ペリーのちょんまげ ペリーのちょんまげ

掲載2015年12月18日

「御存知 鞍馬天狗」
中井貴一が知的な天狗に!近藤勇はビートたけし
監督・市川崑のセンスと豪華キャストが光る長編

(ごぞんじ くらまてんぐ) 出演者:中井貴一/多岐川裕美/国生さゆり/中村勘太郎(現・勘九郎)/中村七之助/石坂浩二/ビートたけし ほか 1989年

掲載2015年12月18日

 幕末、稼ぎを落としてしょげた角兵衛獅子の杉作(中村勘太郎/現・勘九郎)と新吉(中村七之助)兄弟は、倉田典膳(中井貴一)に金をもらい、助けられる。二人の親方で十手持ちの長七(川谷拓三/つけ眉毛がすごい)は、典膳を鞍馬天狗と察知し、新選組に通報。典膳は隊士を斬って立ち去った。そこで死んだ隊士の恋人・お登勢(多岐川裕美)は、「他人に任せはしない」と自ら倉田への復讐を誓う。その後、新選組は謎めいた密告文書「天狗廻状」を手掛かりに討幕派の志士を追い詰め、抹殺していく。いったい誰が天狗廻状を書いているのか。典膳は、桂小五郎(神田正輝)が信頼する元大阪城代の宗像近江守(大滝秀治)があやしいとにらむが、確たる証拠はなかった。

 脚本にも加わった監督の市川崑がご存知主人公作品に自らのセンスを取り入れた長編。当時、二十代だった中井貴一は、細身ながら知的な天狗となっている。また、天狗を助ける吉兵衛(加藤武)が代表作「金田一シリーズ」の中でも見せた「よし、わかった!」を見せたり、その金田一役だった石坂浩二が「峰打ちだ」と嫌味などスマートな月形半平太として特別出演したり、桂を慕う芸者・幾松(萬田久子)が「勤王芸者で一生押し通します」とキリリと宣言したりと豪華キャストが次々登場。糺の森での近藤勇(ビートたけし)と天狗との戦いの意外な結末にも注目。

掲載2015年11月06日

「木枯し紋次郎 関わりござんせん」
菅原文太の紋次郎に市原悦子、田中邦衛らがからむ
紋次郎の哀しい過去と切なすぎる結末が心を打つ

(こがらしもんじろう かかわりござんせん) 出演者:菅原文太/田中邦衛/中村英子/市原悦子/大木実 ほか 1972年

掲載2015年11月06日

 上州新田郡三日月村の貧しい農家に生まれた紋次郎は、生まれてすぐに間引きされそうになったところを、姉のお光の機転で助けられた。やがて家を捨てた紋次郎(菅原文太)は、渡世人となり、あてのない旅を急いでいる。国定忠治の賭場で代貸し文蔵(待田京介)から今市の藤兵衛の舎弟・金蔵(山本麟一)の一味に狙われていると聞いた紋次郎は、追手かと思って斬った男たちが実は八幡の常平(田中邦衛)の金を奪おうとしていたと知る。恩に来た常平につきあわされた夜、目の前に現れた女郎(市原悦子)が口ずさんだ歌から、彼女こそ、お光だと悟る。何も言わずに出立した紋次郎だったが、自分の弟だと気がついたお光は、その事実を利用しようと図るが...。

 かつて自分を救ってくれた姉の哀しい現実。笹沢佐保の原作とは一味違う野上龍雄脚本のオリジナル文太紋次郎第二弾。「関わりござんせん」の声が渋い文太は、貫録たっぷり、モデル出身らしくすらりと足が長いスタイルのよい渡世人だ。なんといっても迫力なのは、泥水を飲む女を演じる市原悦子。朋輩の女たちを馬鹿にし、男たちを手玉にとろうと画策する。悪や毒を演じることに喜びを見出すと言い切る市原の人間臭さたっぷりの名演技はずんと心に響く。また田中邦衛の人の好い笑顔、待田の男気もぴりりと物語を引き締めて印象的。月亭可朝のちんぴらぶりも見物。

