ペリーのちょんまげ ペリーのちょんまげ

掲載2014年07月04日

「喧嘩安兵衛 決闘高田ノ馬場」
高橋英樹が愛すべき中山安兵衛となって大暴れ
田村高廣・南田洋子ら名優と堀ちえみら若手も奮闘。

(けんかやすべえ けっとうたかだのばば ) 出演者:高橋英樹/田村高廣/萬田久子/南田洋子/堀ちえみ/下條正巳/森川正太/浅香光代/品川隆二 ほか 1989

掲載2014年07月04日

新発田藩浪人中山安兵衛(高橋英樹)は、三国峠で父の仇を討ったが、敵方武芸者中津川(浜田晃)との斬りあいで崖から転落。西条藩士菅野六郎右衛門(田村高廣)に助けられた。六郎右衛門は、親切にも樋口十郎左衛門(大木実)の道場入門を世話し、五両もの金を与える。道場で必死に修行を積んだ安兵衛は、江戸で六郎右衛門に再会。成長した安兵衛と接した六郎右衛門と妻うの(南田洋子)は、彼を甥として迎えた。しかし、西条藩では槍の指南役村上(品川隆二)が若い藩士松平右京大夫(武井三二)を騙して私服を肥やしていた。六郎右衛門は、村上と対決することを決意するが、それはワナ!

 監督は田中徳三。みどころは名優たちの熱演。決死の覚悟の六郎右衛門がうのに「人はいつか別れなければならん。達者でな」と静かに伝える場面にはぐっとくる。田村といえば、映画で安兵衛を演じた阪東妻三郎の長男。阪妻安兵衛が必死に走るシーンは日本映画の名場面だ。品川隆二は、小判を池にまいて、裾をまくった腰元たちにキャーキャーと拾わせるなど悪漢ぶりが面白い。後に安兵衛と深く関る堀部弥兵衛を下條正巳が演じ、娘の堀ちえみに「(ウワサの安兵衛を)お前の婿に」「おこぜみたいな顔だったらどうするのお父様!」などお茶目な会話をするのも楽しい。決闘の場で娘が貸した真っ赤なしごきをキリリと締めて戦う安兵衛。高橋英樹の豪快な殺陣が光る。

掲載2014年04月18日

「影同心Ⅱ」
黒沢年男×水谷豊×山城新伍×浜木綿子が悪人退治
衝撃の殺し技と監督陣の暴れっぷりもナイス

(かげどうしん2 ) 出演者:黒沢年男/水谷豊/山城新伍/浜木綿子/片桐夕子/岡田英次 ほか 1975

掲載2014年04月18日

毎日放送・TBS系で制作された「影同心」。そのパートⅡは、寺社奉行所同心の堀田源八郎(黒沢年男)、香泉寺の尼僧・香月尼(浜木綿子)、不良男の留吉(水谷豊)、牢番の平七(山城新伍)というユニークな顔ぶれ。もはや同心は、ひとりしかいなくても、「影同心」と名乗るのは、シリーズ化された強みですね。75年、放送を見て、源八郎が刀を使うことや平七が髪で絞殺を図るのはすんなりわかったが、留吉が楊枝をコーン!と鎚で打ち込んだり、香月尼が鋭くカットした切り花の茎を相手の首に突き刺したのは衝撃だった。香月尼様(浜木綿子は尼僧姿がよく似合う…後にテレビ朝日系『土曜ワイド劇場』では尼さん探偵シリーズに主演。芸能界一の尼僧女優といえるかも?)自ら、手を下す!合言葉は「一殺多生」。香月尼は「浮かばれぬ哀れな人たちを成仏させるためならば、私は喜んで地獄に落ちます…」と、悪への怒りを抑えながら語るのだった。

 工藤栄一、倉田準二、井上昭ら監督陣も、凝ったアクション劇を展開。タイトルが「妻の秘め事乱れ菊」「尼寺㊙女郎花」「㊙女色地獄」など挑発的なのも特長のひとつ。ゲストに志垣太郎、若林豪、蜷川幸雄も登場。最終回は岸田森が締めた。「時には娼婦のように」大ヒット以前の黒沢が♪夕陽が落ちていく~とムードたっぷりに歌い上げる主題歌「いつかおまえに」もいい曲。

