ペリーのちょんまげ ペリーのちょんまげ

掲載2020年02月14日

「タイムスクープハンター ~"忍者" その真の姿とは~」
未来の記者が歴史の真実に迫るドキュメンタリー風ドラマ
見つける!追う!撮る!気になる時代のリアルな生活や事件の裏側がわかるかも!?

(たいむすくーぷはんたー ~“にんじゃ” そのしんのすがたとは~ ) 出演者:要潤 2009年

掲載2020年02月14日

 未来の記者が、タイムワープ技術を駆使して、歴史的現場に急行。教科書に載らない"名もなき人々"に密着し、歴史の真実に迫る。切り口の斬新さやドキュメンタリータッチのスタイリッシュな映像で注目され、人気を博した「タイムスクープハンター」。主人公、タイムスクープ社の時空ジャーナリスト・沢嶋雄一を演じるのは要潤だ。

 「同心」「関所」「闘茶」など扱うテーマは多彩。「"忍者" その真の姿とは」では人里離れた山中で「セヤ!」の声とともに鍛錬を重ね、農民や行商人の姿になって巧みに天気を予測しながら、各地を行き来する忍者を追う。彼らは独自の食糧"忍者丸"を所持し、忍びの文字で連絡をとりあうなど高度な技術を持つ。沢嶋は、敵方の屋敷から城の設計図を盗む指令を受けた三人の忍者に密着。沢嶋が走れば、手撮りカメラも揺れ、夜になれば暗視カメラで緑色に見えたりする。TSH(タイムスクープハンター)の映像は、ブレも明度も、沢嶋の息遣いもリアルそのもの。もちろん、雨が降っても雪が降っても取材は続行だ。時空ジャーナリストが持つ、ゴーグル型のデジタル・アーカイブ・システムやフリーズガン、手首に装着するアブソリュート・タイム・ウッッチなど、高性能備品にも興味がわく。

 実際の撮影もオールロケでリアリティとアクション重視のため、要の衣装はしばしば修復がいるほどだったという。歴史のリアルなサイズ、空気を記者とともに体験したい。

掲載2019年11月22日

シネマ歌舞伎「東海道中膝栗毛 歌舞伎座捕物帖」
弥次さん喜多さんがアルバイトする歌舞伎座で連続殺人事件発生!?
市川染五郎(現・松本幸四郎)×市川猿之助はじめ豪華キャストと歌舞伎楽屋ネタもお楽しみ

(とうかいどうちゅうひざくりげ こびきちょうなぞときばなし ) 出演者:市川染五郎(現・松本幸四郎)/市川猿之助/中村勘九郎/中村七之助/松本金太郎(現・市川染五郎) ほか  2018年

掲載2019年11月22日

 お伊勢参りから無事?というか、天から舞い降りて帰ってきた弥次郎兵衛(松本幸四郎)と喜多八(市川猿之助)は、当然のごとく無一文。そこで歌舞伎座でアルバイトを始めると、なんと殺人事件に遭遇。犯人かと疑われた二人は事件の真相に迫る...って、大丈夫なのか? 今回「STAFF」先頭に名前がある原作者の十返舎一九先生もびっくり仰天のはず。

 面白いのは、作品全体が「歌舞伎のバックステージもの」になっていること。劇中劇「義経千本桜」の「四の切」。しとやかな静御前(坂東巳之助)がダミ声とガニ股でのしのし出てくるわ、狐忠信が床下や欄間からどう抜け出てくるのか「断面図」実物大セットまで作ってすっかり見せてしまうわ。忠信役者はあんな高い欄間から頭から滑り出てきてるのね。そんなことまでわかる仕組みだ。役を譲った、奪った、羨望もあれば嫉妬もある人間模様はかなりリアル。座元は言う。「楽屋は話が回るのが早いね」。おとなたちの横でいつも冷静な少年コンビ梵太郎(松本金太郎[現・市川染五郎])と政之助(市川團子)は、「まことのことはいつもひとつ!」と、あの少年探偵みたいに鋭い推理を展開。意外な犯人の姿にも「さすが歌舞伎」と納得できる。常に歌舞伎に斬新なアイデアを吹き込む主役ふたり(猿之助は脚本・演出も担当)をはじめ、売れっ子豪華キャストが体当たりで見せるお楽しみ芝居。

掲載2019年11月01日

「動天 -DOHTEN-」
実在の幕末大商人・中居屋重兵衛の熱い志を北大路欣也が力強く演じる
大規模セット、海外ロケも敢行した破格のスケールと豪華キャスト出演の大作

