ペリーのちょんまげ ペリーのちょんまげ

掲載2016年05月13日

「黄金の日日 総集編」
信長、秀吉、家康と時代の変遷を経済で描く
国際貿易都市・堺を舞台にした斬新な大河ドラマ

(おうごんのひび そうしゅうへん ) 出演者:市川染五郎(現・松本幸四郎)/栗原小巻/林隆三/川谷拓三/根津甚八/夏目雅子/緒形拳/丹波哲郎/鶴田浩二ほか 1978年

掲載2016年05月13日

 今井宗久(丹波哲郎)らしたたかな豪商たちが町を守る国際貿易都市・堺。南蛮貿易に身を投じた呂宋助左衛門は、大海原に夢をかける。しかし、堺支配を目指す信長(高橋幸治)が現れ、天下人・秀吉(緒形拳)も手を伸ばしてくる。原作は城山三郎、脚本は市川森一。歴史に経済的な視点を盛り込んだ斬新な大河ドラマ。主人公は現在の松本幸四郎が熱演した。大河ドラマ史上、初の海外ロケをした作品でもある。

 石川五右衛門の根津甚八はじめ、李礼仙、唐十郎などアングラ劇団系俳優らが日陰の人々を泥臭く演じて注目された。野望のため戦を仕掛ける秀吉に怒った五右衛門は、伏見城に乗り込み、秀吉暗殺を企てるも失敗。五右衛門は拷問されても助左衛門ら仲間を守るため、堺などに足を踏み入れたこともないと断言する。釜茹での瞬間、その耳に堺で助左衛門が打ち鳴らす鐘の音が聞こえたような気がするのだ。65年の大河ドラマ「太閤記」で人気を博した高橋の信長、緒形の秀吉が復活したのも話題に。秀吉(緒形拳)の最期は衝撃的だった。助左衛門は、石田三成(近藤正臣)から、秀吉に拝謁するよう頼まれる。助左衛門にとっては、秀吉は千利休(鶴田浩二)を切腹させた憎い相手だ。秀吉は、息子・秀頼のことを「かえすがえすも頼む」と遺書にしたためた後、血みどろで誰にも看取られず絶命。秀吉の業の深さを見せつける緒形の鬼気迫る演技は必見。

掲載2016年03月18日

「女は遊べ物語 戦国・亭主操縦法」
ホームドラマ名コンビ西田敏行×坂口良子が登場
司馬遼太郎原作の笑って泣ける夫婦の物語

(おんなはあそべものがたり せんごく・ていしゅそうじゅうほう) 出演者:西田敏行/坂口良子/目黒祐樹/下條アトム/藤田弓子/伊吹吾朗 ほか 1987年

掲載2016年03月18日

 時は戦国。豪快な織田信長(伊吹吾郎)の家臣・伊藤七蔵(西田敏行)は冑の代わりに敗れた編み笠を被って戦場を走り回り「編み笠」と異名をとる。一風変わった男だった。とにかく嫁の小梅(坂口良子)に惚れ抜いているのだが、肝心の小梅はとんでもない遊び好き。七蔵が半年ぶりに戦から戻っても、迎えにも出ない。翌日、元気よく戻ってきた小梅は、謝るどころかあれこれとおねだりする。怒りながらも、許してしまう七蔵は自分でも呆れてしまう。妻の浪費で稼がねばならないと七蔵は発奮。戦で見事、手柄をたてる。ところが手許不如意で新しい馬も買えないのだった...。

 原作は司馬遼太郎。意外な方法で戦国を生き抜く夫婦をユーモアたっぷりに描いた。西田と坂口といえば、ホームドラマ「池中玄太80キロ」の名コンビ。七蔵が妾・おてんのことでドキドキしながら「怒らずによーく聞け」と切り出したり、コショーやトウガラシ入りの塗り薬を塗られるシーンなど、ふたりの掛け合いは絶好調。小梅とおてんらは、屋敷で田楽踊りのどんちゃん騒ぎを始め、秀吉(下條アトム)とねね(藤田弓子)らにも驚かれる。だが、その裏に戦場に夫を送り出す妻の心配や「子を生めぬのは小梅の罪にござります」という哀しみも綴られる。ラストには意外な場面も。名古屋テレビと東映が制作。現代のシーンも取り入れるなどユニークな長編に仕上がっている。

