ペリーのちょんまげ ペリーのちょんまげ

掲載2015年01月23日

「隠密・奥の細道」
佐藤浩市と国広富之が芭蕉と曽良に扮して悪を斬る!
「一句献上!」決めセリフ、あの大物女優も登場のお宝編。

(おんみつ・おくのほそみち ) 出演者:佐藤浩市/国広富之/萬田久子/中村嘉葎雄/西山浩司/丹波哲郎 ほか 1988

掲載2015年01月23日

渋い男前俳優として人気の佐藤浩市が88年、バブル当時に大暴れを見せたお宝時代劇。

町人文化が花盛りとなった元禄時代、俳人松尾芭蕉(中村嘉葎雄)は弟子の曽良(西山浩司)と後に「奥の細道」行と呼ばれる東北への旅に出る。しかし、伊賀生まれの芭蕉は、忍者だとか公儀隠密の頭領とのウワサもあり、たびたび命を狙われる。密かに芭蕉警護の命を受けたのは、芭蕉を「おじき」と呼ぶ遠縁の忍者六郎太(佐藤浩市)と相棒音丸(国広富之)だった。二人は芭蕉一行の影武者となり、みちのく諸藩の裏事情を探る。

 俳諧師に変装してもなかなか文人には見えない佐藤&国広コンビは、いざとなると悪人の前に青と茶色の忍者姿に変身。「一句献上!闇に咲く今日を限りの地獄花」「咲かせてみしょう、散らせてみしょう」と一句詠んでから悪を退治。悪人側は、突然やってきたお前らは何なんだ!一句詠むって!?と驚愕の表情だ。そんな中、偽物の評判を聞いて「さすがは芭蕉先生ですなあ」ととぼける本物芭蕉の中村嘉葎雄は、舟に乗ったシルエットが芭蕉の姿絵にそっくり。さすがの貫録を見せる。隠れくノ一の萬田久子、敵方風魔一族の京本政樹、岡安由美子、キラー・カーン、荒勢も参戦。第一話と最終話で芭蕉にからむ美女には大物女優黒木瞳が登場。宗次郎の挿入歌も旅心をそそる。テレビ東京「松尾芭蕉『奥の細道』行開始300年記念作」

掲載2015年01月16日

「鴛鴦歌合戦」
近年再評価されたミュージカル時代劇の名作!
陽気な千恵蔵、志村喬、ディック・ミネの美声に注目

(おしどりうたがっせん ) 出演者:片岡千恵蔵/志村喬/ディック・ミネ/市川春代/服部富子/深水藤子/小林三夫/尾上華丈 ほか 1939

掲載2015年01月16日

片岡千恵蔵といえば重厚な侍イメージだが、戦前(公開1939年)にこんな楽しい映画にも主演していた!とびっくりの作品。城勤めを嫌い、長屋で気楽な浪人生活を送る浅井礼三郎(千恵蔵)は、骨董好きの隣人志村狂斎(志村喬)の娘お春(市川春代)といい感じなのに、素直に仲良くできない。そこに豪商香川屋(香川良介)の娘おとみ(服部富子・音楽家服部良一の妹)が礼三郎に一目ぼれ。猛アタックを開始する。さらに礼三郎の叔父遠山満右衛門(遠山満)が、娘の藤尾(深水藤子)との婚礼を迫ってくる。四角関係で皆が困惑していると、骨董好き大名・峯沢丹波守(ディック・ミネ)が、おとみを側室にしたいと言い出して大混乱!?

31歳のマキノ正博監督がテイチクと協力したミュージカル時代劇。衣装や小道具のアート感覚もすばらしく近年再評価された。なんといっても音楽と歌が楽しい。お春におとみが日傘を売ってといえば、お春は断固拒否。おとみが♪な、な、なんです~と抗議を歌にすれば、お春も負けじと「へその曲がったヒステリー」と返す。そんなふたりに礼三郎は「へその問題についてはおおいに論じてください。では、御免」と去っていく。おいおい!中心人物が一番のんきというすごい展開。そんな中、家臣を従え♪僕は若い殿さま~と歌うディック・ミネと、三十代にして老け役の名優志村の娘を思う美声が輝く。

