ペリーのちょんまげ ペリーのちょんまげ

掲載2016年07月15日

「西遊記」
堺正章の孫悟空と仲間たちが天竺を目指す!
夏目雅子の三蔵法師も話題に。こどもにも大人気作

(さいゆうき) 出演者:坂口祐三郎/金子吉延/牧冬吉 ほか 1967年

掲載2016年07月15日

 1978年、日本テレビ開局25周年記念ドラマ。仙術を身に着け暴れまわった罰で五行山の岩に閉じ込められた孫悟空(堺正章)は、500年後、三蔵法師(夏目雅子)に救われ、猪八戒(西田敏行)、沙悟浄(岸部シロー)とありがたい経典を求めて天竺に向かう。しかし、道中は妖しい怪物たちが待ち受け、苦難の連続だった。

 万里の長城など中国ロケを敢行。ウルトラマンシリーズの佐々木守はじめ沖島勲、ジェームス三木など実力派の脚本家たちが原典を大胆に脚色。ケンカしたり助け合ったりする主役4人の息の合った掛け合いで笑わせ、アクションでスカッとさせる。円谷プロによる特撮シーン、第2シリーズでは「ゴジラ」シリーズを手掛けた錚々たる面々が参加した本格的な特撮技術も見もの。冒頭、石猿の孫悟空が出てくる場面だけで巨額が投じられたという。孫悟空が乗る筋斗雲(きんとうん)はアニメ、幻想的な風景などはミニチュア、30メートルの龍を実際に制作したり、クロマキーによるVTR合成も駆使するなど、あらゆる技術を結集し、壮大なドラマを作り上げた。釈迦如来役の高峰三枝子はじめ、天本英世、中村敦夫、中尾彬&池波志乃、緑魔子、ハナ肇ら豪華ゲストが本気になって妖怪などを演じているのが素晴らしい。ゴダイゴの主題歌「モンキー・マジック」「ガンダーラ」、芥川隆行の名語りも含め、子どもたちにも大人気となった名シリーズ。

掲載2016年03月04日

「猿飛三世」
猿飛佐助の孫を伊藤淳史が熱演した青春活劇
映画でもできなかった?大迫力のアクションに注目

(さるとびさんせい ) 出演者:伊藤淳史/水川あさみ/細田よしひこ/川崎亜沙美/波岡一喜/梅沢富美男/柳葉敏郎/浅野ゆう子/堺正章 2012年

掲載2016年03月04日

 大坂夏の陣から36年。伝説の忍者 猿飛佐助の孫・佐助(伊藤淳史)が京に出てきた。未熟忍びの佐助だが、お市(水川あさみ)との出会いによって、都を舞台にした陰謀に巻き込まれる。京の悪代官・北倉(梅沢富美男)は自らの欲望のため、お市の父・梅宮主膳(堺正章)をワナにかけたのだ。お市を守るため、仲間の才蔵(細田よしひこ)、さぼてん(川崎亜沙美)と戦う佐助だが、彼らの前に伊賀の服部半蔵の孫、伴蔵(浪岡一喜)が立ちふさがる。

 びっくりするのは迫力のアクション。忍びたちは木の上から地面の枯葉の中から空中へ飛び出す。敵の刀が佐助の髪をすーっと切り取るギリギリ感にはドキドキだ。アクション監督は香港で学び、映画「カムイ外伝」「るろうに剣心」を担当した谷垣健治。その谷垣が猛暑の京都、車が入れないほど険しい山中で「伊藤くんはワイヤーに吊られ、ヒルの山に突進したよね」と感心するほど、大変なロケだったという。ペリーも伊藤佐助ご本人にインタビューした際、二か月前からクナイ(忍び刃物)の特訓を続け、クライマックスの伴蔵との泥の中での死闘は丸四日かけたと聞いた。佐助もすごいが伴蔵の悪の美がすごい。この場面は必見! 千葉真一による「猿飛佐助、推参!」の語り、トレンディドラマ世代の浅野ゆう子、柳葉敏郎も若手を助ける。ダメ忍者・佐助の傷だらけの成長が描かれる青春活劇。