掲載2015年09月18日

「ご存じ金さん捕物帳」
アイドル演歌歌手・橋幸夫が歌う世直し金さんに!
大友柳太朗、柳沢真一、山田太郎など個性派共演陣も

(ごぞんじきんさんとりものちょう) 出演者:橋幸夫 1974年

掲載2015年09月18日

 長屋住まいの遊び人の金さん(橋幸夫)は、にぎわう祭りに天狗の面をつけて飛び入り参加。驚く町民の前で堂々と太鼓をたたいて乱れ打ち。万雷の拍手を浴びた。それを快く思わなかった太吉(山田太郎)と大げんかになるものの、祭りはますます盛り上がる。その金さんこそ、実は北町奉行遠山金四郎。彼は、鼠小僧気取りの太吉と長屋の発明好きの風山老人(柳沢真一)とともに江戸の町を騒がす悪人たちを追う。悪人屋敷に乗り込んだ金さんは、背中に咲いた桜吹雪を見せつけ、大立ち回り。ここ一番の瞬間には、出ました金さん得意の花札手裏剣!

 1960年「潮来笠」でデビューし、日本レコード大賞新人賞第一号となった橋は、映画でも活躍。金さんは31歳のときで主演。若々しいお奉行様だった。その若い奉行を、ヒット曲「新聞少年」で歌謡界の人気者となった山田太郎や柳沢らが盛り立てる。奉行所から抜け出した金さんを追いかける側用人の大友柳太朗との追いかけっこも笑える。当時、撮影所にはアイドル演歌歌手・橋の追っかけファンも多く詰めかけたという。主題歌「噂の金四郎」はもちろん橋が担当。♪あれがウワサの金四郎~と自慢ののどを聴かせているが、それだけではなく、劇中でも歌い始めるというミュージカルテイスト?も橋金さんならでは。とことん明朗快活金さん。


※橋幸夫主演「ご存じ金さん捕物帳」の9月の放送は、第1話のみとなります。

9月23日(水・祝)より、中村梅之助主演「遠山の金さん捕物帳」がスタートします。橋幸夫主演「ご存じ金さん捕物帳」は中村梅之助主演「遠山の金さん捕物帳」、市川段四郎主演「ご存知遠山の金さん」につづいての放送を予定しております。

掲載2015年09月11日

「ご存知遠山の金さん」
市川段四郎が気風のいい町の人気者金さんに
イケメン密偵弥太郎の市川銀之助(当時)にも注目

(ごぞんじとおやまのきんさん) 出演者:市川段四郎 1973年

掲載2015年09月11日

 長屋に住む遊び人の金さんは、実は北町奉行遠山金四郎。ふだんは居酒屋樽平に入り浸り、土手で昼寝などするのんきな金さんだが、事件となると抜群の行動力を見せるため、町では頼りにされていた。江戸の町に全身黒ずくめの謎の盗賊「カラス」が出没。人を殺さないはずのカラスが押し入った前で死人が出たと大騒ぎになり、さっそく樽平の娘・お照(田坂都)ら長屋の連中が金さんを探し出す。そんな騒ぎに「樽平」の大将(桂小金治)は「だいたいなんだい、遊び人てのが気に入らねえ」と文句が多いが、調子に乗って金さんの悪口を言う男(工藤堅太郎)と大げんかになる始末。そんな中、金さんはカラスに遭遇。事件の裏に偽カラスがいるとにらんだが...。

金さんは、現在の四代目市川猿之助の父で、歌舞伎俳優の市川段四郎。小金治、都はじめ、にぎやかな共演者に囲まれた明るい金さんで、「金さんの桜は、人の情けで花開くんでい」と粋な町人的一面と「これにて一件落着」の殿様ぶりが同居する。歌舞伎で鍛えた安定感はさすが。また、「カラスとでも呼んでもらいましょう」とキザなイケメン弥太郎(市川銀之助、現在の市川團蔵)の存在も大きい。元軽業師で夜泣き蕎麦屋を営む弥太郎は、自分を密偵にしなければ奉行だということをバラすと金さんに迫り、テレビ出演の少ない段四郎を支える押しかけ密偵となった。


