ペリーのちょんまげ ペリーのちょんまげ

掲載2018年11月16日

「蝶々さん~最後の武士の娘~」前編・後編
オペラ「蝶々夫人」のヒロインを宮﨑あおいが凛々しく熱演
数奇な運命を生きた娘を支える女たちがカッコいい!

(ちょうちょうさん~さいごのぶしのむすめ~ ぜんぺん ほこりのだいしょう) 出演者:宮﨑あおい/伊藤淳史/イーサン・ランドリー/戸田恵子/野田秀樹/藤村志保/西田敏行 2011年

掲載2018年11月16日

 「長崎に来ましたばい...」明治初期。伊東蝶(宮﨑あおい)は、伯父(本田博太郎)と人力車で長崎の花街・丸山の水月楼に向かった。父を佐賀の乱で失い、母も祖母までも亡くした蝶は、水月楼の跡取りとして養母女将(戸田恵子)から茶華道・芸事などを仕込まれる。しかし、女将は突然亡くなり、下働きの立場に。海運業を営む帯谷(西田敏行)の尽力で老舗置屋「末石」のお幸(余貴美子)に引き取られた蝶は、自らの意思で舞妓「春蝶」となる。後編では、米国海軍のフランクリンと出会い結婚。浴衣を着たフランクリンが蝶の手料理を楽しむなど幸せな日々を送るが、それは彼の滞在中だけの「長崎式結婚」だった。お互いの中に武士と同じ気骨を認め、本気で愛しあうふたりだが...。
 原作・脚本は長崎出身の市川森一。長崎ロケもまじえ、赤い提灯、夜の川に浮かぶ舟、花街の賑わいなど、エキゾチックな街の映像美が素晴らしい。宮﨑は愛らしい娘から妻へと凛々しく変化してみせる。また、蝶を育てた女将、元名妓で機転の利く女子衆の絹(ともさかりえ)、「英語のしゃべれる舞妓がおってもよかたい」と蝶の向学心を応援するお幸、蝶にコレラを移さないため自害した母・祖母など、蝶を支えた女たちがカッコいい! 昭和の歌舞伎座で蝶の素顔を知りたいという紳士(川平慈英)は誰なのか。ラストの謎解きも見事。

掲載2018年10月12日

「遠山の金さんVS女ねずみ」
松方金さん、若い新妻と強気な女ねずみに翻弄される!?
"ふたつの顔"を持つ町奉行と女義賊が、奇怪な事件を追う

(とおやまのきんさん ばーさす おんなねずみ) 出演者:松方弘樹/古手川祐子/水野真紀/前田吟/津嘉山正種/高木延秀 ほか 1997年

掲載2018年10月12日

 ふだんは遊び人の金さんとして事件を探索する町奉行の遠山金四郎(松方弘樹)は、北町から南町に移り、若い新妻・奈津(水野真紀)ももらって、公私ともに心機一転の日々。ある日、金四郎は13年前に処刑されたはずの「ねずみ小僧」が出没したと聞いて驚く。実はその正体は、ねずみ小僧の忘れ形見の娘で、金さん行きつけの小料理屋の女将・お小夜(古手川祐子)だった。義賊として誇りを持つ女ねずみは、悪徳商人や凶賊を許せない。金さんは、「危ないまねはよせ」と言いながら、ねずみを追うためなら女装も辞さない?岡っ引きの親分(前田吟)とともに事件の真相に迫ることになる。

 花の数が多く野性味を感じさせる松方金さんの桜吹雪。お白州で「あの日、あの夜、あの場所で...」と流れるような名調子で再び、ゆっくりと片肌を脱ぐ。歴代金さんの中でも総話数で最多最長となった松方金さんらしい"ため"のある動きには貫禄がにじみ出る。その一方で、世間知らずの若妻には眉毛を下げてこにこにし、金さんの秘密を知る女ねずみには強気に出られてたじろぐことも。奈津が誘拐されたり、お小夜に殺人容疑がかかったり、金さんが女たちに翻弄されるのもこのシリーズの特徴だ。「密室の死美人」「お役者殺人鬼」「おいらん幽霊」「バラバラ殺人」など怪奇モードのエピソードも多く、本田博太郎、遠藤憲一、神保悟志らゲストが物語を盛り上げる。