 

掲載2014年03月28日

「源氏物語―千年の謎―」
生田斗真と豪華女優陣による華麗な宮中絵巻
物語と史実が交差する意外な展開も新しい

(げんじものがたり―せんねんのなぞ― ) 出演者:生田斗真/中谷美紀/窪塚洋介/東山紀之/真木よう子/多部未華子/芦名星/蓮佛美沙子/室井滋/田中麗奈 2011

掲載2014年03月28日

絶世の美男子・光源氏を主人公に、めくるめく宮中の恋愛ドラマを、時に情熱的に、時に幻想的に、時にシビアに描いた傑作「源氏物語」。紫式部が創作したといわれるこの作品は、これまで多くの名優が光源氏を演じ、映像化されてきた。この「源氏物語―千年の謎―」は、光源氏(生田斗真)の恋の遍歴とともに、タイトルにもある通り、源氏物語誕生のいきさつに潜む謎に迫る。

 平安時代、権力をわが手に握ることを画策する藤原道長(東山紀之)は、帝(東儀秀樹)の心を娘彰子(蓮佛美沙子)に向けさせるため、紫式部(中谷美紀)に物語を書かせることにした。物語の中で、光源氏は実母桐壷(真木よう子)に瓜二つの義母藤壺(真木二役)に恋い焦がれ、ついに禁断の一線を超えようとしてしまう。正式な妻葵の上(多部未華子)がいながら、次々女性たちとの逢瀬を続ける源氏。教養ある年上女性六条御息所(田中麗奈)は、源氏を思うあまり、生霊にまでなるが…。

 物語は評判となり、彰子は帝の子を産み、道長の野望を達成される。しかし、紫式部は執筆をやめない。その理由とは? すごいのは、女優陣。たよやかな美女かと思ったら、目からジェラシービームを発射し、鬼気迫る姿に!もう誰が生霊だかわからない。安倍晴明(窪塚洋介)もたじたじの勢いだ。すべての愛憎劇の中心人物を演じた生田斗真は会見で「ラブシーンが次々あって眠れない日々」と告白。「僕が源氏じゃなかったの?」と明るい東山紀之(かつて源氏を演じたことがある)とは対照的だった。史実と物語世界が交差する独特の展開に、愛と嫉妬が入り混じる現代性もあって、平安が苦手な人にもとても見やすい。斬新な「源氏物語」映画。

掲載2014年02月28日

「影同心」
山口崇、渡瀬恒彦、金子信雄の三人が悪を抹殺。
金子のものすごい技に世の中騒然とした意欲作

(かげどうしん) 出演者:山口崇/渡瀬恒彦/金子信雄/范文雀/勝部演之/丹阿弥谷津子/田村髙廣 ほか  1975

掲載2014年02月28日

南町奉行所の三人のダメ同心、調子のいいゴマすり右近こと更科右近(山口崇)と、「おらあ、そこらのなまくら役人とはわけが違うぜ!」乱暴者酒好き男の高木勘平(渡瀬恒彦)、定年間近で「おとうさん」と呼ばれる生き字引だが、枯れるどころか若い愛人お佐和(范文雀)とねっとりした場面も見せる柳田茂左衛門(金子信雄)。周囲から役立たずと思われるこの三人が、実は、奉行所では解決できない悪を暴き、密かに抹殺する「影同心」なのであった。

 監督に映画「仁義なき戦い」の深作欣二はじめ、工藤栄一、井上昭と、名匠が揃い、俳優陣を存分に動かす。1975年当時「大岡越前」でセレブ感たっぷりの将軍吉宗を演じる山口は、気弱なぺーぺー同心で、女ものの櫛を使った殺しを見せる。やくざ映画でブイブイ言わせていた渡瀬は、時代劇でも大暴れ。金子信雄は、実際の妻丹阿弥谷津子がドラマでも妻役でおおいにいびられ、裏の顔では、なんと男の急所をつぶすという衝撃的な技を披露。「痛すぎる!」とペリーもびっくり世間もびっくり。

 ABC「必殺シリーズ」がTBS系からテレビ朝日に移る「腸ねん転」と言われる放送上の事情もあり、対抗馬的に制作されたドラマだが、「妖怪」と庶民から嫌われた町奉行鳥居甲斐守(田村高廣)が実は影同心を操るなど、ダークヒーローの面白さを佐々木守ら人気脚本家がたっぷり見せる。娯楽時代劇の意欲作。