※市川段四郎主演「ご存知遠山の金さん」の9月の放送は、第1話のみとなります。

 9月23日(水・祝)より、中村梅之助主演「遠山の金さん捕物帳」がスタートします。市川段四郎主演「ご存知遠山の金さん」はその後の放送を予定しております。

掲載2015年07月24日

「剣客商売 鬼熊酒屋」
北大路欣也版秋山小兵衛第三弾に鬼熊石橋蓮司登場!
貫地谷しほりのほっこり感と杏の女剣士ぶりも味を出す

(けんかくしょうばい おにくまざかや ) 出演者:北大路欣也/杏/貫地谷しほり/斎藤工/國村隼/山田純大/古谷一行/内野謙太/栗田よう子 ほか 2014年

掲載2015年07月24日

息子・大治郎(斎藤工)に道場を譲り、若い妻・おはる(貫地谷しほり)と悠悠自適の生活を送る老剣客・秋山小兵衛(北大路欣也)は、ある日、浅茅が原で苦しんでいる老爺を見かけるが、なぜか本人は助けも求めず、去ってしまった。そんな折、老中・田沼意次(國村隼)は、娘・三冬(杏)に大久保平蔵(平岳大)という男との縁談があると話していた。女剣士である三冬は、自分を打ち負かしたら嫁ぐと宣言しているため、意次も気が気ではないが、もっと気が気でないのは、三冬に相談を受けた大治郎だった。若いふたりの話を面白がる小兵衛は、友人の医師・小川宗哲(古谷一行)に面白い居酒屋があると聞き、さっそく出かけていく。その「鬼熊酒屋」は、料理もうまく、いい酒が安いと繁盛していたが、何より名物なのは、口が悪く乱暴者の亭主・熊五郎(石橋蓮司)の存在だった。その熊五郎こそ浅茅が原の老爺。やがて熊五郎に昔の仲間が娘・おしん(遠藤久美子)のことで脅しをかけてくる。

 出刃包丁片手に暴れ浪人を蹴散らす熊五郎がつらい過去に苦しむさまを、ほとんどセリフなしに見せる石橋蓮司は強烈な印象を残す。ポキンと音がしそうな堅物カップル、大治郎、三冬とは対照的に北大路はベテランの古谷との艶っぽい会話などコミカルな顔を見せ、役柄を楽しむ余裕たっぷり。貫地谷しほりが全体にほっこり感を出してうまい。

掲載2015年05月01日

「斬る」
仲代達矢×岡本喜八×山本周五郎の壮絶活劇
武士社会の矛盾を反骨とユーモアで岡本監督が斬る!

(きる ) 出演者:仲代達矢/髙橋悦史/星由里子/岸田森/久保明/中村敦夫/東野英治郎 ほか 1968

掲載2015年05月01日

不作が続き、一揆や打ちこわしが続いた天保時代。上州のからっ風と砂埃の中、破れ傘を担いで飄々と歩くひとりの男がいた。男は武士が嫌でやくざ者になった源太(仲代達矢)。やがて貧農に嫌気がさして田畑を売り払い、侍になろうとする半次郎(高橋悦史)と道連れになった源太は、小藩の争いに巻き込まれる。藩では圧政を批判する若い藩士七人が、宿場で城代家老を襲撃、国境の砦山に立てこもるという大事件が勃発。だが、その七人の中に裏切り者がいた。そんな彼らを見ていた源太と半次郎は行動を起こすが...。

 原案は山本周五郎「砦山の十七日」。戦時中、多くの悲惨な事態を目の当たりにして、反骨の精神を培った岡本喜八監督はこの映画と同時期「日本のいちばん長い日」などを発表。この作品でもお祭り騒ぎのようなにぎやかな場面の中に、侍の正義、寝返りなど人間の裏側を巧みに織り込んでいる。武士から無頼者になった源太は、「何と言われようとオレは斬る」といきりたつ半次郎に「無理だろうな。刀と鍬は違う。俺が斬ろう。お前のためじゃない。俺のために」と静かに言う。そして、「ちょっとはわかってきたろう、侍ってやつのくだらなさが」とクールに言い放つのだ。久保明、岸田森、神山繁、中村敦夫らの中の誰が裏切り者か。壮絶なアクションとともに人間ドラマを楽しみたい。

掲載2015年04月17日

「乾いて候 お毒味役必殺剣」
小池一夫原作劇画ドラマ化で田村三兄弟が揃い踏み!
超クールな田村正和のお毒味が将軍のご落胤陰謀に挑む

(かわいてそうろう おどくみやくひっさつけん ) 出演者:田村正和/田村高廣/梅宮辰夫/中山仁/真行寺君枝/左時枝/竹井みどり/菅貫太郎 ほか 1984

掲載2015年04月17日

将軍家お毒味役腕下主丞(かいなげもんど・田村正和)は、実は徳川吉宗(田村高廣)の実子。美麗な姿に女中たちがキャーキャー騒いでも超クールな態度の主丞だが、毒殺に怯える父のため、すべての毒が効かない体質を作り上げたプロ意識の持ち主でもあった。そんな折、各地で将軍ご落胤を名乗る者が現れる。幕府の安泰のため、町奉行の大岡忠相(中山仁)は刺客を放ってご落胤を次々抹殺。しかし、側用人伊賀亮(梅宮辰夫)がついた天一坊(松岡章夫)にはご落胤の証拠があり、吉宗も面会しようと乗り出す。天一坊を偽物と見破った主丞は、確認のために紀州へ飛ぶ。そこで意外な事実をつかむが...。