掲載2014年11月14日

「裏切りの報酬」
笹沢佐保原作。誘拐と村襲撃事件に潜む怖いワナ。
露口茂が相棒犬シロとともに復讐と愛憎劇に挑む

(うらぎりのほうしゅう) 出演者:露口茂/山本みどり/佐藤友美/ホーンユキ/鶴田忍/長谷川明男/松山政路/平泉成 ほか 1983

掲載2014年11月14日

裏長屋にひっそりと暮らす浪人・九鬼真十郎(露口茂)は、剣の腕を頼りに道場破りや用心棒稼業でその日暮らしに明け暮れている。そこに誘拐された旗本・向坂家の奥方救出という大仕事が舞い込んできた。真十郎は、相棒犬のシロとともに、身代金を受け取り現場で、誘拐犯を切り捨てる。その後、村人が次々と殺されているという村に向かった真十郎は、名主徳兵衛(長谷川明男)から、過去の出来事の復讐のために「七人の男たちが村を襲ってくる」という村の秘密を打ち明けられる。そこに村への道連れになった女お夏(山本みどり)は、真十郎に、さまざまな情報をもたらしてきた。どうやら、名主の美人妻おそで(佐藤友美)は、小悪党の友造(鶴田忍)に狙われているらしい。不穏な空気の中で、名主と村人たち、真十郎が、凶悪な七人を誘い込もうと綿密に計画をたてた村祭りの日、予想もしない裏切りが真十郎を待ち受けていた。

 「ほれた男のためなら、女は夜叉になれる!」「あの男を殺しておくれ!」魅力たっぷりの悪女が登場する展開は、さすが「木枯し紋次郎」で知られる笹沢佐保の原作らしい。重追放の身で孤独に生きる真十郎が、「人を信じなければ裏切られることはない...」とつぶやく意味がよくわかる。制作に福島テレビも参加。荒涼とした物語の中で、露口茂の渋い存在感と、シロの名演技が光る。

掲載2014年11月07日

「お庭番忍びの構図」
町に住みつき密かに働く隠密の宿命を田中邦衛が熱演
まじめな息子役で若き日の遠藤憲一も活躍する。

(おにわばんしのびのこうず ) 出演者:田中邦衛/遠藤憲一/根岸季衣/岡本富士太/綿引勝彦/花沢徳衛 ほか 1983

掲載2014年11月07日

岡崎城下の居酒屋のおやじ捨吉(田中邦衛)は、実は各地に住み着いて情報収集や探索を行うお庭番の不破数馬。"草"と呼ばれる公儀の隠密だった。捨吉が活動していた正徳年間、将軍家継時代の公儀隠密は、伊賀組・甲賀組の忍者集団で構成され、お頭の命令に背くことは許されなかった。ある日、岡崎藩に不穏の動きありとの連絡で、捨吉は動き出す。そこに江戸で隠密としての修行を積んだ息子が現れる。十五年ぶりに再会した息子(遠藤憲一)を気遣いながら、陰謀に迫る捨吉だが、城の絵図面を巡って、逆に公儀に狙われることに。捨吉を慕う女、恋蝶(根岸季衣)を人質にとられた捨吉は、お頭で無二の親友服部善蔵(綿引勝彦)に「死んでもらう」と告げられる。

 「岡っ引どぶ」「長崎犯科帳」などでアクション俳優としての顔も見せる田中邦衛のお庭番は、厳しさと柔らかさを併せ持つおとなの忍び。自分のために危機に陥った恋蝶を思い、「俺は私心から女と関わった。お庭番としての落とし前は自分でつける」という捨吉はカッコいい!また、ずっと父を慕い続けたという不器用なまじめ息子を若き日(当時から強面だった)の遠藤憲一が演じているのも面白い。岡崎藩本田豊後守の動静により、すべての事情が変わるなど、公儀の意向に翻弄されるお庭番の悲哀も描かれる長編。監督は「鬼平犯科帳」「剣客商売」の吉田敬一郎。