掲載2018年05月04日

「たたら侍」
千年錆びない幻の鉄を作る村が戦に巻き込まれる!
日本の伝統美が海外でも高く評価された、EXILE×時代劇

(たたらざむらい) 出演者:青柳翔(劇団EXILE)/小林直己(EXILE/三代目J Soul Brothers)/AKIRA(EXILE)/田畑智子/笹野高史/津川雅彦 ほか 2016年

掲載2018年05月04日

 出雲の国には「千年錆びない」と伝わる幻の製鉄技術が脈々と受け継がれていた。その鉄で作られた刀は「武運」を呼ぶという。戦国末期、その唯一無二の技術「たたら吹き」を唯一継承できる村下(むらげ)の嫡男・伍介(青柳翔)は、「村を出て侍になりたい」と許嫁のお國(石井杏奈)を置いて村を出た。その後、苛烈な乱世の現実を目にした伍介は、村に戻り、「わしらが村を守ろう」と決意する。しかし、与平(津川雅彦)が危惧した通り、たたら吹きの鉄は狙われていた。「災いが迫っている...」村に軍勢が近づいていた。

 原作・監督・脚本は錦織良成、エグゼクティブ・プロデューサーはEXILE・HIRO。共演には小林直己、AKIRA、田畑智子、宮崎美子、笹野高史、奈良岡朋子、豊原功補らが出演。奥出雲で1300年以上伝わる「たたら吹き」をテーマに実際の後継者の監修のもと、中世の技術を再現し収録。地元出雲の宮大工、材木問屋、建設会社などの協力を得て、本格的な村のオープンセットを建設。35ミリフィルム撮影にこだわり、4Kでのリアルな映像、実物大に再現された木造船を実際に海に浮かべての空撮などは海外でも高く評価され、第40回モントリオール世界映画祭では最優秀芸術賞(ワールド・コンペティション部門)を受賞している。EXILE・ATSUSHIが歌う主題歌「天音(アマオト)」も聴き応えがある。

掲載2018年03月09日

「超高速!参勤交代 リターンズ」
一難去ってまた一難!参勤交代の復路で事件勃発
城まで無くした一行は陰謀とどう戦う!?

(ちょうこそく! さんきんこうたい りたーんず) 出演者:佐々木蔵之介/深田恭子/西村雅彦/寺脇康文/伊原剛志/知念侑李(Hey! Say! JUMP)/陣内孝則(特別出演)他 2016

掲載2018年03月09日

 前作では腹黒老中松平信祝(陣内孝則)の陰謀で急に江戸への参勤を命じられた湯長谷藩の一行。なんとか到着して一件落着かと思ったら、地元湯長谷では謎の一揆が勃発して領民は大迷惑していた。一揆を鎮めなければ、お家は取り潰されてしまう。一行は二日で地元に戻るため、往路の倍のスピードで急ぎに急ぐ羽目に。ところが命からがら戻ってみれば、城は乗っ取られ、一行の妻女たちが監禁されるという大ピンチ。さあ、どうする!?

 メンバーは人柄は最高だが閉所恐怖症の殿内藤政醇(佐々木蔵之介)はじめ、知恵者家老相馬(西村雅彦)、剣豪の荒木(寺脇康文)、槍の名人今村(六角精児)、弓矢の達人鈴木(知念侑李)、千里眼の増田(柄本時生)と猿の菊千代一匹。ここに忍者雲隠段蔵(伊原剛志)も加わり、ハラハラドキドキの珍道中が繰り広げられる。彼らの行く手を阻むのは、奇怪な面をつけた統領(宍戸開)率いる尾張柳生。敵方の剣豪諸坂三太夫(渡辺裕之)と荒木の対決シーンは見ものだ。死んだふりはするわ、ふんどし一丁になるわ、懲りない悪人信祝の陰謀に知恵と度胸で挑む面々。今回は留守を守る妻女たちの奮闘ぶりにもご注目。中でもしっかり者の荒木の妻富江(富田靖子)。靖子パワーに敵もたじたじだ。意外な俳優が名奉行役でちらりと出るのも面白い。斉藤和義の主題歌「行き先は未来」もぴったり。超痛快なヒットシリーズ。