 白い着流しに赤い塗り笠なんて格好は正和以外には着こなせない!しかも二刀流の華やかさ。そんな主丞に「さるや」の美女おもん(竹井みどり)が、なんと半裸になって高級楊枝を作る「はじかみの儀」をしてと迫る。とても楊枝を作る儀式とは思えないが、濃厚なお色気シーンは、小池一夫・小島剛夕原作劇画には欠かせないもの。一方、「主丞の弱点は母親だと聞く」と伊賀亮は衝撃的な必殺技を編み出す。凝った殺陣、陰謀、みどころは多いが、正和が「大奥に毎夜ご精勤とか...」などと淡々と語り、高廣上様が照れるなど、とぼけた父子の会話も面白い。語りは田村亮で田村三兄弟揃踏みの長編となった。

掲載2015年01月09日

「御用船炎上」
竹脇無我、西村晃、平泉成らがアクションを見せる!
海の男の意地と正義が、悪人たちを追い詰める。

(ごようせんえんじょう) 出演者:竹脇無我/尾藤イサオ/沢田雅美/待田京介/佐竹明夫/汐路章/嶋英二/西村晃/二宮さよ子 ほか 1982

掲載2015年01月09日

嵐を乗り越え、江戸にたどり着いた廻船問屋江戸屋の船が、抜け荷の疑いで鬼同心(汐路章)に調べられた。禁制品が発見されたが、江戸屋主人(佐竹明夫)には身に覚えがない。大恩ある店の一大事だと水主頭の栄次(竹脇無我)は「抜け荷はあっしがやりました」自ら名乗り出て、無実の罪を被り島送りになる。十年後、島から帰った栄次は、水夫の乙松(尾藤イサオ)や源蔵(平泉成)や先輩のとっつぁん(西村晃)らかつての仲間が他の仕事に就いていることを知った。江戸屋は、薩摩藩に預けられた壺を盗まれた罪で処刑され、娘は乱暴されて気がふれたという。悪巧みを仕組んだのが、江戸屋の事業を奪った大黒屋(待田京介)と江戸屋の元水夫仙八(綿引勝彦)と知った栄次は、大黒屋に潜入。大黒屋が将軍家献上の紀州家の仏像を運ぶと知り、復讐計画をたてる。

 「板子一枚地獄の仲間」と栄次の命がけの計画に参加するかつての仲間たち。しかし、夫乙松の身を案ずる女房おしの(沢田雅美)は、思わず裏切ってしまう...。危機に次ぐ危機。見所は、竹脇、西村ら「水戸黄門」「大岡越前」などホームドラマ的作品の多い俳優の本格アクション。三重県海山町ロケで水中シーンも多い。意外にも(?)筋骨隆々の平泉の立ち回り、酒中毒だった清吉(三谷昇)が栄次のため体を張る熱演、待田・綿引・汐路のトリオの憎々しい悪役ぶりも見逃せない。切ないラストにも注目。

掲載2014年12月19日

「寛永風雲録 激突!知恵伊豆対由比正雪」
知恵伊豆里見浩太朗VS由比正雪西郷輝彦
宮本武蔵、柳生十兵衛、服部半蔵も巻き込む大事件

(かんえいふううんろく げきとつ ちえいずたいゆいしょうせつ ) 出演者:里見浩太朗/西郷輝彦/榎木孝明/多岐川裕美/清水美砂/中尾彬/若林豪/夏八木勲 ほか 1991

掲載2014年12月19日

徳川幕府を盤石にしようと動く三代将軍家光(峰岸徹)のやり方には、不満を抱くものも多かった。軍学者由比正雪(西郷輝彦)は、反家光の徳川一族や大名、さらに浪人たちと結託、幕府転覆を狙って動き始める。そんな不穏な動きを察した幕府老中・知恵伊豆こと松平伊豆守信綱(里見浩太朗)は、正雪の正体を見抜き「やがてこの名は天下を震撼させるものとなりましょう」と上様に進言。柳生十兵衛(若林豪)、服部半蔵(辻萬長)と協力して、陰謀の阻止を図る。一方、正雪は紀州大納言徳川頼宜(中尾彬)と根来忍者を味方につけた。頼宜は「正雪、浪人どもをまとめあげよ。松平伊豆にだけは気をつけよ」と謀反心をむき出しにする。そして「蝦夷地に浪人の新天地を切り開き、誰もが平等に暮らせるようにする」という正雪の理想に感銘を受けた武芸者丸橋忠弥(榎木孝明)も一味に加担するが...。