(どうてん -どうてん- ) 出演者:北大路欣也/黒木瞳/島田陽子/西郷輝彦/江守徹/平泉成/内藤剛志 ほか  1991年

掲載2019年11月01日

 上野国吾妻郡中居村(現在の群馬県嬬恋村)の名主の息子、のちの中居屋重兵衛(北大路欣也)は、佐久間象山の門に学び、勝海舟(西郷輝彦)からも一目置かれる才人だった。安政五年(1858)、徳川幕府が日米修好通商条約を結び、横浜開港が決まると、重兵衛は日本橋の店をたたんで横浜に進出。その商才で商売を拡大させた重兵衛は、外国商館に引けを取らない邸宅を建設。豪華な銅葺きの屋根の輝きから「銅御殿」と称される。また妻のおその(黒木瞳)を横浜の娼館の女将おらん(島田陽子)に預け、社交と商売を学ばせる。それはすべて将来を見据え、世界を相手に貿易をしたいという願いからだった。しかし、重兵衛を助けていた外国奉行の岩瀬肥後守(高橋悦史)が失脚。重兵衛も贅沢な銅葺きをとがめられる。やがて大老となった井伊直弼(江守徹)による「安政の大獄」が激化。横浜商人への弾圧も強まる。

 原作はなかにし礼。監督・舛田利雄。重兵衛は実在で生糸の貿易で大利を得たが、わずか数年で表舞台から消えたという。しかし、その志は熱く、「桜田門外の変」へとつながっていく。巨大なオープンセットで横浜を再現、サンフランシスコロケも敢行し、破格のスケールの映像を作り出した大作。夢を語りながら炎の中でピストルを構える北大路、赤いドレスの黒木瞳も美しい。谷村新司の主題歌、池辺晋一郎の音楽も高く評価された。

掲載2019年09月27日

「忠臣蔵の恋 四十八人目の忠臣」
セリフが切なすぎ!! 四十七士を愛した女性の波瀾万丈の恋と人生
武井咲が美しく演じた時代劇版熱烈純愛ストーリー

(ちゅうしんぐらのこい しじゅうはちにんめのちゅうしん ) 出演者:武井咲/福士誠治/今井翼/石丸幹二/伊武雅刀/佐藤隆太/中村倫也/田中麗奈/三田佳子 ほか  2016年

掲載2019年09月27日

忠臣蔵の恋 四十八人目の忠臣
忠臣蔵の恋 四十八人目の忠臣
©NHK

 赤穂藩の屋敷で奥女中のきよ(武井咲)は、主君・浅野内匠頭(今井翼)と奥方(田中麗奈)の前で得意の琴を披露した。きよの琴と、鼓で競演した幼なじみ磯貝十郎左衛門(福士誠治)は恋に落ち、衣を取り換えるのは古より恋の証」と森の中で肌着を交換する。屋外で生着替え!...だが、殿中松の廊下で吉良上野介(伊武雅刀)に刃傷事件を起こした内匠頭は即日切腹。藩はお取り潰し。大石内蔵助(石丸幹二)ら赤穂浪士は吉良邸討ち入りを決意する。十郎左は町人になりすまし、きよを妹と偽って酒屋を開店。さらにきよは密偵として上野介の奥方・富子(風吹ジュン)に仕え、上野介の顔を確かめるという重要な役割があるのだ。まさに「四十八人目」の仕事だ。

 きよは、怪しい影に追われても「何があろうと十郎左様と運命をともに」と命がけ。「明日をも知れぬ命なら、最後までいっしょにいとうございます。きよを妻と思ってくださいませ!」セリフが切なすぎです!!しかし、ここで終わらないのが、原作者・諸田玲子先生の筆の力。きよは細井広沢(吉田栄作)により、なんと甲府宰相・徳川綱豊(平山浩行の側室候補に。綱豊は後に将軍になる。ということは、きよもあの大奥に!? 赤穂浪士の遺児救済を必死に考えるきよの願いはかなうのか。堀部安兵衛に佐藤隆太、義父の弥兵衛に笹野高史、きよを御殿女中に仕込む江島に清水美沙など多彩な共演者が若き主役・武井咲を支えている。

掲載2019年08月09日

「てなもんや三度笠」
藤田まことと白木みのるの名コンビが諸国を旅しながら珍騒動に巻き込まれる
最高視聴率64.8パーセントを記録した国民的人気番組が奇跡の復活!