掲載2016年01月15日

「家康が最も恐れた男 真田幸村」
松方弘樹 幸村と秋吉久美子 茶々が駆け落ちする!?
降旗康男、原田雄一、齋藤光正ら名監督の戦国風雲物語

(いえやすがもっともおそれたおとこ さなだゆきむら) 出演者:松方弘樹/秋吉久美子/南野陽子/西村和彦/国生さゆり/菅原文太/前田吟/里見浩太朗 ほか 1998年

掲載2016年01月15日

 天正10年、信長(夏八木勲)らの猛攻で武田氏が滅び、真田幸村(松方弘樹)は秀吉に仕える。彼は両親を亡くした哀しみを背負う茶々(秋吉久美子)と出会い、惹かれあうが、彼女は秀吉の側室になることに。二人は駆け落ちを図ったものの、連れ戻され、幸村は秀吉の家臣を妻に迎える。やがて秀吉は亡くなり、関ヶ原の戦いでは、父親の昌幸(丹波哲郎)と幸村は敗北。家康(津川雅彦)が豊臣を滅ぼそうとしているとみた幸村は、茶々(淀殿)と彼女が生んだ豊臣秀頼(山本耕史)が待つ大坂城に駆けつける。

 NHKで昌幸を好演した丹波哲郎の同役登板はファンにはうれしいところ。後半には真田十勇士が参上。猿飛佐助に西村和彦、由利鎌之助に京本政樹、棍棒を豪快に振り回す三好清海入道にデーブ大久保、霧隠才蔵は国生さゆりというのも異色だ。また、三好伊三入道に前田吟の息子・前田淳、穴山小助に菅原文太の息子・菅原加織、幸村の嫡男・大助に松方の息子・目黒正樹。父子共演&二世俳優勢ぞろいドラマともなった。一方、十勇士の天敵・服部半蔵には遠藤憲一。茶々の妹で徳川に嫁いだお江は南野陽子、秀頼に嫁いだ千姫・遠山景織子がかわいい! 姫たちの存在感にも注目したい。松方、秋吉の駆け落ちには、びっくりだが、青春時代の話なのにどう見ても大人のカップル。ふたりの貫録ゆえですね...。降旗康男、原田雄一、齋藤光正ら名監督の演出も冴えわたる戦国物語。

掲載2015年12月11日

「暴れん坊将軍Ⅲスペシャル 将軍が消えた!?吉宗暗殺の渦巻く紀州和歌山」
またもや中尾彬の怖い尾張様の陰謀なのか!?
吉宗とうりふたつの男が抱えた闇。吉宗初恋の人も登場

(あばれんぼうしょうぐん3すぺしゃる しょうぐんがきえた よしむねあんさつのうずまくきしゅうわかやま) 出演者:松平健/北島三郎/船越英二/浅茅陽子/横内正/佐藤B作/三ツ木清隆/伊藤つかさ/菅野玲子 ほか 1988年

掲載2015年12月11日

 将軍吉宗(松平健)は目安箱に投げ込まれた懐剣に目を止めた。それは吉宗がまだ部屋住みだった時期に山中でケガをし、介抱してくれた山伏(高橋悦史)とその娘・綾乃(松原千明)への礼として贈ったものだったのだ。

 綾乃は吉宗の初恋の相手。目安箱の懐剣がどんな意味を持つのか、気になる吉宗だったが、上野寛永寺の法要に出席する予定もあり、思うように動けない。一方、吉宗にうりふたつの清三郎(松平・二役)は、怪し気な集団に吉宗との入れ替わりの企みに誘われる。仕官もかなわず息子も殺された暗い闇を抱えた清三郎こそ、綾乃の夫だったのだ。寛永寺で拉致された吉宗は偽駕籠に乗せられ、棺桶に入れられて海に沈められ大ピンチ。さらには根来衆や雑賀党に襲われ、危機が続く。

 吉宗になり替わった清三郎は、城での将軍の食事が質素で驚き、酒の相手に女も呼べず、「ひとり寝とは...」と愚痴までいう始末。暗殺の黒幕からは「吉宗として次期将軍を尾張の宗春を指名しろ」と迫られるが、将軍のままでわがまま言いたい放題を続ける。そんな偽吉宗をじっと見つめているのは側用人のじい(船越英二)だった...。吉宗の初恋が描かれる切ない展開。特にラスト、綾乃との会話は心に残る。長年の盟友・大岡忠相(横内正)と昔話をする場面もしみじみする。