 

掲載2014年01月17日

「好色一代男」
雷蔵自ら出演を熱望した井原西鶴代表作
どうにも止まらぬお調子肉食男の生き方にご注目

(こうしょくいちだいおとこ ) 出演者:市川雷蔵/若尾文子/中村玉緒/船越英二/水谷良重/近藤美恵子/浦路洋子/阿井美千子/中村鴈治郎 ほか 1961

掲載2014年01月17日

「好色一代男」といえば、ご存知、江戸時代の人気作家井原西鶴の代表作。映画では、京都の大店但馬屋の跡取り息子世之介(市川雷蔵)の女性遍歴を大映のスター女優たちと描き出す。とにかく、驚くのは、世之介の調子のよさ。度を超す女遊びを心配した父親(中村雁治郎)ら周囲が進める縁談をへらへら断り、京都の花魁の吉野太夫(水谷良重)を口説き落とした世之介。「食べてしまいたいほど好きや」「その言葉をどれほどの女に言うた?これくらい?」「指の数ではまかないきれん」…て、よく言うわ!かと思えば、わけありの娘(中村玉緒)には「あんたといっしょに殺されたら本望や」と逃亡を企てる。どこまで本気?と思えるが、その肉食ぶりは、修行に出された江戸でもフルスロットル。ついに坊主にまでされたというのに、父の遺産をついだのをいいことにナンバーワン夕霧太夫(若尾文子)に接近…もうどうにも止まりません!追い詰められた世之介が海で何をしでかすかにもご注目。

 素顔はドライで皮肉屋という雷蔵は、シリアスな作品と同時にやはり放蕩息子役の「ぼんち」(市川崑監督)のような破天荒男役を好んだ。「好色一代男」は、当時、注目の若手監督増村保造に雷蔵自ら依頼、出演を熱望した作品だけに、画面いっぱいに楽し気に踊り、独特のユーモアと色気を発する。「眠狂四郎」などとは一味違う雷蔵の魅力があふれる。

掲載2013年12月20日

「風の中のあいつ」
ショーケン演じる黒駒の勝蔵が裏街道を疾走」
安井かずみ作詞、ジュリーの幻の主題歌も必聴です!

(かぜのなかのあいつ) 出演者:萩原健一/前田吟/下條アトム/米倉斉加年/星由里子/竹下景子/安田道代 ほか 1973

掲載2013年12月20日

黒駒の勝蔵は、清水の次郎長の宿敵として、腹黒い親分と描かれることも多い。本作は、その勝蔵の生き様を、田中徳三監督ら名匠たちが30分の疾走感あふれる映像で描き切った名作。主演は、萩原健一。当時、「太陽にほえろ」のマカロニ刑事役で大人気だった萩原は、不器用なはぐれ者の姿を絶妙に表現。各話のサブタイトル「駿河の海に吠えろ」「さらば、愛しき人よ」「幕末同棲時代」など高度成長を支える猛烈な労働に疲れた70年代の日本の流行や空気感が漂う。「やりきれねえなあ」は、若き萩原にしか言えない一言だった。

 甲州黒駒村の裕福な家の息子勝蔵(萩原)は、暴れん坊で、渡世の世界に顔がきく大旦那から「こいつはやくざにするしか使い道がない」と、一家を構えるための空家をあてがわれる。威勢だけはいいものの、金も力もない勝蔵は、女房の墓も立てられない玉五郎(前田吟)と敵討ちのいざこざに巻き込まれ、男盛りの次郎長(米倉斉加年)に助けられる。貫録負けして悔しがる勝蔵だが、幼馴染のおいと(竹下景子)が売られる後姿を見て、いつか次郎長をしのぐ男になると誓うのだった。

 男のドラマだが、姉おきん(星由里子)、おいと、色っぽいおりは(大楠道代)ら女と出会いと別れもみもの。安井かずみ作詞・平尾昌晃作曲、沢田研二が歌った主題歌はレコード化されず、幻の名曲としてファンも多い。

掲載2013年11月22日

「剣客商売 御老中暗殺」
北大路欣也の秋山小兵衛、斎藤工の大治郎
杏の佐々木三冬が、老中暗殺陰謀に挑む!