掲載2014年08月01日

「おんな霧隠才蔵 戦国忍者風雲録」
トレンディ以前の浅野ゆう子が体当たりで女忍びに!
男装、アクション、セクシー、爆発、娯楽要素満載長編

(おんなきりがくれさいぞう せんごくにんじゃふううんろく ) 出演者:浅野ゆう子/金田賢一/岡本富士太/橋本功/高松英郎 ほか 1982

掲載2014年08月01日

関ヶ原の戦いから十数年。いよいよ豊臣方と徳川方の決戦の日が近づいていた。豊臣方でも、もっとも力を持つ武将は、真田幸村(高松英郎)。彼には、猿飛佐助(岡本富士太)、霧隠才蔵(誠直也)、三好清海入道(大前均)ら真田十勇士という強い味方がついていたのだ。しかし、彼ら忍びの者たちの暗闘も水面下が続き、徳川家康(鈴木瑞穂)配下の伊賀忍びの服部半蔵(橋本功)は、才蔵と対決。半蔵は片目を失い、才蔵は重傷を負い、命を落とす。才蔵の妹かえで(浅野ゆう子)は、兄の遺志を継ぎ、男装して十勇士に加わるのだった。その戦いの中で、かえでは、幸村の嫡男大介(金田賢一)に心惹かれるが、それは身分違いの恋だった。

 トレンディドラマでブレイクする以前(82年)の浅野ゆう子が、男装してアクションに挑戦。グヒヒヒと不気味に笑い、才蔵を恨むキャラが立ちまくりの半蔵(橋本功は昭和の名ドラマ『若者たち』で人気を得た)に捕らえられたかえでは、手足を縛られ、女とわかると半蔵に襲い掛かられる。セクシーシーン(クライマックスにかえでと大介の全裸も!?もちろんシルエットですけど)、残像効果を使ったストロボ撮影で相手を惑わすかえで得意の忍術など、サービス精神とケレンミたっぷりの演出は誰かと思ったら…天知茂の「江戸川乱歩シリーズ」でおなじみの井上梅次監督! 目が離せないシーン満載、異色の戦国忍者ストーリー。

掲載2014年06月20日

「明智光秀-神に愛されなかった男-」
熱い男唐沢寿明の明智光秀は、新解釈で新鮮!
秀吉はなぜ「約束じゃ」と言ったのか?謎解きをぜひ。

(あけちみつひで-かみにあいされなかったおとこ- ) 出演者:唐沢寿明/柳葉敏郎/長澤まさみ/大泉洋/小西真奈美/伊藤英明/谷原章介/上川隆也 ほか 2007

掲載2014年06月20日

戦国乱世、苦しい流浪の末に、将軍の地位を狙う足利義昭(谷原章介)を織田信長(上川隆也)に引き合わせる役目を引き受け、織田家に仕えるようになった明智光秀(唐沢寿明)。実力主義の織田家にあって、光秀は、農民の身分から出世を続ける木下藤吉郎(のちの羽柴秀吉柳葉敏郎)の動きが気になり始める。そんな折、信長は、越前朝倉攻めで痛い敗退となり、撤収のしんがりに立候補したのは、秀吉だった。多勢の敵を前に、信長と味方を逃がすしんがりに助かる見込みはほとんどない。光秀は信長に「絶対に生き残れ」と命じられたにも関らず、秀吉を救うために引き返す。そして、比叡山焼き討ちの総大将となった光秀は、皆殺しの命令を前に苦悩し始めた…。

 ライバルであった秀吉をなぜ命がけで助けたのか。運命の「本能寺の変」はなぜ起きたのか。歴史ミステリーを新解釈で描く展開は、新鮮。なにしろ中国大返しを達成する秀吉がつぶやく言葉は「約束じゃ」「明智殿が待っている」なのである。それを受けた光秀は一言「ずいぶんと遅かったな」その約束とは!?

制作には時代劇の名人集団「映像京都」が関り、炎上シーンなどは大迫力。唐沢の熱演だけでなく、光秀の苦労人の妻を演じる長澤まさみ、わがままな足利義昭の谷原など脇役もいい味。中でも、苦しむ父を助ける光秀の息子役の大泉洋がいい。 

掲載2014年05月30日

「鬼平犯科帳スペシャル 見張りの糸」
火付盗賊改方に二階を乗っ取られた老盗賊の困惑
中村嘉葎雄と本田博太郎のとぼけた会話は絶品

(おにへいはんかちょうすぺしゃる みはりのいと ) 出演者:中村吉右衛門/多岐川裕美/梶芽衣子/蟹江敬三/勝野洋/中村又五郎/尾美としのり/綿引勝彦/三浦浩一  2013

