ペリーのちょんまげ ペリーのちょんまげ

掲載2018年09月14日

「銭形平次捕物控 人肌蜘蛛」
長谷川一夫の平次親分が材木の不正にからむ謎の事件を追う
鍵を握る若者に新進の市川雷蔵、女目明しに山本富士子、悪役はあの人!

(ぜにがたへいじとりものひかえ ひとはだぐも) 出演者:長谷川一夫/山本富士子/市川雷蔵/夏目俊二/堺駿二/東野英治郎 ほか 1956年

掲載2018年09月14日

 豪雨の中、江戸に向けて必死に泳ぐ島抜けの男二人。彼らは、数年前、江戸の大火により巨利を得た材木問屋を疑った銭形平次(長谷川一夫)に捕らえられた松五郎と新吉だった。平次はそのとき、伊勢屋、上総屋(沢村宗之助)、尾張屋(東野英治郎)といった大商人の追跡を当時の奉行に差し止められた苦い経験をしたのだった。島抜け騒動の翌日、隅田川の川べりに医師の宝井宗庵の死体が発見された。その懐からは五十三次の浮世絵が出てきた。平次は、三輪の万七(見明凡太朗)と探索をつづけるが、手がかりはなかなかつかめない。そして、伊勢屋も殺され、またも懐から浮世絵が発見される。そんな中、上州から江戸に来た焼物師の若者・新次郎(市川雷蔵)は、上総屋の奉公人というお絹(近藤美恵子)に出会う。実はお絹は上総屋のひとり娘だった。やがて悪の手はお絹にも伸び、彼女は行方不明となる。

 長谷川一夫の代表シリーズ「銭形平次」大映版10作目にして初のカラー作品。殺された女の肌の蜘蛛の入れ墨など色彩のインパクトも意識された作品といえる。脚本は小國英雄、監督は森一生。大映新進のスター、市川雷蔵と長谷川の共演も話題となった。また、平次の愛妻お静に阿井美千子、謎めいた女おれんに入江たか子、女目明しお品に山本富士子など女優陣も豪華。のちにテレビの黄門様役で人気となる東野英治郎の悪人ぶりも見ものだ。

掲載2018年08月17日

「戦国自衛隊 関ヶ原の戦い 第一部 さらば友よ」
自衛隊が「関ヶ原の戦い」現場にタイムスリップ!
反町隆史×渡部篤郎部隊に津川雅彦の老練な家康の魔の手が伸びる

(せんごくじえいたい せきがはらのたたかい だいいちぶ さらばともよ) 出演者:反町隆史/渡部篤郎/藤原竜也/松方弘樹/津川雅彦/長門裕之/竹中直人/秋吉久美子/古手川祐子 ほか 2006年

掲載2018年08月17日

 富士山麓で演習に向かう陸上自衛隊の2小隊が突如、閃光に包まれ、見知らぬ土地にたどり着いた。「ビルひとつない」「あれは大坂城!?」と驚く隊員を偵察に出した伊庭(反町隆史)と嶋村(渡部篤郎)は、そこが戦国時代あるという驚愕の事実を知る。一方、異様な姿の現代人を敵方かと疑う石田三成(竹中直人)は、家老の島左近(松方弘樹)を派遣。「今は何年ですか」と尋ねた伊庭に左近は「慶長五年」と即答。今まさに三成軍と徳川家康(津川雅彦)軍の関ヶ原の戦が始まろうとしていた!

 これまで二度映画化された半村良の「戦国自衛隊」を原作に、舞台を「関ヶ原」に設定。三成に成り代わって歴史を変える野望を抱く嶋村と、三成・家康のどちらにも組しない伊庭。そして、伊庭の前に若き武将・小早川秀秋(藤原竜也)が現れる。戦の最中に家康側に寝返った裏切り者として歴史に名を残す小早川が、なぜ、決断をしたのか。その謎も独特の解釈で描かれている。露天風呂でにっこりした村の女(賀来千香子)とこの時代に生きる決心をする中年隊員、嶋村を守り抜く女性隊員、現代に戻る希望を抱く若き隊員...しかし、事態は予想もつかない方向に向かう。自衛隊の力を利用しようと、伊庭に「どっちの味方か」「400年も先から来たのに、先が見えぬ男じゃ」と迫る老練な家康を演じる津川はさすが。家康を支える本多正信に長門裕之、戦国の老女に南田洋子も出演している。