表では政治的な対立、影では根来忍び(石橋蓮司)と半蔵率いる伊賀忍者との死闘が繰り広げられる。また、超ロングなちょんまげが強烈な宮本武蔵(夏八木勲)の巌流島の対決や、幡随院長兵衛(竜雷太)と水野十郎左衛門(西田健)との戦いなど、時代劇の名場面もたっぷり。子だくさんの忠弥の妻(美保純)とその子が「父上、私たちは胸を張って生きていきます」と、声をかける姿は胸を打つ。豪華キャストが織りなす徳川絵巻。

掲載2014年09月19日

「剣客商売 剣の誓約」
北大路欣也の秋山小兵衛が、息子大治郎に過去を語る。
ゲストに林隆三、語りに蟹江敬三、名優も偲ばれる長編

(けんかくしょうばい けんのせいやく ) 出演者:北大路欣也/杏/貫地谷しほり/斎藤工/山田純大/山田明郷/古谷一行/國村隼 ほか 2013

掲載2014年09月19日

秋山小兵衛を北大路欣也が演じる第二弾。小兵衛と若い妻おはる(貫地谷しほり)が仲良く柏餅を作るシーンから始まり、エンディングは両国の花火。江戸情緒もたっぷり。

 小兵衛の息子大治郎(斎藤工)の道場は、水に浸した太い棍棒を二千回振るような厳しい指導方針。門人が「やめてやる!」大治郎「どうぞ、お好きに」といった調子で、門人はいまだに飯田粂太郎(内野謙太)ただひとり。そこに大治郎の剣の師、嶋岡礼蔵(林隆三)が訪ねてくる。嶋岡は、二十年来の宿敵・柿本源七郎(金田明夫)との「真剣勝負」の決着をつけるため江戸に来たのだ。年をとり「此度はかなうまい」と死を覚悟する礼蔵に「何を言う。俺より三つも若い」と励ます小兵衛。同門の二人には、大治郎が「えっ」と驚く過去があった。しかし、柿本の門人伊藤三弥(浜田学)の暗躍で悲劇が...。

 北大路は悠々と楽し気に老剣客を演じ、田沼意次(國村隼)、用人の生島次郎太夫(山田明郷)とのやりとりも笑わせる。田沼の娘で女剣士佐々木三冬の杏もやる気満々。また、2013年本作が放送後、ゲストの林隆三、語りの蟹江敬三が世を去った。ペリーは何度か取材したお二人。林さんは少年のごとく明るく愉快な方。蟹江さんは「話すことはないです」などと言いつつ、若いころは「紅孔雀」のファンだったなど楽しいお話をされるシャイな方。まだまだ活躍してほしかった。返す返すも残念!

ペリー荻野プロフィール
ペリー荻野

1962年愛知県生まれ。大学在学中よりラジオのパーソナリティ兼原稿書きを始める。 「週刊ポスト」「月刊サーカス」「中日新聞」「時事通信」などでテレビコラム、「ナンクロ」「時代劇マガジン」では時代劇コラムを連載中。さらに史上初の時代劇主題歌CD「ちょんまげ天国」シリーズ全三作(ソニーミュージックダイレクト)をプロデュース。時代劇ブームの仕掛け人となる。

映像のほか、舞台の時代劇も毎月チェック。時代劇を愛する女子で結成した「チョンマゲ愛好女子部」の活動を展開しつつ、劇評・書評もてがける。中身は"ペリーテイスト"を効かせた、笑える内容。ほかに、著書「チョンマゲ天国」(ベネッセ)、「コモチのキモチ」(ベネッセ)、「みんなのテレビ時代劇」(共著・アスペクト)。「ペリーが来りてほら貝を吹く」(朝日ソノラマ)。ちょんまげ八百八町」(玄光社MOOK)「ナゴヤ帝国の逆襲」(洋泉社)「チョンマゲ江戸むらさ記」(辰己出版)当チャンネルのインタビュアーとしても活躍中。