掲載2016年02月12日

「新 松平右近」
将軍の弟が町医者として診療と世直しに大活躍
絶好調の里見浩太朗が名刀・一文字で悪を成敗

(しん まつだいらうこん ) 出演者:里見浩太朗/野川由美子/火野正平/かたせ梨乃/高品格/丹波哲郎 1983年

掲載2016年02月12日

 長屋で暮らす町医者の藪太郎(里見浩太朗)は、実は第11代将軍徳川家斉の弟。ご落胤という身分を捨てて、庶民との生活を選んだ個性派だ。そんな藪太郎だが、正義感が強く、許せぬ悪を見つけると、乗り込んでいって堂々対決。名刀一文字で見事に成敗していく。医師だけに「人の病ばかりじゃあねえ、世の中の悪を治すのも医者の役目だ」と、医療と世直しをかけているところも素晴らしい。医師の上着をぱっと脱ぎ捨て、華やかなお武家姿に変身する里見には、東映京都育ちの正統派時代劇の担い手としての覚悟がうかがえる。

 共演は、錦絵などを売る長屋の大家・おきわに野川由美子、同じ長屋の住人で調子のいい駄賃とりの音松に火野正平、元盗賊ながら世間をよく知る居酒屋の主・文蔵に高品格と、「長七郎シリーズ」などで長く里見時代劇を支えた面々が顔をそろえた。「藪さん、バカ(音松のこと)につける薬はないのかね」「今度作るよ」といった軽妙なやりとりや「藪さ~!!」と声をかける野川と文蔵の店で働くおらん役のかたせ梨乃の張り切り女子対決もお楽しみ。

 なお、回想シーンに絵具をぐるぐると混ぜるような不思議な背景を映り込ませるなど、演出の新たな試みも随所にみられる。また、主題歌「しあわせ」の作詞はカザマタロウというペンネームを使った里見浩太朗ご本人。痛快時代劇の王道を見せつけるシリーズ。

掲載2015年11月27日

「佐武と市捕物控4」
信頼していた人に疑惑が!? 名コンビ最大のピンチ!
巨悪に立ち向かう熱血下っ引きの活躍が光る

(さぶといちとりものひかえ4 ) 出演者:三浦友和/梅宮辰夫/名取裕子/地井武男/石橋蓮司 ほか 1982年

掲載2015年11月27日

 親と慕った佐平次親分を悪人のために亡くした下っ引きの佐武(三浦友和)は、親分の娘・みどり(名取裕子)と所帯を持つために頑張っていた。とはいえ一本気な佐武は、平然と袖の下を要求する岡っ引きが許せず、収入も少ない立場。みどりは傘張りの内職生活だ。一方、盲目の居合名人・市(梅宮辰夫)は、仕込み杖を折ってしまい、怯え暮らす。そんな折、豪商の札差相模屋(戸浦六宏)の接待で岡っ引きや役人たちが浮かれる座敷で、佐武は、ただひとり憮然とした顔で席を立った先輩岡っ引き弥助(石橋蓮司)の様子が気にかかる。近く大物を捕えて見せると言った弥助だが、この後、惨殺されてしまった。事件を追う佐武は弥助が相模屋を追っていたこと、また女スリのおゆう(小野みゆき)からすりとった相模屋の財布にとんでもないものが入っていたと知らされる。

 親分を亡くし、信頼する同心田辺(地井武男)までもが相模屋にすり寄っている!?と知った佐武は、人間不信に。さらに凶悪な三人組にみどりが誘拐され、最大のピンチに。追い詰められた佐武は相模屋相手に大胆な行動に出る。投げ縄を使う友和と梅宮のダイナミックな殺陣、「おかちめんこ」「あっかんべー」といった佐武とみどり痴話ケンカなどお約束シーンとともに石橋蓮司の暗い顔、地井武男の正義感などが、テンポよく描かれる。

掲載2015年11月13日

「佐武と市捕物控3」
恩人との別れ、市とのケンカ、恋人の悲み・・・
三浦友和の佐武が梅宮辰夫の市と謎の狐面集団に挑む!