掲載2015年11月20日

「遅いしあわせ」
チャンネルオリジナル時代劇 藤沢周平 新ドラマシリーズ
檀れいが家族を抱えて必死に生きる女を熱演

(おそいしあわせ ) 出演者:檀れい/加藤雅也/柄本佑/藤吉久美子/本田博太郎 ほか 2015年

掲載2015年11月20日

 江戸時代に生きた庶民や武士の哀歓を描き続けた時代小説家・藤沢周平の作品を時代劇専門チャンネルがオリジナルドラマ化。「遅いしあわせ」は、遊び人の弟のために離縁され、めし屋で働きながら病んだ母を養う女おもん(檀れい)の物語。おもんは、店で黙々と飯を食うまじめな桶職人の重吉(加藤雅也)の存在が気になりだす。しかし、また弟の栄次(柄本拓)がやくざ(本田博太郎)に借金、おもんは売られそうになってしまう。そんなとき、思いもかけないことが起きて...。

 雨宿りでの出会いから、しみじみとしたラストまでのおとなの純愛。恋もしあわせも忘れていた女の心に小さな灯りがともる。80代のベテラン井上昭監督は、本作のために大好きなお地蔵さまを発注。お地蔵さまがオープニングとラストではちょっと変化するという洒落た演出を見せる。藤沢原作映画「武士の一分」でスクリーンデビューした檀は「時代劇は細胞レベルでわくわくします。この作品では普段大声を出さない私が借金を取り立てる怖い人相手に啖呵を切りました。」と語り、女の秘めた強さや弱さをぶつける熱演を見せる。藤沢周平自身が若き日に療養生活を送り、妻を亡くし後に再婚した経験があることを思うと「遅いしあわせ」という言葉が胸に響く。ゆったりと味わいたい作品。

掲載2015年10月23日

「鬼平犯科帳スペシャル 密告」
高島礼子演じる謎の女が密告した哀しい理由とは
高橋光臣、蟹江一平ら実力派の若手も活躍する長編

(おにへいはんかちょうすぺしゃる みっこく) 出演者:中村吉右衛門/多岐川裕美/勝野洋/尾美としのり/梶芽衣子/綿引勝彦/三浦浩一 ほか 2015年

掲載2015年10月23日

 火付盗賊改方は、たびたび偽の密告により無駄足の出動を続け、悔しい思いを抱えていた。そんな折、長谷川平蔵(中村吉右衛門)の屋敷近く、九段下の居酒屋九兵衛(六代目・柳家小さん)のところに、赤い珊瑚玉の簪をつけた謎の女(高島礼子)が現れ、「急いで頼みましたよ」と二分もの礼金とともに手紙を託した。しかし、その話を聞いた木村忠吾(尾美としのり)が恋文と勘違いし、平蔵に届いたのは夜更けだった。手紙は盗賊がその夜、押し込む先の密告だった。火盗改は賊を取り逃がす。やがて、女が湯島に住むお百と判明。平蔵は若いころ通った団子茶屋の娘だと思い出す。侍の子を身ごもったお百のため、平蔵は金をつけて木更津の農家に嫁がせたはずだったが...。婚家を追われ、流転の果てに盗賊一味の女になったお百と平蔵の再会。息子(高橋光臣)の悪行を見つめるお百の哀しい思い、珊瑚玉の思い出が、この事件のカギとなる。

 「暴れん坊将軍」で本格的デビューした女優・高島礼子のきりりとした女っぷりと、NHK BSプレミアム「神谷玄次郎捕物控」で精悍な同心を演じた高橋光臣の闇を感じさせる男ぶりが見物。また、ネチネチと嫌な感じの盗賊を演じる春田純一が存在感を示している。残念ながら世を去った小房の粂八役の蟹江敬三の息子・蟹江一平が血を嫌う盗賊役で登場している点にも注目。今後の出演もアリ!?