掲載2018年01月12日

「天下の御意見番罷り通る 彦左衛門外記」
三船敏郎が演じた山本周五郎原作の大久保彦左衛門
若い娘ととぼけた話をする御意見番の痛快な活躍

(てんかのごいけんばん まかりとおる ひこざえもんげき) 出演者:三船敏郎/田中美佐子/田村亮/藤村俊二/堤大二郎 ほか 1987年

掲載2018年01月12日

 神君家康を支え、"天下の御意見番"と言われた三河武士大久保彦左衛門(三船敏郎)だが、隠居後、若い旗本たちからは、もうろくしたご老体だと思われていた。ある日、彦左衛門が用人の喜内(藤村俊二)と二人で暮らす屋敷に、若い女ちづる(田中美佐子)が押しかけてくる。18年前、大久保家に奉公していた亡き母の遺言で四十九日の法要が済み次第、彦左衛門の面倒を見るよう言われたという。働き者のちづるのペースに困惑気味だった彦左衛門だが、久しぶりに屋敷が明るく華やいでくる。ところが、二代将軍秀忠が危篤状態に陥り、旗本たちは「外様大名が叛乱を起こすに違いない」と騒ぎたてる。老中水野(田村亮)が心配した通り、幕府内に不穏な空気が漂い始める。こんな時こそ天下の御意見番の出番だが、神君に与えられた「御意見番」のお墨付きが行方不明に!?するとちづるは、とんでもないことをしでかす...。

 ユーモアと哀愁ある人間描写を得意とする山本周五郎原作を「水戸黄門」の宮川一郎が脚色。彦左と喜内とちづるのやりとりは、とぼけたムードで可笑しい。豪傑イメージの三船もここでは丸メガネで愛嬌たっぷり。後半、ちづるの意外な正体が明らかになるが、それを受け止める彦左はさすが。外様大名の帰国を許した三代将軍家光(堤大二郎)に「このようなペテンで安定したとて長続きいたしませんぞ!」とズバリ言い切る彦左の姿にスカッとする。

掲載2017年10月27日

「小さな橋で」
杉田成道監督による時代劇版「北の国から」
原作・藤沢周平。懸命に生きる家族の姿に胸打たれる。

(ちいさなはしで) 出演者:松雪泰子/田中奏生 藤野涼子/江口洋介 2017年

掲載2017年10月27日

 父民蔵(江口洋介)がバクチをきっかけに仕事を失い、姿を消して四年。飲み屋で働き、必死にふたりの子を育ててきた母おまき(松雪泰子)は、年頃の娘おりょう(藤野涼子)とは言い争いが絶えず、おりょうは父の面影を見たのか、妻子持ちの年上の男と深い仲になり、母の忠告にも耳を貸さず、駆け落ちしてしまう。疲れ果てたおまきは、店の常連客の男にすがろうとする...。そんな中、子どもながら、父不在の家で男として母を守ろうと思う広次(田中奏生)。おとなの世界を垣間見て背伸びをしてみるが、母と姉が言い争う姿や母の女の顔を見て、衝撃を受ける。もがきながら成長する広次を約300人の候補から選ばれた田中奏生が熱演する。

 原作は藤沢周平の"市井もの"の原点といわれる『橋ものがたり』。作家自身が愛着があると述懐する一冊からの一篇だ。監督は国民的ドラマ「北の国から」の杉田成道。ねばり強い演出で知られる監督は、今回も事前に長期のリハーサルを敢行。松雪らからは「杉田塾」と呼ばれる熱血演出で、走り続けた田中の下駄が割れたというエピソードも。子どもたちがヨシキリの巣を探す葭原のシーン、夕焼けの中、走る広次のシルエットも美しい。また、強い男の役が多い江口がダメな父親になるのも見物。ラストで広次が口にする言葉も聞き逃せない。苦しい中、生き抜く家族の物語。

掲載2017年09月22日

「殿、利息でござる!」
夜逃げが相次ぐ宿場を救った町人たちの奇跡の実話!
殿様に羽生結弦。困難に立ち向かう人々に笑いと感動

掲載2017年09月22日

 江戸時代。藩の重い年貢や使役などに苦しむ宿場町・吉岡は夜逃げが相次ぎ、寂れるばかり。造り酒屋を営む十三郎(阿部サダヲ)は、なんとかしようと知恵者の篤平治(瑛太)に相談。そこから生まれた奇想天外の作戦は、藩に大金を貸し付け、利息を巻き上げるという「庶民がお上から年貢を取り戻す」というとんでもないものだった。目標金額は「千両」今で言えば、約3億円。貧乏な町の人間たちが寄り集まって、家財を売り払い、小銭を集めまわって、踏ん張るものの、下手をすれば打ち首覚悟の大作戦。さらに冷徹と評判の藩の財政担当の萱場(松田龍平)という厚い壁があった。