掲載2018年07月06日

「座頭市喧嘩太鼓」
自分のせいで不幸になる女を救いたいと戦う市。
ゲストに三田佳子を迎えた勝新太郎座頭市シリーズ第19弾

(ざとういちけんかだいこ) 出演者:勝新太郎/三田佳子/佐藤允/西村晃/藤岡琢也/ミヤコ蝶々 ほか 1968年

掲載2018年07月06日

 甲州路で関西弁の渡世人新吉(藤岡琢也)と知り合った市(勝新太郎)は、石和宿の荒追の熊吉一家にわらじを脱ぐ。「客人」と親分に呼ばれ、頼まれたのは借金を返さない博徒・宇の吉を斬ることだった。市が宇の吉を倒した直後、宇の吉の姉お袖(三田佳子)が、金を工面して現れる。悲嘆にくれるお袖を連れて行こうとする熊吉一家に怒った市は、脅しをかけて彼女を救った。しかし、お袖は弟の借金のために身を売っていたのだった。そのお袖を、甲府城工事の利権を握る猿屋(西村晃)が見染めたことから、猿屋に取り入ろうとする熊吉は、再びお袖をつけ狙う。

 三田佳子が、弟の仇である市に対して複雑な女心を爆発させる薄幸な女を熱演。市は、「お前さんの幸せを台無しにしたのは、あたしだ...」と自分のせいで転落していくお袖を救うべく、命がけで戦うのだ。のちに「必殺シリーズ」でも活躍する三隈研次監督は、暗闇の斬りあいで、龕灯(がんとう)によるスポットライトで市を照らし、光と影の絶妙な緊張感を演出。さらに大詰めの殺陣では、諏訪明神の太鼓の大音量が、市の聴覚を惑わし、危機が迫る。市と対決する浪人・柏崎役の佐藤允、お袖をかばう茶屋のおばちゃん役のミヤコ蝶々はじめ、悪役の伊達三郎、五味龍太郎など共演者も多彩だ。また、殺陣ほど派手ではないが、飯や魚、みかんなどを食べる市から漂う色気はすごい。勝新太郎の全身から湧き出る芝居の色気も堪能したい。

掲載2018年04月20日

「佐武と市捕物控 冬夏の章」
小池徹平×遠藤憲一の名コンビが再びタッグを組んで事件解決
「冬の章 椋鳥」と「夏の章 氷の朔日」の二編で佐武も成長する

(さぶといちとりものひかえ とうかのしょう) 出演者:小池徹平/遠藤憲一/里見浩太朗/福田麻由子/藤田弓子/内藤剛志 ほか 2016年

掲載2018年04月20日

 下っ引きの若者佐武(小池徹平)は聞き込み、張り込み、片付けなど下働きに走り回る見習い。親分の命令ひとつで早朝から深夜まで働くが誰からも一人前と認めてもらえないつらい立場。そんな佐武を心配し、影ながら助けるのが、盲目の按摩で居合の達人の市(遠藤憲一)である。江戸のバディともいえるふたりが「冬の章 椋鳥」「夏の章 氷の朔日」ふたつの事件に挑む。

 「冬の章」では、酒屋・丹波屋の毒酒で14人もの死者が出た。丹波屋に出稼ぎにくる茂平(今野浩喜)と店の養女・志乃(水沢エレナ)と親しい佐武は、疑われた茂平を家に泊めるが、彼は姿を消し、志乃は寺で死んでいた! 佐武の友情と純情。江戸に出稼ぎにくる田舎者たちを揶揄した「椋鳥」という言葉と志乃の秘密が哀しい。「夏の章」では、佐武が半年前に姿を消した柏木薬堂の娘の行方を追う。そんな折、野良犬が若い女の腕をくわえて町に現れ、騒然となる。謎が深まる中で、佐武は蘭方医の池田抱庵(原田龍二)に市の目の治療を頼む。抱庵は手術をすれば治ると断言。しかし、市は相手の顔が見えると人が斬れなくなるとためらう。「人を斬らずにすむならいい」と励ます佐武。やがて事件は猟奇的な展開に...。ふたりをさりげなく見守る勝小吉役の里見浩太朗の貫禄と温泉レポーターとしても人気の原田の怪演にも注目。「見たくもねえものを見なくてすむ」という市と彼とともに成長した佐武の笑顔が清々しい。