掲載2014年05月30日

火付盗賊改方の密偵小房の粂八(蟹江敬三)は、古いなじみの稲荷の金太郎(渡辺いっけい)が、今も盗人一味にいると知り、あとをつけた。金太郎が、皆殺しの盗みを働いたむじな一味とわかり、ねぐらである茶店を見張るため、火盗改は、向かいの仏具屋「和泉屋」の二階を借り受ける。実は和泉屋の主人忠兵衛(中村嘉葎雄)は、三年前に引退した上方の盗賊堂ヶ原の忠兵衛、番頭の太助(本田博太郎)はその手下だった。和泉屋の床下には、盗んだ千五百両が埋めてある。その金を巡って、むじな一味とは別の事件が起ころうとしていた…。

 まさか自宅に火盗改が居座るとはと困惑する忠兵衛と太助。「盗賊改めに二階を乗っ取られるとは」(忠兵衛)「蛇ににらまれた蛙も同然」(太助)と言いつつ、凶悪なむじな一味に対しては「そんなやつらをのさばらしておいては」と、盗賊としての気骨も見せる。ふたりの会話は絶品。ラスト、思わぬ展開で、鬼平(中村吉右衛門)と向き合う忠兵衛の名演技、ユーモアあふれる印象的なラストにも注目。

 また、粂八は、血を嫌う金太郎が残酷な犯行に加わったことで悩むことになる。ドラマの冒頭で、久しぶりに再会した粂八、金太郎の明るさと裏の顔のギャップ。急逝した蟹江敬三の何気ない目線やしぐさに、きめ細かい演技力が見える。粂八の活躍という意味でもみどころの多いスペシャル。

掲載2014年05月16日

「お江戸吉原事件帖」
吉原(なか)の女を泣かすやつは絶対に許さない!
四人の女たちが、悪いやつらをスカッと退治。

(おえどよしわらじけんちょう) 出演者:東ちづる/横山めぐみ/萬田久子/小林恵美/海東健/渡辺裕之/神山繁 ほか 2007

掲載2014年05月16日

吉原の芸者おれん(東ちづる)は、芸は売っても色は売らない気風のいい女。芸は超一流、知性も教養も豊かだが、その出自は誰も知らない。そのおれんを慕うひばり(横山めぐみ)は、元は一流太夫にと期待された番頭新造で、今は吉原の若い女たちの面倒を見ている。元気のいいあけみ(小林恵美)は、花魁たちの恋文配達人。そして、おこう(萬田久子)は、吉原の生き字引とも言われるベテラン遣り手。彼女たちは、江戸最大の歓楽街、不夜城吉原に頻発する事件を調べ、悪いやつらを退治する“裏の顔”を持っていた。合言葉は「吉原(なか)の女を泣かすやつは絶対に許さない!」キリリとした四人の戦いっぷりは見ものだ。

 第一話では、病に侵された花魁(西田ひかる)が初恋の男を慕って、足抜け騒動を起こす。花魁にとって大門を黙って抜け出すことは、きつい御法度。それを承知で命がけで抜ける女の心につけこむ悪いやつとは…。第三話にはひばりの元恋人が、第四話には、誰にでも「あなただけよ」と起請文を書く花魁役で山田まりやが登場。色と欲、男と女のうそと真が入り乱れる吉原ならではの事件が描かれる一方、ここには八百屋、魚屋などがあり、町としての機能があったことなども紹介され興味深い。おれんに恋する吉原同心の渡辺裕之、男衆の海東健、くせ者おやじの神山繁ら、吉原の男たちの味のある演技も見逃せない。 

掲載2014年03月14日

「あんみつ姫」
「わらわはラブを探すのじゃ!」時代劇の楽しさ満載
井上真央主演のハッピーなお姫様が町を行く!

(あんみつひめ) 出演者:井上真央/小出恵介/夏木マリ/泉谷しげる/中条きよし/白川由美/中川翔子/早乙女太一 ほか 2008

掲載2014年03月14日

「あの走る下駄、最高です!」城の中をローラースケート(?)で走り回るあんみつ姫(井上真央)は、あずきの産地として知られる甘辛国のお姫様。十六歳の誕生日には、発明好きの父(柳葉敏郎)や母(和久井映見)、おばば様(白川由美)らにバースデーケーキでお祝いをしてもらった。が、そこでお見合いを勧められた姫は、「結婚相手は自分で探す」「わらわはラブを探しに行くんじゃ」と城を脱出してしまう。甘味屋では団子を山盛り平らげ、芝居小屋では、人気絶頂の女形桃山三太夫(早乙女太一)に接近し、自由を満喫する姫は、やがてこどもたちのスリ集団「こんぺい党」の団長煎兵衛(小出恵介)に淡い恋心を抱くが…。頭が盛り上がっ家庭教師カステラ夫人(夏木マリ)、しるこ、あんこ、きなこと甘過ぎる名前の腰元三人組(森三中)、あたふたする世話役のあべかわ彦左エ門(泉谷しげる)、お茶目な姫の親友いちご大福(中川翔子)など豪華ゲストが、笑わせ盛り上げる、時代劇の楽しさ満載のラブコメディ。