掲載2015年05月22日

「暴れん坊将軍スペシャル2008」
親友夫妻の危機を知った吉宗は土佐へと乗り込む!
レギュラー配役一新、豪華ゲストも揃う「成敗!」SP

(あばれんぼうしょうぐんすぺしゃる2008 ) 出演者:松平健/浅野ゆう子/永島敏行/大和田伸也/岡本麗/黒川芽以/中村玉緒/伊東四朗/堺正章 2008年

掲載2015年05月22日

火消し「め組」の辰五郎(堺正章)は火事場で土佐にいるはずの女・加代(浅野ゆう子)を見かけた。火事の火元は土佐屋。加代は将軍吉宗(松平健)の仮の姿徳田新之助の親友で土佐藩士・高倉左馬之介(永島敏行)の妻だった。突然、離縁された加代は息子の直太郎と江戸に来ていた。南町奉行大岡忠相(大和田伸也)から加代のことを聞いた吉宗は、側用御用取次のじい加納五郎左衛門(伊東四朗)の目を盗み、城を脱出。曲者に襲われた加代を助け、土佐へと乗り込む。土佐屋の主は「毒...」と言い残しており、どうやら幕府に恨みのある意外な人物がからんでいると判明。その根は深く、亡き五代将軍綱吉の時代に遡るとわかるが...。

 2008年末、シリーズ放送開始30周年記念として放送されたスペシャル版。吉宗は若々しさよりも人の心をよく知るおとなの上様として活躍する。また、吉宗の母お由利の方の中村玉緒はそのままだが、辰五郎や大岡忠相などレギュラー配役を一新したのも注目点。「このゴボウはなかなか美味じゃの」ととぼけた毒味を見せる伊東四朗、寡黙な隠密の松田悟志はカッコいい。ゲストには浅野、永島はじめ、女医の池上季実子、きたろう、林泰文など手練れが揃うが、中でも「上様とて容赦無用!」「操られているとも気づかずに。ぐふふふ」と笑う悪女役の川上麻衣子は光っている。陰謀の決着を吉宗がどうつけるかもみどころのひとつ。

掲載2015年05月15日

「岡っ引どぶ5 風車殺人事件」
田中邦衛の無頼岡っ引が仕込み十手で大暴れ!
下層の女たちを守るどぶはカッコいい。意外にモテる!?

(おかっぴきどぶ かざぐるまさつじんじけん ) 出演者:田中邦衛/樹木希林/三浦浩一/森マリア/草薙幸二郎/石橋正次/川村一代 ほか 1983

掲載2015年05月15日

田中邦衛が、元侍で酒と女が大好きな無頼の岡っ引きを演じる人気シリーズ第五弾。夜鷹をいびるごろつきが二人殺された。半端者の事件だが、なぜか三日以内に下手人をあげろとの厳命で岡っ引たちは江戸の町を走り回る。そんな中、どぶはどこか影のある竹とんぼ売り(石橋正次)と知り合う。探索を進めるうちに、女たちを悪どい手で売り買いする黒幕の気配を感じ取ったどぶは事件の核心に迫るが、敵方は汚い手で彼の抹殺を図る。

 シリーズ名物、どぶに惚れた女スリおせん(樹木希林)とどぶのやりとりは今回も絶好調。「おせんがかわいいのは鼻の頭だけ」と笑うどぶ。そんなおせんにベタ惚れの弟分(三浦浩一)もいるという不思議な三角関係に、もうひとり夜鷹の姉御おけい(森マリア)も参戦。どぶに「磯のあわびの片思い」をするおけいは、川崎の母親を殺すと脅され、どぶに一服盛るように迫られるが、「いくらおちぶれたって、女は惚れた男は売らないんだよ!」と見事な啖呵を切る。傷だらけにされても、下層の女たちを守ろうと立ち上がるどぶは、単身悪党の巣に乗り込む。手には50センチはある仕込み十手。そんなどぶの暴走を迷惑顔ながら応援する同心らっきょの旦那(森下哲夫)らの心意気もいい。怒った夜鷹たちがどぶに加勢しようと詰めかけるなど、モテモテどぶの大暴れ。カッコいいです。

掲載2015年02月20日

「岡っ引どぶ2 京洛殺人事件」
おなじみ田中邦衛のはみだし岡っ引きが京都出張
どぶが一夜を共にした女が謎の殺人事件にからむ!?

(おかっぴきどぶ きょうらくさつじんじけん ) 出演者:田中邦衛/樹木希林/平幹二朗/地井武男/結城しのぶ/佐藤佑介 ほか 1982

掲載2015年02月20日

岡っ引のどぶ(田中邦衛)は、もとは武士。江戸下谷の長屋で飲む打つ買うのぐうたら生活を送っているが、推理力と瞬発力は人一倍で、いざとなると仕込み十手で、悪人たちと渡り合う。ある日、どぶは町奉行与力町小路左門(平幹二朗)から、京都で起きた不可思議な事件の探索を命じられる。京には町小路の親類筋の公家がおり、その仲間である烏丸殿が殺されたという。現場にたどり着くと、迎えてくれたのは町小路の叔父(梅津栄)。白塗りの公家顔で「のう岡っ引」と上から目線で呼びつけられ、どぶは苦い顔。そんな中、今度は久我殿が殺され、五条家の継光が「これはわらわに対する脅しじゃ」と怯え始める。五条家には秘密があるらしい。五条家を訪ねたどぶは、継光の妻桜子(結城しのぶ)を見てびっくり。彼女はどぶが一夜を共にした相手だった。しかし、桜子はそんな事実はないと相手にもしない...。