掲載2018年03月30日

「新やじきた道中」
長谷川町子のパロディマンガを森一生監督が実写化
大人気コンビ横山エンタツと花菱アチャコの大笑い珍道中

(しんやじきたどうちゅう) 出演者:花菱アチャコ/横山エンタツ/清川虹子/丹下キヨ子/江利チエミ/三遊亭圓馬/伴淳三郎 ほか 1952

掲載2018年03月30日

「サザエさん」で知られる人気漫画家・長谷川町子が「東海道中膝栗毛」の主人公ふたりを軸に描いたパロディマンガ「やじきた」を「座頭市」「忍びの者」などで知られる名監督森一生が実写化した明朗喜劇作品。長谷川原作唯一の時代劇映画。主人公を当時大人気の横山エンタツと花菱アチャコが演じている。しゃべくり漫才の元祖といわれるふたりは第97作のNHK朝ドラマ(連続テレビ小説)「わろてんか」に登場する漫才コンビのモデルになった。

 大阪の裏長屋で暮らす弥次郎兵衛(アチャコ)と喜多八(エンタツ)は、おふく(清川虹子)、 おやす(丹下キヨ子)の尻に敷かれる気の弱い男。ある日、弥次が富札で百両もの大金を当てたものの、店の金を失くして困り果てた手代にそっくりやってしまう。長屋では当選金を当て込んで大宴会の真っ最中。金がない弥次と喜多は女房に追い出され、これ幸いと気ままな旅にと出るのであった。その後、女房たちは亭主の善行を知って、弥次喜多を追いかけるが、肝心のふたりは捕まっては大変と逃げ出す始末。一文無しの旅のため、あっちこっちで仕事をしたり、果ては山賊とタヌキ退治に駆り出される!? 三遊亭圓馬、伴淳三郎など達者な喜劇人とともに当時15歳の江利チエミも出演。音楽を日本のCMソングのパイオニア・三木鶏郎が担当しており、江利が可憐な歌声を聞かせるのも楽しい。

掲載2018年03月23日

「佐武と市捕物控」
小池徹平の佐武と遠藤憲一の市が江戸の悪を追う!
哀しい女たちの夢と偽金の謎がからむ捕物劇

(さぶといちとりものひかえ) 出演者:小池徹平/遠藤憲一/里見浩太朗/内山理名/福田麻由子/藤田弓子/内藤剛志 ほか 2015

掲載2018年03月23日

 34年ぶりにドラマ化された石ノ森章太郎の名作。主人公は、佐平次親分(内藤剛志)の下でいつかりっぱな岡っ引きになりたいと願う下っ引きの若者佐武(小池徹平)と按摩を生業とする仕込み刀の達人市(遠藤憲一)。隅田川で白魚漁師が二人殺され、佐武は、死体発見現場にあったある物が気になるが、同心の清田(柴田善行)らからは相手にしてもらえない。そんなとき、見物客の中に不思議な女(内山理名)を見かける。一方、町では偽金が出回り、町人に慕われる勝小吉(里見浩太朗)らも関心を寄せる。事件の裏には大規模な組織と哀しい女たちの姿が...。

 ドラマの面白さは、盲目の市が微妙な音の違いを聞きわけて事件のカギをつかむなど、推理劇として楽しめること。暴走しがちな若い佐武を市がさりげなく助ける"江戸のバディもの"であること。うぶな佐武が春画に赤くなるシーンなどではくすりと笑わせ、シリアスな場面ではアクションもバッチリ。ペリーは撮影現場を取材したが、佐武はとにかく走るシーンが多く、初時代劇の小池は、慣れないわらじ履きで見事な疾走を見せた。大変だったのは、スキンヘッドの市の特殊メイク。撮影所の一角に専用の「特殊メイク部屋」が設けられ、毎回、時間をかけてつるりとした頭を仕上げていた。エンケン演じる市のスピーディーな殺陣と正式に十手をもらっていない佐武が手に取る武器にもご注目。語りは解説の名手増田明美が務める。

掲載2018年02月23日

「真田十勇士」
中村勘九郎が天下一の策士に!あっと驚く十勇士の真実
堤幸彦監督と佐助が仕掛ける壮大な「大嘘」って!?