(てなもんやさんどがさ) 出演者:藤田まこと/白木みのる/財津一郎 他 

掲載2019年08月09日

てなもんや三度笠
てなもんや三度笠
©朝日放送テレビ

 男をあげるため旅に出た渡世人あんかけの時次郎(藤田まこと)と口が達者な小坊主珍念(白木みのる)が各地で騒動に巻き込まれる。顔が長いことから「馬」呼ばわりされる時次郎と美味いものに目がない珍念。名コンビのテンポのいいやりとりと痛快なストーリー、東西の喜劇人はじめ、山本リンダや当時、ブームとなったGSの面々など歌手、アイドル、多彩なゲストが次々登場し、人気は急上昇。第一部の東海道から始まって、中山道、山陽、九州、四国、さらには北陸、東北へと続き、放送309回の平均視聴率が関東で26.6、関西で37.5パーセント。最高視聴率64.8パーセントという驚異的な数字を記録した伝説のコメディ番組となった。また、寸劇コマーシャルの決めセリフ「俺がこんなに強いのも、あたり前田のクラッカー!」は、今も懐かしの名場面として語り継がれる。

 シリーズ発想の元は西部劇。東海道を旅する設定は、マッチの箱に印刷された広重の東海道五十三次の絵だったとされる。よって初期のセットは広重風。収録はABCホールでの公開方式だったが、樹木なども待ちこむ本格的なセットを毎回作っていた。収録ながら、ビデオテープの編集が大変高価だったこともあり、生放送同様にきっちり放送時間内におさめるため、リハーサルは徹底し、アドリブは本番ではほぼなし。秒単位での正確な場面転換や衣装替えなど、裏方の技術は高く評価されている。また、このシリーズをきっかけに人気を得た役者も数多く、「カバ」ニックネームで親しまれ、吉本新喜劇でも活躍した原哲男は、晩年、藤田まこと主演の「剣客商売」シリーズに藤田の義父役で出演。ファンを喜ばせた。鼠小僧次郎吉役の南利明は、なぜか名古屋弁。スリのコンビの鳳啓助・京唄子もしばしば登場している。今回は、現存する貴重な番組の奇跡の復活。スカッと笑ってください!

掲載2019年06月28日

「大魔神」
大映スタッフ渾身の技術と美術による"日本初の本格特撮時代劇"と称えられる名作
大魔神は可憐な高田美和の涙で蘇る!そのリアルな動きに注目

(だいまじん ) 出演者:高田美和/青山良彦/藤巻潤/五味龍太郎/島田竜三/遠藤辰雄/伊達三郎/出口静宏 ほか  1966年

掲載2019年06月28日

 戦国時代、武人によって崖に封じられた魔神伝説がある丹波の村で、城主花房家の家臣・大館左馬之助(五味龍太郎)による謀反が勃発。城主花房忠清夫妻は殺され、嫡男・忠文(青山良彦)と妹の小笹(高田美和)らは、忠臣・猿丸小源太(藤巻潤)とともに山中で成長した。だが、左馬之助の悪家臣により、忠文と小源太が捕まってしまう。磔にされることが決まった兄と小源太を思う小笹は、魔神のところに行き、「この身をお捧げしたら...」と泣きながら、助けを請う。地響きがして...

  "日本初の本格特撮時代劇"と今も称えられる「大魔神」は、数多くの名作時代劇を生み出した大映京都のスタッフによる精巧なセット(瓦まで魔神の縮尺に合わせて作られた)とブルーバックなど精密な技術を駆使して製作された。大魔神のリアルな動きは、元プロ野球選手の俳優・橋本力がスーツアクターとして熱演を見せたことによる。ペリーも無表情な大魔神の顔が怒り顔に変化する瞬間をこども時代に見て衝撃だったが、改めて驚くのは場面がかなりシビアなこと。忠文らを救出にきた花房家の残党を、左馬之助らは残酷にも鉄砲や槍で平然と射殺す。こども向けの明るい特撮映画とは一味違う雰囲気もこのシリーズならでは。なお、当時の撮影所があった京都太秦「大映通り」のスーパー前には、大きな大魔神像があり、なかなかの迫力。大魔神は今も愛されているのだ。