(けんかくしょうばい ごろうじゅうあんさつ) 出演者:北大路欣也/杏/貫地谷しほり/斎藤工/山田純大/神保悟志/古谷一行/國村隼 ほか 2012

掲載2013年11月22日

山形勲、中村又五郎、藤田まことら味のある名優が演じてきた池波正太郎の大人気小説「剣客商売」。2012年制作された本作は、原作「女武芸者」「御老中毒殺」をドラマ化。道場を息子に譲り、悠悠自適の老剣客秋山小兵衛に北大路欣也、堅物息子の大治郎に斎藤工、小兵衛の女房となるおはるに貫地谷しほり、老中田沼意次に國村隼、その娘で女武芸者佐々木三冬に杏、十手持ちの四谷の弥七に山田純大と、充実の顔ぶれが揃った。

 物語は、大治郎に「ある者の腕を折ってくれ」と依頼がくることから始まる。やがてそれが田沼に取り入るため、娘の三冬を狙った計画だと発覚する。三冬の危機を救った秋山父子だったが、老中の命をも狙う陰謀が…。

北大路小兵衛は、「政とは、汚れた中に真を探すもの」など老境ならではの名言を語る一方、おはるにでれでれしたり、嫉妬されてトホホだったりと人間臭い。もちろん、剣をとっては軽々と見せながら、重い一撃を与える、さすがの身のこなし。斉藤、杏の大型コンビの若手らしい直線的な動きとは対照的だ。「父が『剣客』の大ファン」と張り切る貫地谷はかわいいおはる。小兵衛の恩人役の西田健、医師小川宗哲役の古谷一行、剣客仲間牛堀久万之助役の上田耕一らベテランの笑顔、セリフも印象的。祝言で歌い踊る古谷・上田は最高!山下智彦監督の時代劇愛も感じる長編。

掲載2013年11月15日

「御金蔵破り 家康の首」
大凧で尾張名古屋城を狙った男が再び立つ!
若山富三郎の人気シリーズ第三弾

(ごきんぞうやぶり いえやすのくび ) 出演者:若山富三郎/林与一/紀比呂子/大木実/梅沢昇/瑳川哲朗/京春上/大場順 ほか 1983

掲載2013年11月15日

重厚さと人懐こさを併せ持ち、なおかつアクションにも抜群の冴えをみせる若山富三郎の持ち味を存分に活かした時代劇スペシャルのシリーズ第三弾。第二弾では、かつて公儀の忍びだった父(佐山俊二)を見殺しにされたことを深く恨む怪盗“闇の牙”こと市兵衛(若山)が、幕府上層部の屋敷を荒らし廻り、ついには尾張名古屋城の金の鯱を狙って、娘お朝(菊地優子)とともに大凧で潜入。しかし、鉄壁の防御態勢を敷く敵方忍び(瑳川哲朗)に追い詰められ、辛くも大凧で脱出するまでを描いた。第三弾では、その大凧が尾張の山中に落下。今度は純金の家康像を狙うストーリー。重要な役割を果たすのが、日本の隅々にまでネットワークを持つ大道芸人一族の差配仁太夫(大木実)と、盗賊の小次郎(林与一)。彼らの前には、尾張で対決した伊賀忍びが立ちはだかり、雪の中、壮絶な戦いが繰り広げられる。

 瑳川といえば、「大江戸捜査網」の井坂十蔵役でもおなじみ。今回も、執念で家康像を追う市兵衛に対し、部下を率いて徹底的な追跡を行う。一方、市兵衛の志に共感する仁太夫役の大木実は、日活の照明スタッフ出身で善悪両方の役柄を演じる名わき役として活躍。ペリーもNHK「とおりゃんせ~深川人情澪通り」放送時にインタビュー経験があるが、渋くていい声の持ち主で、若山主演の映画「子連れ狼」シリーズでは、宿敵柳生烈堂を演じていた。