 原作は「武士の家計簿」などでも知られる磯田道史の著作『無私の日本人』。ずっこけ、笑われ、嘆きながらも奮闘した庶民たちの実話というところに驚く。物語の面白さもさることながら、登場人物がすべて個性的で楽しい。

 十三郎は、千両のため「頑張りましょう」と篤平治に言われても「頑張る。何を?」とボケるような人物。一方、その弟で別の造り酒屋にいる弟の甚内(妻夫木聡)はケチで有名。対照的な兄弟と彼らに賛同した仲間(寺脇康文、西村雅彦、きたろう、千葉雄大)らの奔走に泣き笑いしながら、感動させられる。締めくくりに登場する殿様、伊達重村に地元縁の羽生結弦が登場。競技で磨いた度胸と演技で、堂々の殿様ぶりを見せるのも話題になった。

掲載2017年01月20日

「翔ぶが如く 総集編」
西田敏行の西郷隆盛と鹿賀丈史の大久保利通
明治維新の推進者となったふたりの友情と対立を描く

(とぶがごとく そうしゅうへん だいいちぶ・ぜんぺん せいうんのこころざし ) 出演者:西田敏行/鹿賀丈史/田中裕子/石田えり/賀来千香子/南果歩/緒形直人/田中好子/樹木希林ほか 1990

掲載2017年01月20日

 ペリー来航よりも七年も前に英国艦隊来航の報告を受けた薩摩藩。長く藩主の座にいる島津斉興(江見俊太郎)は異国の脅威を理解せず、ただひとり斉彬(加山雄三)だけが未来を見据えていた。そんな中、下役人の西郷吉之助(隆盛・西田敏行)と大久保正助(利通・鹿賀丈史)は斉彬を慕い、仕事に励む。しかし、藩では斉興の側室お由羅(草笛光子)暗殺の陰謀アリと御家騒動が勃発。実力ある家臣が切腹させられ、藩政は混乱。巻き込まれた大久保家も困窮する。このことが隆盛と利通に強い反骨の精神を養ったのだった。悲劇を乗り越え、藩主となった斉彬は、力を失った幕府を支えるため、養女の篤姫を将軍の正室として送り込む。その準備に奔走したのは吉之助であった。

 原作は司馬遼太郎。離島への流罪、復帰、そして迎えた維新の日。ものすごい勢いで隆盛と利通の運命が動いていく。励ましながら、危機を脱してきたふたりだが、維新後、西郷の主張する「征韓論」で対立する。若き日、青空の下、希望を持って村々を駆けた若者が、やがて政治の渦に巻き込まれていく。西郷の土臭さを全身で見せた西田、「長崎へ行きたか」と向学心に燃える大久保を人懐こく演じた鹿賀は「役が乗り移った」と称されるほどの熱演。脚本は「金八先生」シリーズ、大河ドラマ「徳川家康」の小山内美江子。草野大悟の味のある語りも印象に残る。

掲載2016年12月16日

「武田信玄」
中井貴一が甲斐の勇者を熱演し最高視聴率49.2%!
「今宵はここまでに...」も流行語になった大河ドラマ

(たけだしんげん そうしゅうへん だいいっかい ちちとこ) 出演者:中井貴一/柴田恭兵/紺野美沙子/大地真央/南野陽子/村上弘明/児玉清/美木良介/橋爪功/宍戸錠ほか 1988年

掲載2016年12月16日

 天文五年、武田晴信(後の信玄、真木蔵人)は初陣を飾った折、父である甲斐の国主・武田信虎(平幹二朗)に罵倒され、確執が生じる。成長した晴信(中井貴一)は、圧政を続ける父を追放。山本勘助(西田敏行)を軍師とし、隣国信濃の平定、領土拡大を続けるが、その行く手には上杉謙信、織田信長ら強敵が待ち構えていた。