掲載2019年04月26日

大河ドラマ「秀吉」
竹中直人が泥臭い秀吉を演じた、堺屋太一原作の大河ドラマ
渡哲也の信長、沢口靖子のおね、母なかを市原悦子が演じた強烈秀吉の一代記

(ひでよし) 出演者:竹中直人/沢口靖子/渡哲也/高嶋政伸/市原悦子/村上弘明/赤井英和/野際陽子/仲代達矢ほか 1996年

掲載2019年04月26日

秀吉
秀吉
©NHK

 戦国乱世、尾張中村の日吉(竹中直人)は、貧農の暮らしの中で自分の道を探っていた。そこに現れたカリスマ的武将織田信長(渡哲也)。日吉は信長の足軽となり、一国一城の主を目指す。やがて明智光秀(村上弘明)による本能寺の変が勃発。秀吉は天下人へと上り詰めた。だが、彼を支え続けた愛妻おね(沢口靖子)の心配をよそに秀吉は次々と側室を作り、茶々(松たか子)との間には子も生まれる。一方で千利休(仲代達矢)との確執、無謀とも思える朝鮮出兵など、反感を買うことも...。

 堺屋太一の『秀吉~夢を超えた男~』などを原作に、脚本の竹中洋が織田の勤め人秀吉が頭角を現す現代的な解釈やファミリードラマ的な側面を打ち出した大河ドラマ。ふんどし姿で走り、なんでも「心配ご無用!!」と言い放つ秀吉に、人の道をはずれるなとびしっと叱る母なかを演じた市原悦子の存在感も素晴らしい。ちなみに少年時代の石田三成を演じたのが、小栗旬。竹中直人自身は、秀吉の生き方についてどこまでも貪欲で、宴会では率先して大騒ぎをしたりして、人の心に入り込む明るさを出しながら、実はコンプレックスのかたまりだったと解釈している。確かにドラマの中でも「悔しいのう!」と何度も言い、独占欲や嫉妬心も強く出ている。泥臭い秀吉の一代記は、「欲望のない若者」と言われる世代に新鮮に映るはずだ。

掲載2019年03月29日

「立花登青春手控え2」
溝端淳平が藤沢周平の青春医療時代劇に挑んだ第二弾
成長した登と市井の人々、囚人との交流と事件にラブコメ要素も!

(たちばなのぼるせいしゅんてびかえ2(しゅえん:みぞばたじゅんぺい) ) 出演者:溝端淳平/平祐奈/宮崎美子/マキタスポーツ/鷲尾真知子/石黒賢/古谷一行 ほか  2017年

掲載2019年03月29日

「人を知らずして医はその技を揮(ふる)えず、心を知らずしてその道を歩めず...」

 立花登(溝端)は、医学を志し、秋田から江戸に出てきたが、世話になる町医者の叔父・玄庵(古谷一行)は酒好きで女房の松江(宮崎美子)に小言ばかり言われ、患者も少ない有様。仕方なく登は、一家の家計を助けるため、小伝馬町の牢医となる。第一弾では、したたかな罪人に利用されるなど、傷つきながら、登はおとなになっていった。第二弾の本シリーズでは、牢内の謎の殺人者を探る「みな殺し」、女たちの意外な顔が事件のカギとなる「幻の女」「化粧する女」など推理色の強い回も増えた。ゲストには朝倉あき、富田靖子、浅野和之らが登場。登は得意の柔術を駆使して、颯爽と悪人たちと戦う。また、女ともだちと遊び歩いてばかりの玄庵の娘・ちえ(平祐奈)が行方知れずになって登に助けられ、ふたりは急接近。ちえは登を意識し始めるものの、素直になれないふたりのやりとりはほとんどラブコメ。まさに甘酸っぱい「青春」の味といえる。一方で、玄庵は老齢となり、松江にも不調が。登を助ける十手持ちの藤吉(石黒賢)や世渡り術を心得た先輩医師(正名僕蔵)らの言葉もいい味が出ている。

 現代にも通じる世代交代は、原作者・藤沢周平がさまざまな作品で描いてきたテーマだが、この作品で登がどう生き方を見つけるか。明るさを感じるエンディングも印象的。

掲載2019年02月08日

「伝七捕物帖 幽霊飛脚」
高田浩吉の当たり役、名親分伝七が美女連続殺人事件に挑む!
カレー看板でおなじみの伝説の女優も出演。昭和映画の楽しさ満載の捕物時代劇

(でんしちとりものちょう ゆうれいびきゃく) 出演者:高田浩吉/瑳峨三智子/近衛十四郎/伴淳三郎/松本錦四郎/石黒達也 ほか  1959年

掲載2019年02月08日

 黒門町の伝七(高田浩吉)は、庶民に頼りにされる名岡っ引き。ある日、伝七は小普請組若狭家の娘お市(松山容子)の護衛を頼まれる。お市は、若い娘を乱暴した上に惨殺する殺人鬼・幽霊飛脚から殺人予告を受けていたのだ!剣術道場主らとともに必死に警備をする伝七だが、突如の爆発とともに、お市は無残にも殺されてしまう。次の予告も届き、またも裏をかかれた伝七は、この連続殺人の裏に大奥がからんでいると考える。さらに第三の予告を受けた伝七は、探索を続けるうちに黒頭巾の男たちに襲撃を受け川に転落。葬儀が営まれるが...。