(さぶといちとりものひかえ3 ) 出演者:三浦友和/梅宮辰夫/名取裕子/由利徹/地井武男 ほか 1982年

掲載2015年11月13日

 江戸で奇怪な事件が続発。突如、キツネの面をつけられ、白馬で引きずられた挙句に解放されるのだが、なぜか拉致後、眼が見えなくなっているのだった。被害者が人別帳に載っていないあぶれ者ばかりということが判明し、下っ引きの佐武(三浦友和)はあらかじめ身元が確認できる立場にいる者が関わっているとにらむが、謎は深まる一方だった。そんな折、佐武は市(梅宮辰夫)と仲たがいしてしまう。

 石ノ森章太郎の人気漫画の実写版第三弾。爽やかさと熱血が同居した新人下っ引き・佐武は暴走しがちだが、この回では、羽織を着てちょっぴり貫録?を感じさせる。その佐武を見守るのが、ベテラン親分佐平次(由利徹)。「しかしも案山子もあるか!」由利のユーモアたっぷりの江戸っ子親分がいい味を出す。

 佐平次親分は、娘・みどり(名取裕子)と佐武の仲を悟り、ふたりの祝言を楽しみにしていた。その矢先、狐面の集団に襲われて佐平次は殺されてしまう。親代わりの恩人を亡くし、悲しみにくれるみどりを励ましながら成長していく佐武。やがて浮かび上がる豪商但馬屋。一方、盲目の按摩だが、仕込み杖の達人である市は、鋭い感覚で事件には「どえらい黒幕がついている」「佐武やんは、よっぽどふんどしを締めてかからないと危ない」と佐武を案ずるのだった。ふたりの推理と友情、大詰の殺陣は見物。ミステリーとアクションたっぷりの長編。

掲載2015年10月30日

「それからの武蔵」
萬屋錦之介のライフワーク「宮本武蔵」の生涯
中村嘉葏雄との兄弟共演、辰巳柳太郎との場面は必見

(それからのむさし ) 出演者:萬屋錦之介/酒井和歌子/中村嘉葎雄/内藤武敏/宇津宮雅代/山谷初男/江波杏子/亀石征一郎/梶芽衣子 1981年

掲載2015年10月30日

 巌流島での佐々木小次郎との一騎打ちの後、剣豪宮本武蔵(萬屋錦之介)は行方知れずとなっていた。それから三年、豊前小倉に武蔵が現れ、彼を仇と狙う小次郎の恋人おりん(江波杏子)や寺尾(岡本富士太)ら小次郎の弟子たちはいきり立つ。小倉藩家老(内藤武敏)の庭で弟子らを軽くたたき伏せた武蔵は、小次郎の墓に出向いた。「俺の夢をぶち壊した」と武蔵に恨みを抱く鴨甚内(山谷初男)のおかげで次々と敵に狙われる武蔵は長崎に向かう途中、盲目の琵琶法師・田原森都(中村嘉葏雄)と出会う。「敵が迫っておりますぞ」超能力のごとく殺気を察知する森都。その森都には、キリシタンから転んだすさまじい過去があった...。

 錦之介・嘉葏雄が琵琶の音を背景に語り合うシーンは見物。「私も死は恐ろしい」と武蔵の本音も出る。また、十文字の槍名人・又兵衛(竜崎勝)には、斬りおとした穂先を返し、手紙をつける武蔵。兵法者の心遣いが出ている。さらに二刀流の先達・丸目蔵人佐(辰巳柳太郎)はすっかり農夫になっていたが、後ろを歩く武蔵に鍬を打ち下ろし、「剣を鍬に替えて大地に挑む。これがわしの人生修行じゃ」と語り、自分の二刀流と武蔵の二刀流の違いを教える。大貫録の演技。それにしても武蔵を慕うお孝(酒井和歌子)とゆう(宇津宮雅代)がにらみ合うなど、武蔵はよくモテる。映画五部作で若き武蔵を演じ、ライフワークとして武蔵役に取り組んだ錦之介の集大成といえる意欲作。