 面白いのは、女性たちに悩まされる信玄の意外な顔も描かれていること。おここ(南野陽子)との初恋、公家出身の正室三条夫人(紺野美沙子)との性格の不一致、湖衣姫(南野二役)との出会い。さらに武装するタフな里美(大地真央)、女っぽい恵理(池上季実子)など側室は個性派揃い。強烈なのは三条の侍女八重(小川真由美)。八重は、三条のためにおここを抹殺、「山中の戦は猿蟹合戦と同じ」と田舎を嫌い、都に帰りたいと暗躍。八重は武田家重臣飯富虎昌(児玉清)を誘惑。丸眉を額に描いた美白能面顔の小川がねっとり迫るシーンにはお色気より妖気が。八重の最期も衝撃的だ。

 ストイックな宿敵長尾景虎(謙信・柴田恭兵)と信玄は川中島で激突。大迫力シーンとなった。名将板垣信方(菅原文太)、白塗りお歯黒で貴族風の今川義元(先代中村勘九郎)、景虎のアドバイザー直江実綱(宇津井健)など名優も揃い、語り役の母大井夫人(若尾文子)の「今宵はここまでにいたしとうございます」は流行語にもなった。高視聴率を記録した大河ドラマ。

掲載2016年11月25日

「遠山の金さん」
杉良太郎のスピーディーな殺陣と豪快なお白洲シーン
伊東四朗と岸部シローのとぼけた味も楽しい痛快篇

(とおやまのきんさん) 出演者:杉良太郎/伊東四朗/岸部シロー/美川陽一郎/三浦リカ/小鹿ミキ/伊藤一葉/植田俊/園田裕久 ほか 1975年

掲載2016年11月25日

 江戸の町でちょいと粋な人気者、遊び人の金さん(杉良太郎)は、実は北町奉行・遠山金四郎。悪のウワサを聞きつけると、女密偵(小鹿ミキ、岡崎友紀、水沢アキ)らとともに自ら探索を開始する。そんな奉行を始終心配するのが、筆頭与力の青木(伊東四朗)。一方、事件現場にすかさず現れ、推理を巡らす金さんの横で嫌な顔をしているのが、南町奉行所のドジ同心赤目(岸部シロー)と岡っ引きの新八(うえだ峻)。二人は間違った見立てで無実の人間をひっくくったりする困ったコンビで、金さんと仲間のたまり場の居酒屋で聞き耳をたてて手柄を横取りしようと企んでいる。やがて事件の真相をつかんだ金さんは、悪人たちと大立ち回り。背中の桜吹雪の彫り物を見せつけ、お白洲でシラをきる下手人たちに自ら生き証人となって、見事な裁きを言い渡す。

 時代劇スター杉良太郎の勢いがそのまま画面にあふれる元気のいい金さん。なんたってタイトルが第一話「燃えろ桜吹雪」に始まって「迷路に追い込め!」「女狐を追い詰めろ!!」「燃える男の胸で泣け!!」と命令口調の熱血系。得意の柔術も活かしたスピーディーな殺陣もみものだ。さらに独自のコメディセンスも発揮し、伊東四朗、岸部シローらとのとぼけたやりとりも人気に。ゲストには志垣太郎、蟹江敬三ら演技派が次々登場。杉が情感たっぷりに歌う主題歌「すきま風」もヒットした。

ペリー荻野プロフィール
ペリー荻野

1962年愛知県生まれ。大学在学中よりラジオのパーソナリティ兼原稿書きを始める。 「週刊ポスト」「月刊サーカス」「中日新聞」「時事通信」などでテレビコラム、「ナンクロ」「時代劇マガジン」では時代劇コラムを連載中。さらに史上初の時代劇主題歌CD「ちょんまげ天国」シリーズ全三作(ソニーミュージックダイレクト)をプロデュース。時代劇ブームの仕掛け人となる。

映像のほか、舞台の時代劇も毎月チェック。時代劇を愛する女子で結成した「チョンマゲ愛好女子部」の活動を展開しつつ、劇評・書評もてがける。中身は"ペリーテイスト"を効かせた、笑える内容。ほかに、著書「チョンマゲ天国」(ベネッセ)、「コモチのキモチ」(ベネッセ)、「みんなのテレビ時代劇」(共著・アスペクト)。「ペリーが来りてほら貝を吹く」(朝日ソノラマ)。ちょんまげ八百八町」(玄光社MOOK)「ナゴヤ帝国の逆襲」(洋泉社)「チョンマゲ江戸むらさ記」(辰己出版)当チャンネルのインタビュアーとしても活躍中。