(さなだじゅうゆうし) 出演者:中村勘九郎/松坂桃李/大島優子/永山絢斗/加藤和樹/大竹しのぶ/ 加藤雅也/松平健(特別出演)ほか 2016

掲載2018年02月23日

 天下分け目の関ヶ原の戦いから14年。徳川家康(松平健)は二十万の軍勢で豊臣勢を滅ぼすべく攻撃を仕掛けてきた。受けて立つ大坂方の名将といえば、ご存知、真田幸村(加藤雅也)。ところが、この幸村は何かというと「はぁ」とため息をついたり、不安だ~、どうしよ~と言い出すヘタレ男だった。そんなリーダーを抱えて困ったことになった真田十勇士だったが、猿飛佐助(中村勘九郎)は、驚くべき「大嘘」で、家康に戦いを挑む。

 監督は初演舞台も演出した堤幸彦。堤作品ならではの笑える場面やどんでん返しも見所だ。また、監督自身が「盆暮れ正月がいっぺんにきた」と語る日本映画史上類をみないといわれた大規模なセット。エキストラのべ一万五千人と馬が広野を走り、ドローンも多用。最新デジタル技術とともに俳優の体当たりアクションも見物となる。中でも佐助は、空気圧で人間を飛ばすエアラムを使って驚くほどの飛翔を見せる。共演には、思いつめた顔がちょっと怖い淀殿の大竹しのぶ、霧隠才蔵の松坂桃李はじめ、永山絢斗、高橋光臣、駿河太郎、くノ一火垂を演じた大島優子ら豪華な顔ぶれ。十勇士全員キャラがたち、立ち回りも十人全部違うのも面白い。ちなみに佐助の刀は舞台では一本だが、映画は二刀流だ。「さあて、世の中ずいぶん面白くしてやらあ」と佐助が命がけで仕掛けた嘘に泣き笑いする大作。

掲載2017年12月22日

「将軍SHOGUN」[ノーカット字幕版](全6話)
全米で日本で大評判になった海外ドラマのノーカット版
三船敏郎、リチャード・チェンバレンら豪華配役も話題

(しょうぐん) 出演者:リチャード・チェンバレン/三船敏郎/島田陽子/フランキー堺/目黒祐樹/金子信雄/高松英郎 ほか 1980年

掲載2017年12月22日

 80年全米で高視聴率を獲得した日米合作の大作ドラマ。慶長五年(1600)、仲間とともに日本に漂着した航海士ジョン・ブラックソーン(リチャード・チェンバレン)が、文化の違いに驚きつつも、トップに君臨する"将軍"吉井虎長(三船敏郎)に協力する姿が描かれた。「お辞儀をする」といった生活習慣から、釜茹でや切腹、磔などを目撃して、戸惑うジョン。来日外国人の先輩は「この国はサムライのもの。連中は好きに人を斬れる」などと諭す。ジョンのモデルは三浦按針、虎長のモデルは家康だ。

 世界のミフネは、朱色の装束で華やかさも貫録もたっぷり。また、広い日本の風呂で寛ぐジョンのところに島田陽子演じる通訳の娘まり子が入ってくるシーンも話題に。ジョンは「日本ではこれが普通なのか」「はい」...って、普通じゃないでしょ、まり子!! 他にフランキー堺、高松英郎、金子信雄などが出演。日本ロケは大規模な港、城や戦場を作り上げたりと、壮大なスケール。映画「地獄門」、ドラマ「鬼平犯科帳」の西岡善信はじめ、日本人スタッフのリアルな表現技術も高く評価された。アメリカではエミー賞やゴールデングローブ賞などを獲得。「サムライブーム」「日本ブーム」が巻き起こり、島田陽子が国際派女優として活躍するきっかけにもなった。ノーカット字幕版はTV初放送。名優・名監督のオーソン・ウェルズのナレーションも聞きどころだ。

掲載2017年09月29日

「真田幸村の謀略」
萬屋錦之介家康VS松方弘樹幸村と十勇士!
東映大型時代劇第三弾、中島貞夫監督の戦国大作

掲載2017年09月29日

 関ヶ原の戦いに勝利した徳川家康(萬屋錦之介)が江戸に幕府を開いたころ、真田家は紀州に身を潜めていた。その真田を怖れた家康は、間者を放って密かに真田昌幸(片岡千恵蔵)を殺害する。父の謀殺を受け、真田幸村(松方弘樹)は、家康打倒を決意。武芸者・戸沢白雲斎を訪ねるが、白雲斎もまた、服部半蔵(曽根晴美)に殺されてしまった。家康側についた兄信幸(梅宮辰夫)と決別し、白雲斎が遺した「草の者」人名帖を用いて、腕利きの者を探す幸村のもとに勇士たちが集まってくる。