掲載2015年07月10日

「素浪人罷り通る 血煙の宿」
三船敏郎演じる素浪人春夏秋冬が野盗一味と激闘
中尾彬の不敵な存在感と不思議な男気が見物

(すろうにんまかりとおる ちけむりのやど) 出演者:三船敏郎/中尾彬/佐藤オリエ/荒井注/高橋長英/吉田豊明/佐藤アツ子 ほか 1982年

掲載2015年07月10日

 さすらいの旅を続ける浪人春夏秋冬(三船敏郎)は、信濃矢崎宿の居酒屋に立ち寄った。その夜は、庄屋の家で婚礼があり、店は早仕舞い、宿場は閑散としているという。店の女お銀(佐藤オリエ)がくれた振る舞い酒をちびりちびりと一人飲む春夏秋冬。しかし、庄屋の家には、近隣の宿場を荒らしまわる野盗の一団が押し入っていた。行きがかりで事件に関わることになった春夏秋冬は、野盗一味の頭(木村元)の弟を捕まえる。怒った野盗らは「こうなりゃ力ずくだ」とお銀の息子を誘拐し、人質交換の取引を持ち掛ける。しかし、よそ者のお銀は、前にいた宿場で火事がらみの事件に関わったとウワサされ「赤馬」と疫病神呼ばわりされていた。春夏秋冬は、お銀に愛刀を預け、ひとり救出に向かうが、その前に現れたのは凶暴な賞金稼ぎ(中尾彬)。村に恨みを持ち、「おらな、村のやつが全部、血の涙を流すのを見てえんだよ!」という賞金稼ぎの狙いは何なのか...。

 監督は「荒野の素浪人」で三船とガッツリ組んだ吉川一義。ナレーターは矢島正明。映画「用心棒」を彷彿とさせる三船は貫録十分。不敵でギラギラした悪党ながら、「本物の賞金稼ぎってのは丸腰のやつは殺らねえ」と男気を見せる中尾彬がいい味を出す。宿役人の高橋長英、野盗の片桐竜次、村人の佐藤B作など今ではベテランの俳優陣が脇を支える。

掲載2015年06月19日

「地獄の左門十手無頼帖 女菩薩供養」
天知茂の敏腕与力が永代橋落下事故と殺人の真相に迫る
中谷一郎、小松方正、仲谷昇、今いくよ・くるよも出演

(じごくのさもんじってぶらいちょう にょぼさつくよう) 出演者:天知茂/中谷一郎/尾藤イサオ/仲谷昇/池波志乃/山本みどり/小松方正 ほか 1983年

掲載2015年06月19日

 江戸で大雨が続き、水かさが増した大川で永代橋が崩落、二十人の犠牲者が出た。橋は架橋してまだ二年しか経っていない。犠牲者の中には、南町奉行所のキレ者与力神山左門(天知茂)の配下の下っ引き・与吉(尾藤イサオ)の恋女房・おこう(一柳みる)もいた。しかも、橋大工の刺殺死体も紛れ込んでおり、左門は背後に橋の手抜き工事があったのではにらむ。しかし、普請奉行の堀留丹波(仲谷昇)は早々に天災による事故と認定。架橋工事請負大工の棟梁・甚兵衛(小松方正)は無罪となる。探索を続ける左門は、殺された大工と橋の裏絵図の関係を追う。一方、悲しみに暮れる与吉は、十手を返上。博打仲間だった浪人・藤岡重三郎(中谷一郎)とお浪(池波志乃)と堀留の娘・お園(山本みどり)を誘拐する。与吉らから事情を聴いたお園は父の罪に気づき、協力しようとするが、今度は与吉の娘が狙われる。そして、新永代橋の入れ札が行われることになり、五人の大工棟梁が集まる。下手人は誰なのか...。

 「地獄の左門というから鬼瓦のような人だと思っていました」とおっとり語るお園は可愛らしいお嬢さん。それだけに後の悲劇が胸を打つ。左門は苦み走った男の色気たっぷり。終盤、怒りに震えながら、悪を追い詰める左門の迫真の演技、豪快な殺陣はみもの。ちなみに永代橋崩落は文化四年(1807)の実際の出来事で数百人の犠牲者を出した大参事となった。

掲載2015年06月05日

「地獄の左門十手無頼帖 将軍暗殺!」
過酷な潜入捜査に挑む南町奉行所与力を天知茂が熱演
原作川内康範×脚本宮川一郎×監督田中徳三揃踏み長編

(じごくのさもんじってぶらいちょう しょうぐんあんさつ! ) 出演者:天知茂/丹波哲郎/あべ静江/石橋蓮司/佐藤万理/原田大二郎/岸田森 ほか 1983年

掲載2015年06月05日

鋭い推理力と悪への強い態度で「地獄の左門」と呼ばれる南町奉行所与力の神山左門(天知茂)は、筆頭老中阿部伊勢守(丹波哲郎)の依頼で無宿者の佐平次と名乗り、伝馬町牢屋敷に潜入捜査を開始する。孤立し、緊迫した牢内で、岡っ引きと間違われて袋ただきにされそうになったとき、左門は三次(石橋蓮司)に助けられる。牢を出てから左門を「兄い」と慕う三次に仕事があると言われて連れていかれた家には怪しげな男たちが集まっていた。三次は渡船頭で、廻船問屋河内屋(幸田宗丸)と息子仙之助(岸田森)とつながる危ない荷物の運搬に関わっているらしい。ところが、その男たちの中に左門を「賭場で見かけた八丁堀の旦那ですよね」と言いだす男(南利明)がいたことから、左門は再び疑われることに...。