掲載2013年11月01日

黒澤和子インタビュー

(くろさわかずこいんたびゅー) 2013

掲載2013年11月01日

「清須会議」の戦国時代は、ピーコック文化で、男の人が「俺が俺が」と目立つためにド派手にした時代。私は、ド派手な戦国衣装をやってみたかったし、今回は戦シーンがなくて、衣装を汚す必要もない。きれいな衣装ばかりで、とても楽しかったですね。

三谷監督と相談して、織田家は赤、柴田勝家は青、羽柴秀吉は黄色と色分けをしています。中でも監督がこだわったのが、池田恒興(佐藤浩市)。池田は、勝家、秀吉のどっちつかずの緑色なんですが、監督からは「趣味が悪いイメージで」とリクエストが。この他、うつけ者の織田信雄(妻夫木聡)は、袖もすそもデレデレ長い。こうすると、いかにもおバカっぽいですよね(笑)。

時代劇の衣装というと、構える監督も多いですが、史料に赤が流行と記されていても、全員赤を着たわけじゃない。それは現代も同じ。Tシャツみたいにまくったり縛ったり実用的にしていたはずですから、気楽に考えましょうと私は提案します。役の助けになるのが衣装。三谷監督初時代劇は、わかりやすく面白い。ぜひ、ご覧ください。

 

 

 

掲載2013年07月19日

「怪猫有馬御殿」
「お城でありましたことはみんな夢...」
恐ろしい嫉妬の嵐と怪猫譚をロマン美女が怪演!

(かいびょうありまごてん ) 出演者:岡田奈々/片桐夕子/畑中葉子/目黒祐樹 ほか 1983

掲載2013年07月19日

不作が続く有馬藩だが、殿や側室たちは領民の苦しみを顧みず、暗鬱な空気が漂っている。そんな中、美しさで評判の庄屋の娘美和(岡田奈々)は、お城に奉公に上がる。実は、美和は、七年前に城内で自害した姉・富美(泉じゅん)の死の真相を突き止める決意をしていたのだった。城では、藩主の寵愛をめぐる女たちの争いがあることを突き止めた美和。姉が殿の目に留まり、子まで宿しながら、嫉妬した側室のお巻の方(片桐夕子)と取り巻きたちによって自害に追い込まれたとわかったとき、不気味な黒猫の鳴き声が…。

 80年代、フジテレビ系で放送された時代劇スペシャルの中でも、片桐夕子、泉じゅん、さらに畑中葉子と日活ロマンポルノで人気を博した美女が揃っての怪演。特に「ようも殿のご寵愛を!」と、短刀を振りかざす片桐の迫力はすごい。また、女たちの争いをたくみに利用する悪家老の横内正も、目の周りに黒いカゲを入れての不気味演技も見もの。終盤、美和が「お城でありましたことは、みんな夢でございました…」とつぶやくが、それで話は終わっていたのか。ちなみに、江戸時代、寄席などで怪猫話は人気ネタで、中でも「鍋島」「岡崎」「有馬」は三大怪猫ストーリーの現場として知られていた。昭和期、怪談女優として鳴らした入江たか子も映画版で「怪猫有馬御殿」に主演している。こちらも怖いっ!!

ペリー荻野プロフィール
ペリー荻野

1962年愛知県生まれ。大学在学中よりラジオのパーソナリティ兼原稿書きを始める。 「週刊ポスト」「月刊サーカス」「中日新聞」「時事通信」などでテレビコラム、「ナンクロ」「時代劇マガジン」では時代劇コラムを連載中。さらに史上初の時代劇主題歌CD「ちょんまげ天国」シリーズ全三作(ソニーミュージックダイレクト)をプロデュース。時代劇ブームの仕掛け人となる。

映像のほか、舞台の時代劇も毎月チェック。時代劇を愛する女子で結成した「チョンマゲ愛好女子部」の活動を展開しつつ、劇評・書評もてがける。中身は"ペリーテイスト"を効かせた、笑える内容。ほかに、著書「チョンマゲ天国」(ベネッセ)、「コモチのキモチ」(ベネッセ)、「みんなのテレビ時代劇」(共著・アスペクト)。「ペリーが来りてほら貝を吹く」(朝日ソノラマ)。ちょんまげ八百八町」(玄光社MOOK)「ナゴヤ帝国の逆襲」(洋泉社)「チョンマゲ江戸むらさ記」(辰己出版)当チャンネルのインタビュアーとしても活躍中。