で登場するのも見逃せない。

ペリー荻野プロフィール
ペリー荻野

1962年愛知県生まれ。大学在学中よりラジオのパーソナリティ兼原稿書きを始める。 「週刊ポスト」「月刊サーカス」「中日新聞」「時事通信」などでテレビコラム、「ナンクロ」「時代劇マガジン」では時代劇コラムを連載中。さらに史上初の時代劇主題歌CD「ちょんまげ天国」シリーズ全三作(ソニーミュージックダイレクト)をプロデュース。時代劇ブームの仕掛け人となる。

映像のほか、舞台の時代劇も毎月チェック。時代劇を愛する女子で結成した「チョンマゲ愛好女子部」の活動を展開しつつ、劇評・書評もてがける。中身は"ペリーテイスト"を効かせた、笑える内容。ほかに、著書「チョンマゲ天国」(ベネッセ)、「コモチのキモチ」(ベネッセ)、「みんなのテレビ時代劇」(共著・アスペクト)。「ペリーが来りてほら貝を吹く」(朝日ソノラマ)。ちょんまげ八百八町」(玄光社MOOK)「ナゴヤ帝国の逆襲」(洋泉社)「チョンマゲ江戸むらさ記」(辰己出版)当チャンネルのインタビュアーとしても活躍中。