 「柳生一族の陰謀」から始まった東映大型時代劇第三弾。公開79年。「スター・ウォーズ」(77年)、「未知との遭遇」(78年)等SF映画ブームの影響か、冒頭、真っ赤な彗星が飛んでくるという時代劇とは思えない斬新なシーンでスタート。そこから白髪の家康と林羅山(金子信雄)ら老練な面々が映し出されると一気に重厚な時代劇モードになるからすごい。パワーあふれる十勇士は、霧隠才蔵(寺田農)、筧十蔵(森田健作)、猿飛佐助(あおい輝彦)、根津甚八(岡本富士太)、穴山小助(火野正平)、三好伊三入道(真田広之)、三好清海入道(秋野暢子)、海野六郎(ガッツ石松)など。大坂の陣で「籠城」と天の声を出す淀殿(高峰三枝子)と秀頼(小倉一郎)母子の存在も印象的。水面下の忍者戦、重傷を負った幸村が仕掛けた「真田丸」と驚くべき秘策、結末にも注目。

掲載2016年11月18日

「桜ほうさら」
弱き侍玉木宏が亡き父のため武家社会の闇に迫る。
驚愕の結末と江戸の人情に泣ける宮部みゆき時代劇

(さくらほうさら) 出演者:玉木宏/貫地谷しほり/橋本さとし/萬田久子/六角精児/市毛良枝/桂文珍/高島礼子/風間杜夫ほか 2014年

掲載2016年11月18日

 上総国搗根藩小納戸役古橋家の次男笙之介(玉木宏)は剣術はからきしの心優しい学問青年。道場で麒麟児といわれる兄(橋本さとし)とは正反対だ。天保六年、突如、父(桂文珍)が身に覚えのない収賄罪で切腹に追い込まれてしまう。証拠の証文にはなぜ父さえ知らぬ父の文字があったのか。やがて江戸留守居役の坂崎(北大路欣也)に請われ、江戸に出た笙之介は、深川の長屋に住み、書物問屋村田屋(六角精児)から頼まれる写本で生計を立てながら父の事件を探る。多くの人に助けられる笙之介。顔にあざがあり、頭巾を被って引きこもっていた和香(貫地谷しほり)も笙之介ののんきな優しさに触れて、少しずつ外に出るように。一方、毒舌で酔っ払いの謎めいた作家・押込御免郎(風間杜夫)はある重大な秘密を握っていた。

 原作は宮部みゆき。ミステリー巧者の原作だけに事件の根は深く、笙之介は武家社会の闇に迫り、命の危機も感じる。結末は「まさか」の一言。そんな彼を助ける長屋の人情が胸を打つ。玉木は、主演作「鹿男あをによし」、朝ドラ「あさが来た」でも見せた得意の(?)気弱男を演じる。「桜ほうさら」とは甲州の方言で「いろいろあって大変だった」という意味の「ささらほうさら」を和香が言い換えた言葉。「私は一度でいいから舟に乗ってみたかった」という和香と笙之介が舟に乗るシーンなど、繊細で美しい場面も心に残る。

ペリー荻野プロフィール
ペリー荻野

1962年愛知県生まれ。大学在学中よりラジオのパーソナリティ兼原稿書きを始める。 「週刊ポスト」「月刊サーカス」「中日新聞」「時事通信」などでテレビコラム、「ナンクロ」「時代劇マガジン」では時代劇コラムを連載中。さらに史上初の時代劇主題歌CD「ちょんまげ天国」シリーズ全三作(ソニーミュージックダイレクト)をプロデュース。時代劇ブームの仕掛け人となる。

映像のほか、舞台の時代劇も毎月チェック。時代劇を愛する女子で結成した「チョンマゲ愛好女子部」の活動を展開しつつ、劇評・書評もてがける。中身は"ペリーテイスト"を効かせた、笑える内容。ほかに、著書「チョンマゲ天国」(ベネッセ)、「コモチのキモチ」(ベネッセ)、「みんなのテレビ時代劇」(共著・アスペクト)。「ペリーが来りてほら貝を吹く」(朝日ソノラマ)。ちょんまげ八百八町」(玄光社MOOK)「ナゴヤ帝国の逆襲」(洋泉社)「チョンマゲ江戸むらさ記」(辰己出版)当チャンネルのインタビュアーとしても活躍中。