 原作は「月光仮面」で知られる川内康範、脚本は「水戸黄門」などの宮川一郎、監督は大映で活躍した田中徳三とベテランが揃った長編。音楽は神津善之が担当している。左門を拉致した阿部伊勢守とのやりとりや無宿人姿での軽妙な演技、夫婦のように装って暮らすことになった女おあき(あべ静江)との切ない会話など厳しい表情が多い天知茂の意外な顔もみどころのひとつ。ラメ入りの派手な着物を着て、死んだことになっている左門の墓を暴く岸田森、おあきに迫るあやしい男役の福本清三も怪演を見せている。

掲載2015年04月10日

「三匹の侍」第4シリーズ
平幹二朗×加藤剛×長門勇の伝説的シリーズ
豪華配役、効果音などテレビ時代劇の革新作

(さんびきのさむらい だい4しりーず ) 出演者:平幹二朗/加藤剛/長門勇 ほか 1966

掲載2015年04月10日

60年代、大反響を呼んだ「三匹の侍」は、革新的なテレビ時代劇だった。その第一はドスッ、ガキッなど刀や人を斬る効果音をつけ、殺陣に迫力をつけたこと。これは企画者である演出家五社英雄のアイデア。ニッポン放送出身の五社は音にこだわり、フジテレビでこの作品をてがける際、野菜や肉を切っては録音し、事情を知らない人から不審がられた。またロケは少なく、田畑から水車まで局内セットで撮影。美術部はスタジオの狭さを感じさせないため、奥の建物を小さ目にして遠近法で奥行まで出している。ペリーは五社の娘である巴さん、当時編成マンだった白川文造(元BSフジ社長)にも取材した。サンプル版を撮影した五社は、スポンサーも放送日も未定の段階で平幹二朗らに半年以上の放送を確約。事実、ドラマはヒットし、6シリーズ製作された。撮影は毎週未明におよび、局近隣の五社宅にはスタッフがしばしば宿泊していたという。

 現存する第四シリーズは、女好きの剣の達人桔梗鋭之介(平)、まじめな剣客橘一之進(加藤剛)、愛嬌のある槍名人桜京十郎(長門勇)の三人が旅をしながら悪と戦う。小畠絹子、宮口精二、水島道太郎など映画スターも多数ゲスト出演。脚本も柴英三郎、大野靖子ら手練れが揃う。農民と農作業をする侍の対立に見せてその裏に...というように一筋縄ではいかない社会性あるストーリーも見ごたえがある。

ペリー荻野プロフィール
ペリー荻野

1962年愛知県生まれ。大学在学中よりラジオのパーソナリティ兼原稿書きを始める。 「週刊ポスト」「月刊サーカス」「中日新聞」「時事通信」などでテレビコラム、「ナンクロ」「時代劇マガジン」では時代劇コラムを連載中。さらに史上初の時代劇主題歌CD「ちょんまげ天国」シリーズ全三作(ソニーミュージックダイレクト)をプロデュース。時代劇ブームの仕掛け人となる。

映像のほか、舞台の時代劇も毎月チェック。時代劇を愛する女子で結成した「チョンマゲ愛好女子部」の活動を展開しつつ、劇評・書評もてがける。中身は"ペリーテイスト"を効かせた、笑える内容。ほかに、著書「チョンマゲ天国」(ベネッセ)、「コモチのキモチ」(ベネッセ)、「みんなのテレビ時代劇」(共著・アスペクト)。「ペリーが来りてほら貝を吹く」(朝日ソノラマ)。ちょんまげ八百八町」(玄光社MOOK)「ナゴヤ帝国の逆襲」(洋泉社)「チョンマゲ江戸むらさ記」(辰己出版)当チャンネルのインタビュアーとしても活躍中。