 唄う映画スターとして一世を風靡した高田浩吉の当たり役、伝七シリーズの11弾。陣出達朗、城昌幸、土師清二、野村胡堂の原作を多くの明朗時代劇を演出した酒井欣也が監督。実に50人もの子供を作った将軍・徳川家斉の時代というところもミソとなる。謎解きと伝七得意の立ち回りも炸裂。女房お俊(瑳峨三智子)や子分の獅子っ鼻の竹(伴淳三郎)とのやりとりも楽しい。また、伝七を信頼する遠山左衛門尉に剣戟スター・近衛十四郎、事件のカギを握る武家役で「ウルトラセブン」のキリヤマ隊長として親しまれた中山昭二が出演している。お市役の松山は、街で見かける「ボンカレー」の美女としてもおなじみ。昭和の映画全盛期の作品らしい華やかさのある捕物帖。

掲載2018年12月07日

「遠山の金さん」
貫禄たっぷりの松平健が"潜入捜査型金さん"に!
ド迫力のお白洲啖呵と独自カラーの桜吹雪にも注目

(とおやまのきんさん (しゅえん:まつだいらけん) ) 出演者:松平健/萬田久子/中村繁之/金児憲史/芳賀優里亜/森本レオ ほか 2007年

掲載2018年12月07日

 北町奉行・遠山金四郎(松平健)は、事件が起こると自ら探索をするため、与力の東条八太夫(森本レオ)の目を盗んで町に出て、町人の金さんとして動き出す。松平健の七代目金さんの大きな特長は、遊び人としてフラフラしているのではなく、船頭、板前、用心棒などさまざまな職業人に扮して潜入捜査をすること。「金さんと呼ばれてます」とどこにでも入っていくお調子者っぽい松平の軽妙さが面白い。その手配をするのが、口入れ屋のおまき(萬田久子)だった。ユニークな設定の金さんだが、お白洲での迫力は抜群。「できることなら、人目にさらしたくなかった...」と悪人たちににらみを利かせる金四郎は、「観念しろい!!」と豪快に袴の裾を翻し、桜吹雪を見せつける。その桜吹雪は、これまでにない現代的なピンクを使ったオリジナルサクラ。ペリーは現場取材で、数時間をかけてていねいに描かれる桜や、撮影中に桜が消えないようパウダーを使う東映の伝統、多くの先輩が演じた大役を演じる心意気を聞いた。

 最終話のゲストは中条きよし。金さんが仇と狙われたり、追われる身になったり、正体がバレそうになる大ピンチ。だが、金さんを追い詰める大林(中条)にも秘密が...!?大詰めの立ち回りは、武士役とは一味違う金さん流だ。主題歌は小椋佳の作詞作曲「恋、二の次に」。もちろん歌うのは松平健!

ペリー荻野プロフィール
ペリー荻野

1962年愛知県生まれ。大学在学中よりラジオのパーソナリティ兼原稿書きを始める。 「週刊ポスト」「月刊サーカス」「中日新聞」「時事通信」などでテレビコラム、「ナンクロ」「時代劇マガジン」では時代劇コラムを連載中。さらに史上初の時代劇主題歌CD「ちょんまげ天国」シリーズ全三作(ソニーミュージックダイレクト)をプロデュース。時代劇ブームの仕掛け人となる。

映像のほか、舞台の時代劇も毎月チェック。時代劇を愛する女子で結成した「チョンマゲ愛好女子部」の活動を展開しつつ、劇評・書評もてがける。中身は"ペリーテイスト"を効かせた、笑える内容。ほかに、著書「チョンマゲ天国」(ベネッセ)、「コモチのキモチ」(ベネッセ)、「みんなのテレビ時代劇」(共著・アスペクト)。「ペリーが来りてほら貝を吹く」(朝日ソノラマ)。ちょんまげ八百八町」(玄光社MOOK)「ナゴヤ帝国の逆襲」(洋泉社)「チョンマゲ江戸むらさ記」(辰己出版)当チャンネルのインタビュアーとしても活躍中。