 原作は柴田錬三郎。制作は「木枯し紋次郎」「鬼平」シリーズで知られる映像京都。時代劇ファンに愛される梅津栄の白塗りお公家様、地井武男演じるねずみ小僧や「ややこができました~」と妄想でどぶを追いかけるねずみの妹女スリのお仙(樹木希林)とのコミカルなやりとりは最高。盲目の町小路に注意されても「こればっかりはやめられねえ」と酒に手を出すアウトロー岡っ引きの謎解きと大暴れを存分に楽しめる。

掲載2015年02月13日

「歌う弥次喜多 黄金道中」
歌う映画スター高田浩吉と伴淳三郎の弥次喜多道中
トニー谷、島倉千代子、広澤虎造も出演で大騒ぎ!

(うたうやじきた おうごんどうちゅう ) 出演者:高田浩吉/伴淳三郎/シリア・ポール/高峰三枝子/トニー谷/小坂一也/広澤虎造/島倉千代子 ほか 1957

掲載2015年02月13日

黒船来航で大変な浦賀に到着した弥次さん(高田浩吉)と喜多さん(伴淳三郎)。茶店に入るなり、陽気な舶来音楽に乗せて行進する変な団体を目撃したり、茶店の娘に「あか抜けてない」などと言われて頭にくる江戸っ子のふたり。そこに現れたのは「カモン、カモン、ネギ背負ってサンキュー!」などと怪しげな言葉を使う現地ガイド(トニー谷)だった。黒船にさらわれた母お春(高峰三枝子)を探す娘おきん(シリア・ポール)と知り合い、唐人お吉(ミス・ワカサ)で知られる下田へと来てみると、今度は島倉村のお千代(島倉千代子)らが歌い踊っての祭りの最中。あと一歩のところでお春は長崎へ。弥次喜多は、清水次郎長や紀伊国屋文左衛門(花菱アチャコ)と関わりながら、旅を続けるが...。

 ラジオドラマとして人気となった作品を映画化。現役横綱の東冨士や人気浪曲師の広澤虎造もゲスト出演。森の石松は堺正章の父堺駿二が演じている。ブレイク前の可愛い島倉、後に大瀧詠一の名曲「夢で逢えたら」を歌うシリア・ポール、小坂一也など人気歌手が歌えば、「歌う映画スター第一号」の高田浩吉も自慢ののどを聴かせるという楽しい作品。高田は持ち役の伊豆の佐太郎、伴淳は次郎長で二役もバッチリ決めている。それにしても最終的にハッピーエンドだったかは微妙というのが、本作の大きな特長。意外な結末にもご注目。

ペリー荻野プロフィール
ペリー荻野

1962年愛知県生まれ。大学在学中よりラジオのパーソナリティ兼原稿書きを始める。 「週刊ポスト」「月刊サーカス」「中日新聞」「時事通信」などでテレビコラム、「ナンクロ」「時代劇マガジン」では時代劇コラムを連載中。さらに史上初の時代劇主題歌CD「ちょんまげ天国」シリーズ全三作(ソニーミュージックダイレクト)をプロデュース。時代劇ブームの仕掛け人となる。

映像のほか、舞台の時代劇も毎月チェック。時代劇を愛する女子で結成した「チョンマゲ愛好女子部」の活動を展開しつつ、劇評・書評もてがける。中身は"ペリーテイスト"を効かせた、笑える内容。ほかに、著書「チョンマゲ天国」(ベネッセ)、「コモチのキモチ」(ベネッセ)、「みんなのテレビ時代劇」(共著・アスペクト)。「ペリーが来りてほら貝を吹く」(朝日ソノラマ)。ちょんまげ八百八町」(玄光社MOOK)「ナゴヤ帝国の逆襲」(洋泉社)「チョンマゲ江戸むらさ記」(辰己出版)当チャンネルのインタビュアーとしても活躍中。