 よく見ると、「花より団子じゃ」など、パロディのセリフや、姫の周囲に出没する金つばのリュウ(京本政樹)が早乙女のことを「微妙にオレと被ってる」などといったセリフも織り交ぜられ、悪役塩辛国の腹黒伊蔵(中条きよし)の必殺ムードも相まって、時代劇ファンも理屈抜きに楽しめる仕掛けに。家族で見たいハッピーな長編。

掲載2014年03月07日

「隠密八百八町」
舘ひろしが熱血父と飄飄息子父子二代を一人演じ分け!
横一列に並んだ隠密組は江戸の「Gメン」?

(おんみつはっぴゃくやちょう ) 出演者:舘ひろし/釈由美子/宝海大空/池田努/前田吟/平幹二朗/益岡徹/津川雅彦 ほか 2011

掲載2014年03月07日

スペシャル版「隠密秘帖」で、父・神谷庄左衛門、シリーズ「隠密八百八町」では、その息子又十郎、父子二代の活躍を舘ひろしがひとりで演じ分けた斬新な作品。南原清隆、カンニング竹山、松坂慶子ら豪華ゲストの「隠密秘帖」では、賄賂政治でブイブイ言わせる田沼意次(笹野高史)の嫡男意知(若林久弥)が、江戸城内で斬られた事件を調べ始めた下級武士・庄左衛門が、事件の深い闇に近づく姿を描く。

 「隠密八百八町」には、両親の死後、熱い生き方をした父とは違い、道場の師範代をしながら飄飄と暮らす中年の又十郎が登場。密かに「隠密組」を結成し、悪の根絶を頼まれた又十郎だが、当初、興味がないと言いだし、神谷家元用人喜八郎(津川雅彦)をやきもきさせる。隠密といえば、スパイ、爆発、毒薬など作戦や武器の使用も楽しみのひとつ。隠密組には、お色気スパイで手裏剣遣いのおとき(釈由美子)、女姿にもなるおときの弟春之丞(宝海大空)、剣術遣いの源兵衛(池田努)が集結。喜八郎の提供する情報や道具で、悪と戦う。

 キャッチフレーズは「隠密継承」。必要経費もしっかり請求する隠密組はしっかり者。スペシャルでは、石原軍団らしい舘、シリーズではホームドラマ顔の舘と、キャラの違いが面白い。隠密組が横一列に進む姿は、江戸の「Gメン」?庄左衛門が残した「備忘録」の行方、楽翁(平幹二朗)の怪演もお見逃しなく。

ペリー荻野プロフィール
ペリー荻野

1962年愛知県生まれ。大学在学中よりラジオのパーソナリティ兼原稿書きを始める。 「週刊ポスト」「月刊サーカス」「中日新聞」「時事通信」などでテレビコラム、「ナンクロ」「時代劇マガジン」では時代劇コラムを連載中。さらに史上初の時代劇主題歌CD「ちょんまげ天国」シリーズ全三作(ソニーミュージックダイレクト)をプロデュース。時代劇ブームの仕掛け人となる。

映像のほか、舞台の時代劇も毎月チェック。時代劇を愛する女子で結成した「チョンマゲ愛好女子部」の活動を展開しつつ、劇評・書評もてがける。中身は"ペリーテイスト"を効かせた、笑える内容。ほかに、著書「チョンマゲ天国」(ベネッセ)、「コモチのキモチ」(ベネッセ)、「みんなのテレビ時代劇」(共著・アスペクト)。「ペリーが来りてほら貝を吹く」(朝日ソノラマ)。ちょんまげ八百八町」(玄光社MOOK)「ナゴヤ帝国の逆襲」(洋泉社)「チョンマゲ江戸むらさ記」(辰己出版)当チャンネルのインタビュアーとしても活躍中。